0303鷺舞
 
                    参考:小学館発行「万有百科大事典」ほか
 
〈鷺舞サギマイ〉
「鷺」
 コウノトリ目サギ科の鳥の総称。形はツルに似、やや小さく、飛翔時に首を縮める。
眼の周囲は裸出し、尾羽は短い。樹上に巣を営み、主に魚類を捕食。世界に約60種、わ
が国には約15種が分布。雪客セッカク。
 
「鷺舞」
 山口市上立小路の八坂神社の祭(七月二十〜二十七日)と、島根県鹿足カノアシ郡津和野
町の弥栄ヤサカ神社の祇園会(祭日は前同)に行われる民俗芸能。共に古く京都の祇園祭か
ら学び伝えられたものであるが、本家の祇園祭では早く絶え、逆にこれらの伝来地から
学び返して復活した。東京浅草の浅草寺でも同寺の田楽古図に則ノットり鷺舞(白鷺の舞、
十一月三日)を近年復活した。京都の祇園祭の鷺舞神事が廃スタれた理由ははっきりしな
いが、多分山や鉾ホコに本来の意義を認め興味や趣向が移って、練り物が軽視されたため
かも知れない。山口市の伝えでは、領主大内弘世が京都八坂の分霊を勧請した際、京都
の祇園会の祭祀風流フリュウ行列の様式を摂り込んだものと云い、津和野町ではこの山口の
八坂神社の祭礼から城主吉見氏によって移入されたものと伝える。共に室町時代のこと
であるが、更に寛永年間(1624〜44)に領主の亀井氏が人を京都に遣わし、改めて伝習
させたものとも云う。このことからすれば、江戸時代初期には未だ京都に鷺舞があった
ことになろう。かつて京都の祇園会には豪華な鷺鉾があったと云う。
 
 鷺舞は、神輿ミコシの御旅所渡御と神社への還御に連なり舞われる。津和野では、その年
の当屋に祭られていた鷺の頭を舞役が被り、当屋前、四ツ辻、旧城代家老邸前、旧藩邸
前などで舞い、また御旅所で一舞する。還御の時には最後に翌年の当屋で舞う。雌雄一
対。桐を芯に白布を巻いて頭とし、杉板を羽形に組む。羽根を広げ窄ツボめると笏拍子を
打ち衝ツけるような良い音がする。舞は先触れに棒振が棒を回し、その後鷺舞となり、羯
鞨鼓カッコ役が身を屈カガめながら鼓を打つ。田楽風な芸である。笛・鼓・太鼓・鉦が歌に和す
る。近年小鷺が沢山出るようになった。
 その他神奈川県足柄上アシガラカミ郡中井町八幡神社祭、同中郡大磯町国府の国府祭にも行
われているが、この方は獅子と竜と鷺の三つの舞が一緒に舞われる。
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