010360稲葉の素兎
 
                      参考:北隆館発行「野草大百科」ほか
 
〈稲葉の素兎シロウサギ〉
「兎」
 ウサギはウサギ目の哺乳類の総称。耳の長いウサギ科と耳が小さく、小形のナキウサ
ギ科とに大別。ウサギ科はオーストラリア・ニュー‐ジーランドなどを除く全世界に分布
するが、以前いなかった地域にも移入されて野生化している。わが国には北海道にユキ
ウサギ、それ以外の地域にノウサギがいる。また、家畜としてカイウサギを飼育。耳長
く、前脚は短く後脚は長い。行動は敏捷・活発で、繁殖力はすこぶる大。肉は食用、毛は
筆につくる。おさぎ。
 
「蒲」
 ガマはガマ科の多年草。淡水の湿地に生える。高さ約2m。葉は厚く、長さ1m以上、幅
約2p、編んで筵ムシロを製する。雌雄同株。夏、約20pの蝋燭形の緑褐色の花序(穂)を
着ける。これを蒲団フトンの芯に入れ、また、油を注いで蝋燭に代用、火口ホクチを造る材料
とした。みすくさ。
 
「稲葉の素兎シロウサギ・因幡イナバの白うさぎ」
 「古事記」の「因幡の素兎」の話にはガマのことが出てくるが、和邇ワニ(ワニザメの
こと)に毛を毟ムシられて疵キス付いた兎の皮膚は蒲黄、即ち黄色いガマの花粉を付けるこ
とによって全治した、とある。漢方では収斂シュウレン性止血薬としてこれを内用、外用にし
ており、その有効成分は主にシトステロールであることが確認されているので、実マコトに
理に適った療法である。
 
「因幡の白うさぎ」
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