[詳細探訪] 参考:小学館発行「万有百科大事典」 〈祖先崇拝〉 祖先崇拝とは、死霊シリョウ崇拝の一種である。家族、親族の始祖、或いは代々の死者の 霊を、その子孫が祀ることを云う。死霊に対する態度は、葬送儀礼に見られるように、 死者に対する愛着の情と共に、死者の穢ケガレ、祟りタタリに対する恐怖の念も憑きまとって いる。しかし、「弔い上げ」や改葬の風習のような、年月を経た後の「二度目の葬式」 儀式が行われ、個人的性格の強い死霊から、一般的、集団的な祖霊観念が生まれて来る。 家族、氏族の集団の結び付きは、生きている人間と、死霊の集団との興隆で強められ、 供養によっていわば祖先を養い、その代わりに、祖先が(子孫を)保護、恩恵をもたら すことが期待される。 こうした信仰は、未開社会や古代社会において普遍的であったが、血縁を地上的なも のとして否定する世界宗教(仏教、キリスト教など)によって打破された。しかし、わ が国の仏教におけるように、祖先崇拝と習合し、それによって土着化した場合もある。