[七月]
上旬 〈郷内行事 − 草刈酒・草取酒〉
 七月に入ると、村の草刈場へ行って全戸一斉に堆肥用の草刈りをします。この日に雨
が降れば草刈りは休みとなり、男は草刈酒と云って酒盛りをします。この頃女は豆畑や
小豆畑の草取りが終わるので、雨の日は草取酒と云い休んで飲食をします。男と女は別
々の集まりで、七日までに行うことになっています。

土用入り 〈伝統行事 − 虫送り〉
 稲穂の出るこの季節、若者達は太鼓を叩いて村や田圃を廻り、藁人形を作って害虫の
魂を取り憑ツけたり、柳などの若枝を振り回して害虫を追い払います。終わると人形や若
枝は大川へ流したりします。
 
 〈郷内行事 − 虫送り〉
 虫送りは田畑の作物の害虫を払う祈願の行事で、田植え上がりの後か土用入りの前日、
一番草取りの後などに村毎に行われます。若者達は村中や田圃を巡回した後は、神社の
境内や決められた宿で、泥鰌汁(泥鰌貝焼き)で酒盛りをします。
 虫送りの方法や行列は地区によって異なり、隣接する村がそれぞれ男と女の藁人形を
一緒に縛って、山の沢に置いて来る処や、虫を縛って来て藁人形に詰めて川へ流す処も
あります。柳樽に酒を入れて鑓ヤリに通して担いだり、観音様の幟旗を立てて歩いたり、
村境で盆踊りをしたり、若い男が裃を着て刀を腰に差して歩いたり、柳の枝に「天下泰
平、悪虫退散」と書いた短冊を付けて川まで持って行って流したりなど、様々なです。
行列を組んで歩くときは「人形虫送れ、境のしっぱまで送れよ」とか、「虫送る送るや、
虫送る送るや」などと大声で叫びます。
 このほか田の水口に柳の枝に御幣を着けて立てたり、お婆さん達が田圃に出て御幣を
立て、虫送りの祈祷をする処もあります。また田植え上がりに虫迎え、虫送りを一週間
置いて二回やることもあります。
 
土用 〈郷内行事 − 土用の丑〉
 土用の丑の日に採った薬草は特に効き目があるとされており、ドクダミ・ゲンノショ
ウコなどを採り乾燥して保存します。またこの日は丑の湯と言って、温泉に入ると万病
に効能があると云うことで、大湯・湯瀬・八幡平の温泉に多くの人が出かけます。温泉
場では舞台が設けられ、屋台や夜店も並ぶ処もあると云います。
 
二十五日 「天神講の儀」
 この日は、松舘菅原神社の氏子による天神講の儀を執り行います。
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