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「鹿角の菫に逢いたい」

 
52 菫の栽培方法
 
 野生の植物というと、山野に自生し、人の保護を受けなくとも立派に花を咲かせる植 物ということから、ただ植えておくだけで丈夫に育つものと思われがちですが、実際は まったく逆です。園芸化された植物の方が、人間が品種改良などの過程で飼い慣らし、 ある決まりに乗せることで誰にでも育てられるように作られたものなのです。
 野生のスミレについて考えて見ますと、自分の生育適地にのみ生きているのであり、 野生の動物を飼い慣らすのが難しいのと同様に、毎年花が咲くように育て上げるのは並 大抵のことではありません。江戸時代から多くの人々が園芸化を試みてきましたが、ヨ ーロッパにおけるパンジーやスイートバイオレットのような園芸品種が出来なかったこ とを見ても、わが国のスミレの気難しさが分かると思います。
 
 特にも産地や個体数の限られている希少種は、温度や日照、水分などの生育条件が限 定されていると云うことであり、栽培は不可能と考えた方がよい。
 ここでは、タチツボスミレやスミレなど人里に生育し、個体数も多い種について一般 的な栽培方を紹介しましょう。
 
〈鉢植え〉
 スミレ類は、一般に地上部に比べて地下部が深く大きいことから、中鉢のものが良く、 三号鉢で1〜2株、四号鉢で3〜4株と云うところが適当です。
 用土は、水はけの良い軽い土がよく、一般的には鹿沼土、桐生砂、クレーボールなど の3〜10o程度のものを基にし、これに腐葉土やピートモスなどを混合して用いるとよ い。
 植える際は潅水カンスイをして直ぐ水が抜けるように、粒の大きいものから@粗礫10〜20 %、A排水の良い用土70〜80%、B泥はね防止のための粗礫5〜10%(冬芽保護を要す るときは増土)の順に入れて行きます。用土は押さえ込まずに流し込む程度にし、表面 には土跳ね防止用に粗礫を置くとよいが、茎のない種は基部の托葉が埋まらないように 注意して下さい。
 秋には冬芽が形成されますが、この部分は意外にも寒さに弱いので、増土するか、カ ラマツの落ち葉で覆って保護してやると良いでしょう。
 
〈露地植え〉
 庭などの露地に植える場合も、水はけの良否が重要な点となり、植える場所に祖礫や 砂などを客土するなどして、生育条件を整えてやる必要があります。最近使われ始めた 木炭粉なども試して見ると良いかも知れません。また、冬季の霜柱にも注意が必要です。
 スミレ類は、鉢植えでもそうですが、ある年月以上同じ場所に生育していると「忌地 」現象を起こして生えなくなってしまいます。新たに植える際は、この点にも気を付け て下さい。
 
 野生の花だからと植えっ放しにしておかないで、夏の強い日差しは避け、乾き過ぎな いように潅水するなど、鉢植え以上に手入れをすることが大切です。
 
〈増やし方〉
1 種子
 裂開した果実から採った完熟した種子は発芽率が悪いので、膨らんだ果実が上向きに なる頃に採取し播種すると良いでしょう。
2 根伏せ
 ほとんどの種類で利用できる方法で、結果も良好です。
 先端に光が当たるようにすると不定芽が出やすい。
3 株分け
 地下茎が太い種類や大株になる種類に利用される簡単な方法です。剃刀の刃で切るか、 手で分けてもよい。
4 茎挿し
 有茎種に利用されます。地上茎や匍匐ホフク茎の葉柄や托葉のついている節を鋏んで、上 下を切り取り用土に挿し込みます。
 
〈病害虫〉
 スミレの害虫類は他の園芸植物と同様、ハダニ、ヨトウムシ、アブラムシなどで、防 除や予防法も他の園芸植物と同様に行います。
 花が終わった頃から、葉や茎に黄白色のブツブツが出来、次第に広がっていくのがソ ウカ病で、6〜8月にかけて被害が多い。雨に当てないことが予防になりますが、ダイ セン系の殺菌剤又は石灰硫黄を、花が終わってから週1回程度撒布すると良いでしょう。 サビ病やウドンコ病の発生も見られることがあるので、これもダイセン系の薬剤で消毒 しておくと良いでしょう。
 株に元気がなくなり、根にブツブツが出来てくるのが、根線虫によって起こされるネ マトーダです。多くの園芸品種や作物が被害を受けます。予防法は、古い土を使わない ことや、鉢は熱消毒して用いることです。
 
〈肥料〉
 一般に春と秋の2回施せばよく、ハイポネックスや油かすのごく薄い液肥などが良い。 秋には来春のために、リン酸やカリ肥料も十分に与えましょう。間違っても濃い肥料を 一度に与え、肥料焼けなどを起こさせないようにして下さい。
 
〈おわりに〉
 スミレに関心を持ち始めた頃、幾つかの種類を庭に植えて見たことがありましたが、 ほとんどは数年で消えてしまうことが多かった。土質や水はけ、日照などスミレの生育 条件は種類ごとにそれぞれ異なっており、わが国のスミレは特に気難しいようです。
 栽培するのですと、植えっ放しではなく、種類ごとに生育地の条件を考えて土を工夫 したり、鉢の移動や水やりなど、こまめに世話をしてやりたいものです。うまく増やす ことが出来るようになれば、更に種間交配によって雑種を作って楽しむことも出来ます。
 
参考:岩手日報社発行「岩手のスミレ」
 
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