51a 神像に関する用語解説
 
公人クニン
 比叡山延暦寺における役職階級(大衆・衆徒・公人の三段階)の一つである。低い僧を
 以って、一山の庶務や会計、年貢収納などの処理に当たった。
 
運心巡礼ウンジンジュンレイ
 心に想いを巡らしつつ、遺跡や霊跡を巡拝する作法のことで、叡山の回峯カイホウ修験か
 ら出た言葉である。「山王秘密社参」などの巡拝行事は、矢張り神道的な一種運心巡
 礼である。
 
一字三礼イチジサンライ
 仏典を書写するときの作法で、一字を書く毎に仏を三度拝礼し、心に仏を三度祈念し
 つつ書写することである。また如法ニョボウ写経とも云う。彫刻での一刀三礼も同じ意。
 
復古大和絵フッコヤマトエ
 江戸時代の後期に、平安・鎌倉時代の大和絵(倭絵)を復興しようとした田中訥言
 トツゲン・浮田一恵(草冠+恵)・冷泉為恭タメチカ等の流派を指す。
 
先達センダツ
 修験道において、峰入りや祈祷などを行う際の先導をする山伏のこと。
 
御師オシ・オンシ
 御祈師オイノリシの略である。寺社に祈願するときに仲介の労を執る祈祷師で、また宿坊を
 経営して寺社と地方信者を常に取り結ぶ役目も果たしていた。伊勢の神宮と修験道系
 の寺社に多い。
 
熊野比丘尼クマノビクニ
 歌比丘尼・勧進比丘尼とも云う。中世以降熊野三山への勧進のため、仏教の因縁を唄い
 つつ熊野牛王ゴオウを売り歩いた尼のことである。
 
勧進カンジン
 社寺の建立や修繕などのために、信者や有志に寄付を勧誘すること。これを行う者を
 勧進聖ヒジリとか勧進比丘尼と云う。
 
伽藍神ガランジン
 地主神や護法神の一つで、特に当該堂塔の守護神を指す。
 
丹朱タンシュ
 赤い色、赤色の絵の具を指す。朱は水銀鉱を含む埴生ハニツチから採取して精製する。丹
 朱を製作する水銀鉱脈の所在、その鉱山のあった処を昔から丹生ニウと称している。
 
辟邪ヘキジャ
 辟は「避」の借用字で、邪気を払う、或いはその功徳があると云う意味である。
 
截金キリガネ
 切金・截金彩色とも。金箔を細く切って、絵画の描線や彫刻の要所に貼り付けて彩色を
 強調する方法で、藤原時代の仏画や彫刻に多く見られる。
 
法界定印ホッカイジョウイン
 退蔵界の大日如来が結ぶ印契。
 
巡方ジュンポウ
 巡方帯の略で、束帯を着たときに用いる石帯セキタイ(腰帯・革帯)の一種である。方形の
 飾り石を取り付けた石帯を巡方帯と云う。
 
神牌シンパイ
 神位・神儀と同じ意味で、仏教で云う位牌イハイに当たる。神名を書き神体として礼拝の
 対象とするものである。
 
三昧耶形サマヤギョウ
 密教の諸尊が手に持つ一定の器物、又は諸尊の示す一定の印契に基づいて、当該諸尊
 を象徴するものを三昧耶形と云う。例えば文殊の剣、大日の塔、宝生の五鈷杵を云う。
 金剛界曼陀羅の三昧耶会には、代表的な多くの形式が描かれている。
 
漆箔ウルシハク
 仏像の下地に漆を塗り、その上から金箔を押したものである。
 
萎装束ナエソウゾク
 柔らかな袍・直衣などの装束で、糊を付けない柔らかなものである。剛コワ装束に対する
 言葉で、平安時代中期以前の服制の装束のこと。
 
半臂ハンピ
 束帯を着けるとき、袍の下に着る衣のことである。
 
裳懸座モカケザ
 仏・菩薩の坐像で、その裳が長く台座に垂れ下がっている様式のこと。中国の北魏様式
 に始まり、わが国では飛鳥、白鳳時代の仏像に多く見かける。
 
巾子コジ
 冠の名所のこと。冠の頂上後部に高く突き出して髻モトドリを差し入れ、笄コウガイを挿し
 て固定する部分を云う。
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