0301c 文言一覧2
 
仁遠乎哉 我欲仁 斯仁至矣  仁ジン遠からんや。われ仁を欲ホッすれば、ここに仁至る
 (論語)
 
仁者安仁 知者利仁      仁者ジンシャは仁に安ヤスんじ、知者は仁を利リす(論語)
 
仁者雖告之曰井有仁焉 其従之也 仁者ジンシャはこれに告げて、井セイに仁ありというとい
               えども、それこれに従わんや(論語)
 
仁慈隱惻 ジンジインソク  いつくしみ いたむこころは
     仁慈は、いつくしみ、なさけふかきなり。隱惻とは、人の難儀を見ていたむ
     心あり。同情あつし(千字文)
 
誰能出不由戸 何莫由斯道也  誰タレかよく、出イずるに戸コに由ヨらざらん。何ナンぞこの
               道に由ること莫ナきや(論語)
 
雖小道必有可観者焉 致遠恐泥 小道ショウドウといえども必ず観ミるべきものあり。遠きを
               致イタさんには泥ナズまんことを恐る(論語)
 
寸陰是競 スンインシキャウ  すんのひかげを これきそう
     それよりは寸陰とて、僅の光陰を惜みて勉めはげむこそ、眞實の寳なりとの
     ことを示せり(千字文)
 
是吾憂也           これわが憂いなり(論語)
 
是聞也 非達也        これ聞ブンなり。達タツにあらざるなり(論語)
 
政者正也           政セイは正セイなり(論語)
 
性相近也 習相遠也      性セイ、相アイ近し。習ナライ、相遠し(論語)
 
性靜情逸 セイセイジャウイツ  こゝろねしづかなれば じゃうやすく
     人の性質おちつきて靜かなるは、その情もおのづから、のびちかにして安か
     るべきなり(千字文)
 
成事不説 遂事不諌 既往不咎 成事セイジは説トかず、遂事スイジは諌イサめず、既往キオウは
               咎トガめず(論語)
 
逝者如斯夫 不舎昼夜     逝ユくものはかくのごときか、昼夜を舎オかず(論語)
 
誠不以富 亦祇以異      誠マコトに富トミをもってせず、また祇タダに異なれるをも
               ってす(論語)
 
籍甚無竟 セキジンムキャウ  せきじん をはりなし
     さすれば籍甚とて、譽れは限りなく傳へられ、後世までも美名の遺ることに
     てあるとの意なり(千字文)
 
戚謝歡招 セキシャクワンセウ  うれいさり よろこびいたる
     戚(セキは戚の下辺に心のある字)はうれひ心なり。此の心配は謝し去りて、
     歡びごとは招かずとも、自然に來ることを云ふ(千字文)
 
説而不繹 従而不改 吾未如之 説ヨロコびて繹タズねず、従いて改めざるは、われこれを
 何也已矣          いかんともするなきのみ(論語)
 
節義廉退 セツギレンタイ  せつぎれんたいは
     節儀とは、其志の正しきことにて、義理を重んずること。廉退とは嚴直にて
     謙退の行ひあるなり(千字文)
 
攝職從政 セッショクジュウセイ  しょくをとり まつりごとにしたがう
     すでに官途に就けば、重要の職務を執り行ひ、常に其責任者となりて國政に
     從ふべきなり(千字文)
 
切磨箴規 セツマシンキ  いましめを きりみがく
     切るが如く磨くが如く、文藝を研ぎはげみ、互ひに言行を戒めたゞして其過
     失を救ふべきこと(千字文)
 
先進於礼楽野人也 後進於礼楽 先進センシンの礼楽レイガクにおけるや野人ヤジンなり。後進コウ
 君子也 吾従先進      シンの礼楽におけるや君子なり。われは先進に従わん
 (論語)
 
先難而後獲 可謂仁矣     難カタきを先にして獲ウるを後アトにす。仁と謂イうべし
 (論語)
 
先事後得 非崇徳与      事コトを先にして得ウるを後アトにするは、徳を崇タカくする
               にあらずや(論語)
 
先有司 赦小過 挙賢才    有司ユウシを先にし、小過ショウカを赦ユルし、賢才ケンサイを挙げ
               よ(論語)
 
先行其言 而後従之      まずその言ゲンを行なう。而シコウして後ノチこれに従う
 (論語)
 
川流不息 センリウフソク  かはは ながれをやまず
     以上の善行は一時のほまれのみならず、川の流れて千古久しく息まぬが如く、
     終生怠ることなく(千字文)
 
牋牒簡要 センテウカンエウ  せんてうは かんえうに
     牋牒は手紙のことにて、すべて手紙を書くには、要のことを手みじかく書く
     べきをしめす(千字文)
 
旋幾懸斡 センキケンアツ  せんき かゝりめぐり
     旋幾(センは王偏の旋、キは王偏の幾)とは渾天儀のことにて天文を見る器
     械なり。懸斡とは、高きにかゝりてめぐるを云ふ(千字文)
     
造次弗離 ザウジフツリ  ざうじ はなれず
     造次は、しばらくの間といふことにて、寸時も仁慈隱惻の、四の者に離るべ
     からざるを云ふ(千字文)
 
束帶矜莊 ソクタイキンサウ  そくたいし かざりかざりて
     束帶とは、衣冠束帶することにて、裝束をつけたる人は、其の容儀をかざり、
     威嚴を保つべきなり(千字文)
 
其心三月不違仁 其余則日月至 その心、三月ミツキ仁に違タガわざれば、その余ヨはすなわ
 焉而已矣          ち日月ニチゲツに至らんのみ(論語)
 
其身正 不令而行 其身不正  その身ミ正しければ令レイせずして行なわる。その身正し
 雖令不従          からざれば令すといえども従わず(論語)
 
存以甘棠 ソンイカンタウ  ながらへるは かんたうをもってし
     周の時代の召公が、在生中に甘棠の下にて政を聽き、萬民其徳恵に浴したる
     が如く頗る公平なこと(千字文)

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