[十一月]
四日・十四日・二十四日 〈伝統行事 − 大師講デェシコ〉
 大師講とは、弘法大師の偉業に由来する信仰に基づくものです。大師様には子供が十
二人あり、貧乏でご飯を食べさせることが出来なく、初めは白粥を、そして小豆粥に、
そしてご飯へと、次第に生活が豊かになり、子供もみんな立派に神様になって人々を救
済したと云う、人生教訓を旨とした信仰であると考えられております。
 この日には小豆粥を大きな曲ワッパに盛り、長いヨシ(葦のこと)の箸を添えて仏前
の供えて拝礼します。小豆粥には米、小豆、カボチャなどが入り、みんなで美味しく戴
きます。
 なお、四日と十四日は小豆粥をお供えし、二十四日には豊かになったので白米のご飯
をお供えするとも云います。
 
 この季節に吹き荒れる吹雪のことを、デェシコ風アレと云います。即ち大師様は子沢山
につき、生活に困り大根などを盗みに来るので、その足跡を隠すために雪を降らせると
云われています。
 
二十五日 「天神講の儀」
 この日は、松舘菅原神社の氏子による天神講の儀を執り行います。
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下旬 〈伝統行事 − モウス〉
 「モウス」とは、山の神様に「お願いを申す(又は上げ申すとも)」のこととされま
す。
 収穫が総て終わった十一月下旬から十二月にかけて、各部落の、年代ごとに、また男
女別に催されます。モウスは収穫を祝い互いに慰労し合い、懇親を深める酒宴です。こ
のときの定番料理は、新米で作った「キリタンポ鍋」です。
 若者達のモウスでは、当番役二人は事前に垢離を執ります。即ち近く清流で頭から冷
水を浴びて、禊ぎをします。そして一同を代表して、モウスの行事を取り仕切ります。
 
 長嶺部落では次ぎのような山子唄「岳々タケダケ」を唄って、山の神様をお呼びし、お神
酒を上げ申します。
一、岳々のヨイヤハーエー、岳々のハエー
  岳々は三ケ月のヤハエー、立ち神はよ
  そだでばヨイヤハエー
二、立つ神はヨイヤハーエー、立つ神はハエー
  山子繁盛とヤハエー、守る神はハエー
  そだでばヨイヤハエー
三、守る神はヨイヤハーエー、守る神はハエー
  手足繁盛とヤハエー、まめでけろハヨ
  そだでばヨイヤハエー
 関連リンク[もうす] [鹿角の郷の美味探訪(キリタンポ鍋)]

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