12 松舘菅原神社年中行事〈附伝統行事・郷内行事〉
 
                     本稿は、SYSOPの奉仕しております「松舘
                    菅原神社」に関係する年中行事について記
                    述してみました。
 
                     なお本稿中、〈伝統行事〉とは、八幡平
                    地域に伝わる民俗的年中行事のことです(
                    参考:八幡平老人クラブ連合会発行「八幡
                    平の民俗年中行事」など)。
                     また〈郷内行事〉とは、鹿角の郷に伝わ
                    る年中行事のことです(上記と重複する行
                    事は省略。参考:「鹿角市史」など)。
                     これらのうちの一部の行事は途絶えつつ
                    あります。           SYSOP
 
[一月]
元日未明 「歳旦祭」 於菅原神社本殿
 前日の大晦日から「お日待ち」のためお籠もりしている敬神婦人会々員(比較的高齢
で健康な婦人数名)と、テレビ放送などによる「除夜の鐘」を聞き終えた氏子一同、及
び帰省中の親類縁者諸々が初詣のために本殿に参集し、「歳旦祭」を執り行います。
 即ち神前に鏡餅、お神酒などを供え、修祓、一拝、宮司祝詞奏上、一同拝礼、一拝し
ます。祝詞奏上のときは、併せて五穀豊穣の祈年も致します。
 続いて宮司挨拶、お神酒拝戴、そして新年の挨拶を交わして帰路に就きます。拝殿で
お籠もりの方々は四方山話をしたり、仮眠したりして日の出を迎えます。
 
 〈伝統行事 − 若水汲み〉
 年の瀬の花輪の市日に、真新しい木製の手桶を買い求め、その手桶と大きな臼にそれ
ぞれ注連縄を張り巡らし、柄杓の柄には半紙を巻き、真新しい筵ムシロも準備します。また
その年の年男(その年の干支エトの年長男子又はその家の年長者)を定めて元日に備えま
す。
 元日早々、年男は羽織袴で正装し、庭(家の土間)の真ん中に筵を敷き、その上に新
米を入れた一升枡を置き、それに大きな臼を被せます。
 丸餅を四分六分に切って、四分の方と、手桶・柄杓を持って井戸(又は清流の小川)
に行きます。餅を井戸の中にお供えし、井戸の神様に対して柏手カシワデを打って拝礼、「
新玉や、年の始めの年男、若水汲むとて米ヨネを汲む」と三回唱えながら、手桶に若々し
い清水を組み入れて家に持ち帰り、臼の上に載せて拝礼します。これを若水と称し、そ
の若水で炊事をしたり飲料水にしたりします。水汲みを終えるまでは、誰とも話をしな
いとされています。
 また井戸の中にお供えした餅は水餅と云い、子供達はよくこの水餅を持ち帰って食べ
たとも云います。水餅を持ち帰ると「福が授かる」と言い、一方持ち帰られた年男は「
厄が取られた」と言い合って喜びました。
 年男が若水を汲んで、いよいよ囲炉裏に火を焚くと、女達が起き出して朝食の仕度に
取り掛かります。やがて主人がお膳に半紙を敷き、お供え餅と十文字に重ねた切餅を載
せ、家族一同拝礼し、「年が一つ増えたなあ」と言って、朝食となります。
 
 朝食はお膳に盛り付け、天照大御神・産土神、氏神、祖霊神、竈神、井戸の神、それ
に福の神(戸口の神)などの分のお膳を拵えてそれぞれの神前に供え、各自順次に拝礼
します。一同揃ったところで、お膳を神前から貰い下げ、お屠蘇を戴きながら新年を祝
います。主人は天照大御神・産土神のお膳、他の家族のお膳は家内における役目の軽重、
又は希望に沿ってそれぞれ配られます。
 
 〈伝統行事 − 年始廻り〉
 部落内の各家々、また分家ブンケの方は本家など必要に応じて年始廻りをします。
 
二日 「初釜(献茶の儀)」 於宮司宅
 近くの親類が生家である宮司宅に集まり、祖霊神を拝礼し、初釜を行います。終わっ
て新年の祝宴となります。
 
 〈伝統行事 − 祭堂ザイドウ〉
 早朝より小豆沢の大日霊貴神社(大日堂)の養老例祭が斎行され、大日堂舞楽が奉納
されます。この日に限り売られる「笹飴」を買い求め、みんなで食べながら招福除厄を
祈願します。
 関連リンク[大日霊貴神社(祭堂・大日堂舞楽)] [十和田八幡平観光物産協会「お祭り」]
 
三日〜五日 〈伝統行事 − 舅礼シュウトレイ〉
 初婿・初嫁は、餅と酒肴を持参してそれぞれの実家へ年始の挨拶に行き、二晩泊まっ
て来ます。
 
 〈伝統行事 − 毘沙門講〉
 長嶺部落の産土神でもある毘沙門神社の氏子は、三日を毘沙門講の日とし毎月営んで
います。
 関連リンク[トッコ]
 
四日 〈伝統行事 − お寺のお年始〉
 お寺のお坊さんは、各檀家へ年始廻りをします。
 また檀家はそれぞれの菩提寺にお参りし、祖先を拝み、お寺に新米やお布施を差し上
げて新年のご挨拶をします。
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