鹿角の碑文探訪「顕彰碑」 |
△阿部さき女 [地図上の位置→] |
参考:「八幡平傳承ひろい 其の一」
義僕阿部さき女の碑文 勲八等 大槻恵蔵書 阿部サキ女ハ、文久三年六月十八日、阿部徳治ノ長女トシテ本村長谷川ニ生ル。資性誠 実温良、十七歳ノ時本村阿部家ニ子守トシテ雇ハル。爾来聊カモ苦労ヲ厭ハス、屡々婚 嫁ヲ奨ムルモノアレドモ、主家ニ忠勤ヲ希ヒテ従ハズ、志操ヲカエザルコト実ニ四十有 余年、其行為タル誠ニ奇特ニシテ模範ト為スニ足ル。 大正十四年五月篤行、畏クモ天聴ニ達シ、義僕トシテ選奨ノ光栄ニ浴シ、室内大臣ヲ経 テ御下賜ノコトアリ、仝年十月皇太子殿下本県行啓ニ際シ御菓子ヲ下賜セラレ、翌年二 月再ビ両陛下ヨリ、大正徳行録一部ヲ下賜セラル、サキ女ノ愛撫養育セル主人藤助氏ニ ハ、年長スルニ従ヒ徳望至サルナク、村長トシテ、産業組合長トシテ、公平無私、奮励 努力、寝食ヲ忘レ地方開発ノ為メニ貢献極メテ多カリシガ、昭和三年五月年齢四十三歳、 溘然トシテ長逝セラル。 サキ女ノ追慕落胆限リナク、憂鬱ノ裡ニ日夜故主ノ冥福ヲ祈念シ、涙ニ暮ル、朝夕ヲ過 シタリシガ、同年九月ニ十九日、主家ノ手厚キ医療モ甲斐ナク、遂ニ故主ノ後ヲ慕ヒ、 眠ルガ如クニシテ逝カル。操守一貫主家ニ忠勤ヲ致シタル行為ハ、誠ニ後世ノ亀鑑トナ スニ足ル、仍テ茲ニ碑ヲ建立シテ、永ク其ノ徳行ヲ伝ヘントス。
昭和四年八月ニ十九日 建之 宮川村長 阿部喜佐 外 有志 |
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