02g 論語一日一言
 
7[戒律]
 
食無求飽 居無求安      食ショク飽アかんことを求むるなく、居キョ安ヤスからんこと
               を求むるなし
衆悪之必察焉 衆好之必察焉  衆シュウこれを悪ニクむも必ず察し、衆これを好むも必ず察
               す
居上不寛 為礼不敬 臨喪不哀 上カミに居て寛カンならず、礼をなして敬ケイせず、喪に臨
               みて哀カナしまず
富与貴是人之所良く也 不以其 富トミと貴トウトきとは人の欲ホッする所トコロなり。その道を
 道得之不処也        もってこれを得エざれば処オらざるなり
士志於道而恥悪衣悪食者 未足 士、道に志して悪衣アクイ悪食アクショクを恥ずる者モノは、い
 与議也           まだ与トモに議ハカるに足らざるなり
放於利而行 多怨       利リに放ヨりて行なえば、怨み多し
 
焉用佞 禦人以口給 屡憎於人 いずくんぞ佞ネイを用モチいん。人に禦アタるに口給コウキュウを
               もってすれば、しばしば人に憎まる
不義而富且貴 於我如浮雲   不義フギにして富みかつ貴トウトきは、われにおいて浮雲
               フウンのごとし
年四十而見悪焉 其終也已   年トシ四十にして悪ニクまるるは、それ終わらんのみ
 
説而不繹 従而不改 吾未如之 説ヨロコびて繹タズねず、従いて改めざるは、われこれを
 何也已矣          いかんともするなきのみ
愛之欲其生 悪之欲其死    これを愛してはその生セイを欲ホッし、これを悪ニクみては
               その死を欲す
一朝之忿忘其身 以及其親 非 一朝イッチョウの忿イカりにその身を忘れて、もってその親シン
 惑与            に及ぼすは、惑マドいにあらずや
忠告而善道之 不可則止 無自 忠告してこれを善動ゼンドウし、不可なれば止む。自ら
 辱焉            辱ハズカシめらるることなかれ
毋欲速 毋見小利       速かならんと欲ホッすることなかれ。小利ショウリを見るこ
               となかれ
有徳者必有言 有言者不必有徳 徳ある者は必ず言ゲンあり。言ある者は必ずしも徳あら
               ず
愛之能勿労乎 忠焉能勿誨乎  これを愛してよく労ロウすることなからんや。忠チュウにし
               てよく誨オシうることなからんや
貧而無怨難 富而無驕易    貧しくして怨ウラむことなきは難カタく、富みて驕オゴるこ
               となきは易ヤスし
見利思義           利リをみては義ギを思う
 
古之学者為己 今之学者為人  古イニシエの学者は己オノレのためにし、今の学者は人のため
               にす
不逆詐 不億不信 抑亦先覚者 詐イツワりを逆ムカえず、不信フシンを億ハカらず、そもそもま
 是賢乎           たまず覚サトる者は、これ賢ケンか
驥不称其力 称其徳也     驥キはその力チカラを称ショウせず、その徳を称す
 
賢者避世 其次避地 其次避色 賢者ケンジャは世ヨを避サく。其の次は地チを避く。其の次
 其次避言          は色イロを避く。其の次は言ゲンを避く
知其不可而為之        その不可なることを知りて、しかもこれをなす
 
深則勵 浅則掲        深ければ勵レイし、浅ければ掲ケイす(レイは力のない勵
               )
非求益者也 欲速成者也    益エキを求むる者にあらざるなり。速やかに成らんこと
               を欲ホッするなり
殺身以成仁          身ミを殺してもって仁ジンをなす
 
已矣乎 吾未見好徳如好色者也 已ヤんぬるかな。われいまだ徳を好むこと色を好むがご
               とくする者を見ず
群居終日 言不及義 好行小慧 群居グンキョして終日シュウジツ、言ゲン、義ギに及ばず、好
 難矣哉           んで小慧ショウケイを行なう。難カタいかな
過而不改 是謂過矣      過アヤまちて改めざる、これを過アヤマちと謂イう
 
終日不食 終夜不寝 以思無益 終日食クらわず、終夜寝イねず、もって思うも益エキなし。
 不如学也          学ぶにしかず
知及之 仁不能守之 雖得之必 知チはこれに及ぶも、仁ジンこれを守る能アタわざれば、
 失之            これを得ウるといえども必ずこれを失う
辞達而已矣          辞ジは達するのみ
 
益者三友 損者三友      益者エキシャ三友サンユウ、損者ソンシャ三友(率直・誠実・教養
               のある人、うわべ・人当たり・口先だけの人)
益者三楽 損者三楽      益者エキシャ三楽サンラク 損者ソンシャ三楽サンラク(礼楽・人の長
        所を称える・良き友を増やす、驕る・遊びほうける・酒食にふける)
困而不学 民斯為下矣     困クルしみて学ばざる、民タミ、これを下ゲとなす
 
見善如不及 見不善如探湯   善ゼンを見ては及ばざるがごとく、不善フゼンを見ては湯
               ユを探サグるがことくす
誠不以富 亦祇以異      誠マコトに富トミをもってせず、また祇タダに異なれるをも
               ってす
割鶏焉用牛刀         鶏ニワトリを割サくに焉イズクんぞ牛刀ギュウトウを用モチいん
 
六言六蔽           六言リクゲン六蔽リクヘイ(仁と愚愛・知識と物知り・信義と
               中傷・率直と愚直・勇気と混乱・剛強と邪心)
礼云礼云 玉帛云乎哉 楽云楽 礼レイといい礼というも、玉帛ギョクハクをいわんや、楽ガク
 云 鐘鼓云乎哉       といい楽というも、鐘鼓ショウコをいわんや
郷原徳之賊也         郷原キョウゲンは徳の賊ゾクなり
 
道聴而塗説 徳之棄也     道ミチに聴キきて塗ミチに説トくは、徳をこれ棄スつるなり
 
鄙夫可与事君也与哉      鄙夫ヒフは与トモに君に事ツカうべけんや
 
古者民有三疾 今也或是之亡也 古イニシエは民タミに三疾サンシツあり。今やあるいはこれなし
            (古/三疾:狂から蕩へ・衿から忿戻フンレイへ・愚から詐へ)
            (今/三疾:狂から肆へ・衿から蕩へ・愚から廉へ)
飽食終日 無所用心 難矣哉  飽食ホウショクして終日シュウジツ、心ココロを用モチうることなき
               は、難カタきかな
故旧無大故 則不棄也     故旧コキュウ、大故タイコなければ棄スてず
 
無求備於一人         備ソナわらんことを一人イチニンに求むることなかれ
 
雖小道必有可観者焉 致遠恐泥 小道ショウドウといえども必ず観ミるべきものあり。遠きを
               致イタさんには泥ナズまんことを恐る
小人之過也 必文       小人ショウジンの過アヤマつや、必ず文カザる
 
喪致乎哀而止         喪モは哀アイを致して止む

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