75 育ててみたい植物〈ユキノシタ〉
〈ユキノシタ〉
ユキノシタ雪下・虎耳草はユキノシタ科の半常緑多年草で、わが国の山地の湿った岩上
などに自生する。株全体に長毛があり、葉腋から紅紫色糸状の匐枝フクシを長く伸ばし、先
端に新苗を作って繁殖する。葉は根生し、長柄があり、腎円形で浅く分裂し、上面は暗
緑色で白斑ハクハンがあり、裏面は紅色を帯びる。5〜7月に高さ20〜50pの花茎を出し、円
錐状の花序をなして疎らに花を着ける。花は白色で萼片と花弁は共に5枚、花弁は上方
の3枚は小さくて濃紅色の斑点を持ち、下方の2枚は大きくて長さ1〜2p、雄蘂は10本
ある。
5枚の花弁がほぼ同大で星状の花を着けるホシザキユキノシタや葉の周辺が白色の園
芸品種フイリユキノシタなどもある。
近似種のダイモンジソウは、花は左右相称、花弁は5個で不同長、白色で、上側の花
弁は広披針形、基部は次第に狭まり、斑点がない。種子は平滑、匐枝はない。
ジンジソウは、上側の花弁は斑点があり、広卵形で、基部は急に狭まる。種子に小突
起があり、匐枝はない。
クロクモソウは山地生で、根葉は腎円形、縁に斉正粗歯牙がある。花茎は疎らな円錐
花序になり、花は帯褐色、放射相称で花弁は同形同大である。
シコタンソウは高山生で、地上茎はよく発達し、低くて多く分枝する。葉は互生し、
小形で緑毛があり、花弁は狭く小斑点を持つ。
〈薬用〉
民間ではユキノシタの葉を、火で炙アブって腫れ物や霜焼けに貼る。また葉の汁は火
傷、ウルシかぶれによいと云う。葉の煎液は風邪に用い、解熱、鎮咳チンガイの効があり、
また心臓病、腎臓病、小児の知恵熱や引付ヒキツケによいと云う。
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