03c 文言一覧1
 
其心三月不違仁 其余則日月至 その心、三月ミツキ仁に違タガわざれば、その余ヨはすなわ
 焉而已矣          ち日月ニチゲツに至らんのみ(論語)
 
其身正 不令而行 其身不正  その身ミ正しければ令レイせずして行なわる。その身正し
 雖令不従          からざれば令すといえども従わず(論語)
 
驥不称其力 称其徳也     驥キはその力チカラを称ショウせず、その徳を称す(論語)
 
器欲難量 キヨクナンリャウ  うつはは はかりがたきをほっす
     器とは器量なり。己の器量を他人に量りがたくせよ。器量をかくして居れよ
     といふことなり(千字文)
 
既集墳典 キシフフンテン  すでにして ふんてんをあつめ
     墳典とは、三墳五典とて、古代の書籍の名なり。此の書籍を數多く、既に集
     められたるなり(千字文)
 
飢厭糟糠 キエンサウカウ  うえては さうかうにあく
     又、これに反して、飢えて空腹なるときは、糟糠の如き粗食にても厭はず、
     好んで食ふなり(千字文)
 
曦暉朗曜 キキラウエウ  きき あきらかにかゞやく
     曦は太陽、暉は月にて、太陽はてりかゞやき、月は光り朗らかにして影をう
     つして萬物を恵む(千字文)
 
廐焚 子退朝曰 傷人乎 不問馬 廐ウマヤ焚ヤけたり。子シ、朝チョウより退シリゾきて曰イワく、
               人を傷ソコナえるか。馬を問わず。(論語)
 
丘也幸 苟有過 人必知之   丘キュウや幸サイワイなり。いやしくも過アヤマちあらば、人ヒト
               必ずこれを知る(論語)
 
求仁而得仁 又何怨乎     仁を求めて仁を得たり。また何をか怨ウラみん(論語)
 
求古尋論 キウコジンロン  ふるきをもとめて ついでろんじ
     古への書を讀み、古への道を尋ね、それを論じ、天眞を樂しみ世をすごし、
     自得するなり(千字文)
 
躬自厚 而薄責於人 則遠怨矣 躬ミみずから厚くして、薄く人を責セむれば、怨ウラみに
               遠トオざかる(論語)
 
挙直錯諸枉 則民服      直ナオきを挙げてこれを枉マカがれるに錯オけば、民タミ服せ
               ん(論語)
 
挙善而不教能則勧       善を挙げて不能フノウを教オシうれば勧ツトめん(論語)
 
挙直錯諸枉 能使枉者直    直きを挙アげてこれを枉マガれるに錯オけば、よく枉れる
               者をして直ナオからしめん(論語)
 
居簡而行簡 無乃大簡乎    簡カンにいて簡を行なうは、すなわち大簡タイカンなること
               なからんや(論語)
 
居之無倦 行之以忠      これに居て倦ウむことなく、これを行なうに忠チュウをも
               ってす(論語)
 
居上不寛 為礼不敬 臨喪不哀 上カミに居て寛カンならず、礼をなして敬ケイせず、喪に臨
               みて哀カナしまず(論語)
 
虚堂習聽 キョダウシフチャウ  きょだう ちゃうにならふ
     また、何物も無き廣き堂の内にて、音を發すれば、其聲は、滿堂に聞えわた
     るが如しとのこと(千字文)
 
去而益詠 キョジエキエイ  さりて しかうしてますますうたはる
     召公が去死して後には、其甘棠を伐るなどの詩を詠じて、枝葉さへも伐らざ
     ることを期したり(千字文)
 
渠荷的歴 キョカテキレキ  きょかは てきれきたり
     渠は溝にて、荷は蓮の花なり、溝に咲けるはすの花は、的歴とあざやかに花
     ひらきて美しきをいふ(千字文)
 
矩歩引領 キョホインレイ  あゆみをはかり くびをひき
     歩を矩カネザシしとは、道を行くに一歩も法にたがはず、領を上げて正しき歩む
     べきことをいふなり(千字文)
 
恭而無礼則労         恭キョウにして礼なければ労ロウす(論語)
 
恭惟鞠養 キョウヰキクヤウ  つつしみておもひ くきやうを
     恭しくつゝしみて、我が父母が自分をやしない育てたまひし大恩あることを
     思ひ、常に忘れざる也(千字文)
 
郷人飲酒 杖者出斯出矣    郷人キョウジンの飲酒には、杖者ジョウシャ出イずればここに
               出イず(論語)
 
郷原徳之賊也         郷原キョウゲンは徳の賊ゾクなり(論語)
 
行己有恥 使於四方不辱君命  己オノレを行なうに恥ハジあり、四方シホウに使いして君命
 可謂士矣                    クンメイを辱ハズカしめざる、士シというべし(論語)
 
行不由経           行くに経コミチに由ヨらず(論語)
 
欣奏累遣 キンソウルヰケン  よろこびいたり わづらひさり
     かくして在れば、欣喜の情が内心に動き、世のわづらひは去りつくす。これ
     は自然のいきほひなり(千字文)
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