12 大祓に詠める和歌
 
△節折ヨヲリ雑載
霜さやぐ竹のは風はあらたへの よをりの袖は猶や寒らん (年中行事歌合 秀長朝臣)
 
みな月のけふくれ竹のよをりにぞ 君が千とせの数はそへける
(新続古今和歌集 三夏 土御門内大臣源道親)
 
△六月(名越祓)名称
みな月のなごしのはらへする人は ちとせのいのちのぶといふなり(公事根源 六月)
 
思ふ事みなつきねとてあさの葉を きりにきりてもはらへつる哉(同)
 
みなつきの名ごしのはらへする人は ちとせのいのちのぶとこそきけ(友俊記)
 
うちはへてわれにつれなき君なれば けふのみそぎもかひなかるらん
あふ事のなごしのはらへしつる哉 おほぬさならぬ人をみしとて
常よりもなごしの月のわびしきは いむてふことのなきにぞ有ける
人はいさなごしの月ぞたのまれし さゞのみそぎにわするゝやとて
                           (以上 空穂物語 祭の使)
 
△臣庶六月祓
たなばたは天のかはらをなゝかへり のちのみそかをみそぎにはせよ
                       (後撰和歌集 四夏 よみ人しらず)
 
こひしさをみそげど神のうけねばや 心のうちのすゞしげもなき
                            (浜松中納言物語 一上)
 
みそぎ河かはせの神にことふれて まだこそしらねこひの心を(同)
 
△雑載
此川にはらへてながすことのはは 波の花にぞたぐふべらなる(古今六帖 一夏 貫之)
 
加茂川のみなそこすみて照月を ゆきて見んとや夏ばらへする
                       (後撰和歌集 四夏 よみ人しらず)
 
水上にはらへてながすあさの葉を おりなかくしそせゞの白波(信明集)
 
ねぎごとをきかずあらぶる神だにも けふはなごしと人はしらなん(源順集)
 
さばへなすあらぶる神もおしなべて けふはなごしのはらへなりけり
                         (拾遺和歌集 二夏 藤原長能)
 
よせるなき身をこそかこて思こと なほ大ぬさに夏祓して
                      (新拾遺和歌集 三夏 藤原行輔朝臣)
 
みそぎ川ながれてはやく過る日の けふみなつきは夜も更にけり
                       (続後拾遺和歌集 三夏 新院御製)
 
里人は今夜こゆてふみわ川の 清きながれにみそぎすらしも
                     (新続古今和歌集 三夏 前大僧正杲守)
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