[三月]
三日 〈伝統行事 − 雛祭り・桃の節句〉
裕福な家では雛壇を飾り、女の子を中心にご馳走を戴いて楽しみます。
一般家庭では蓬餅と桃の小枝を神前に供えて拝礼し、みんなで戴きます。
大里部落では、この日に山の神様が里に下りて来て、田の神様になると云います。
〈郷内行事 − 雛祭り〉
この日初嫁は実家へ餅を持って遊びに帰ります。また節句が終わったら早くお雛様を
仕舞わないと、女は嫁に行くのが遅れると云われます。
三日(雛祭り直近の日曜日) 「観音札奉賽の儀(かまのふた)」
於八幡平公民館松館分館
上座に「菅原神社」の掛け軸を掲げるなど簡易な祭壇を設えます。即ち修祓、降神の
儀、宮司祝詞奏上、一同拝礼、昇神の儀、そして宮司手作りの「テキスト」の解説があ
り、引き続き直会となります。
なおこの時節は、古来からの「追儺ツイナ」にも当たりますので、「人形ヒトガタによる祓
え」も併せて行います。氏子が廻り番の宿を務め、高齢な婦人達が寄り合います。この
行事は女性のみの集まりです。
十五日 〈郷内行事 − ネハン・花コ見〉
旧暦のときは二月のこの日、各家ではアンビン餅を作って仏様にお供えし、本家や親
戚にも廻し、そのときの餅の数は五つか七つです。
また前日の夜は花輪では、寺の堂内に信徒から奉献された造花や生花を飾り、花コ見
が行われます。
十九日 〈郷内行事 − お日待(お日祭とも)〉
旧暦の二月十九日には豊作を祈り、秋の九月十九日には豊穣に感謝する祭日です。こ
れは花輪の町内(横町・新町・六日町など)の産土神のお祭りで、十九日は夜を徹して
飲食し、翌二十日は早暁の日の出を拝みます。十九日の料理は精進料理と云います。
初彼岸 〈伝統行事 − お爺ジなお婆バな〉
お爺なお婆なは、先祖を供養する伝統的な春彼岸の行事です。
夕方、墓地や田圃などに子供達が稲藁を持ち寄り、それを燃やしながら空に向かい「
お爺な、お婆な、明りの宵に、団子しょいに来とれ、来とれ」と大声で叫びます。
松舘部落では夕刻、青少年が薬師様の鎮座するハサバ長峰ナガネに稲藁や萱束などを運
び、それらを十二月分の数(閏年は十三)に分けて積み上げ、一斉に火を点します。火
の燃える勢いで月々の豊凶を占います。
関連リンク[オ爺ナオ婆ナ]
[文化財 「MI10044 小豆沢のオジナオバナ」「MI10045 宮野平のオジナオバナ」]
彼岸 〈伝統行事 − 百万遍念仏〉
大里部落では彼岸中、村への出入口や辻々で鐘を鳴らし、高齢の婦人達が輪になって
大数珠を廻し、即ち右へ三回、左へ三回廻しながら念仏を唱えます。また村の出入口に
は注連縄を張り渡します。注連縄には、お寺のお札、強烈な臭いで悪魔を追い払う大蒜
ニンニク、寒さを防ぐ赤南蛮(唐辛子)、身を清めるサイカチの実を付けます。
地蔵とっこは、三月二十四日と八月二十四日に営んでいたが、その後地蔵とっこと百
万遍念仏とをまとめて、彼岸に行っています。
〈郷内行事 − 百万遍〉
大きな珠が回って来ると、お宝が来たと言って「トウタイ」と大声で叫びます。また
大きな珠が回って来ると、両手で持ち上げて祈念します。
春分の日 「春季祖霊祭」 於八幡平公民館松館分館
上座に御幣(神籬)や季節の花を飾るなど簡易な祭壇を設えます。即ち修祓、降神の
儀、宮司祝詞奏上、一同拝礼、昇神の儀、そして宮司手作りの「テキスト」の解説があ
り、引き続き直会となります。
なおこの時節は古来からの「彼岸」に当たりますので、当番宿は数日前から鉦(昔は
太鼓)を打って地域内を回り、主な辻々で大数珠を廻して祈る「百万遍念仏」と云う行
事です。無病息災や家内安全を祈ります。
また昔からこの日に宮司は「蘇民将来子孫門」札を配布し、氏子はそれぞれの門口に
貼ります。
氏子が廻り番の宿を務め、高齢な婦人達が寄り合います。この行事も女性のみの集ま
りです。
中彼岸 〈郷内行事 − オジナオバナ〉
中彼岸には「オジナ、オバナ、アカリノヨイニ、ダンゴショッテ、ミトレ、ミトレ」
と叫ぶと云う。
〈伝統行事 − お爺なお婆な〉
夕方、子供達が墓地に稲藁を持ち込んで火を点して燃やします。また三ケ田部落では
薬師様に稲藁を持参して燃やします。
春分の日以降は「お爺な、お婆な、明りの宵に、団子しょって行っとれ、行っとれ」
と叫びます。
〈伝統行事 − 宝引き〉
お正月やお彼岸の期間、婦人達は宝引きをして楽しみます。
終シマイ彼岸 〈伝統行事 − お爺なお婆な〉
夕方、墓地や田圃などに子供達が稲藁を持ち寄り、それを燃やします。
小豆沢部落では夕刻、青少年が稲荷神社の鎮座する峰に稲藁や麻殻オガラなどを運び、
それらを十二月分の数(閏年は十三)に分けて積み上げ、一斉に火を点します。火の燃
える勢いで月々の豊凶を占います。
二十五日 「天神講の儀」
この日は、松舘菅原神社の氏子による天神講の儀を執り行います。
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下旬 〈伝統行事 − ヤサラ〉
大里部落の農家では、野良仕事のとき鍬や鋤で、土の中に生きている虫類の生命を絶
ってしまうことから、その罪を贖うため、それらの虫や、その日に搗いたお餅、お神酒
などを神前に供えて拝礼します。また家の軒先や窓の上に、杉の葉と山吹の枝葉を刺し
込み、また木戸口の左右にもそれぞれ結わえます。
三月中 〈伝統行事 − 麻疹ハシカ送り〉
多くは三月中、又は麻疹が全快した頃に行います。ハシカ神様は子供に麻疹を運んで
来たので、麻疹が全快してハシカ神様を送り申せば二度と戻って来ないと云う信仰に由
来します。新しく作った一足の草鞋ワラジと小豆御飯を載せた米俵の桟俵とを、お宮の木
の根元や鳥居の側、村外れの庚申塚などにお供えします。
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