73 育ててみたい植物〈ミズヒキ〉
 
〈ミズヒキ〉
 ミズヒキ水引はタデ科の多年草で、北海道から九州の山野に生える。茎は高さ50〜80
pとなり、節が膨フクれる。葉は楕円形で、やや薄いが堅く、ときに黒褐色の斑紋ハンモンが
あり、柄は短い。8〜10月に上部の葉腋ヨウエキに細長い花軸が出て、疎らに小さい花が開
く。萼片は赤色で4個、花弁状に見えるが、花弁はない。雄蘂5個、雌蘂1個がある。
痩果ソウカは卵状レンズ形で宿存萼に包まれ、花柱も落ちないで残り、先が鉤形になる。
 赤い花が長い穂状をなすのを、紅白の水引に見立てて、この名が付いた。白花の品種
をギンミズヒキと云う。
 
〈キンミズヒキ〉
 キンミズヒキ金水引・仙鶴草・竜牙草はバラ科の多年草で、北海道から九州の山野に生
える。根茎は肥厚し、茎は直立し、粗毛がある。葉は互生し、奇数羽状、小葉は5〜7個、
楕円形で粗鋸歯がある。7〜9月に穂状花序は茎頂及び分枝上に付き、黄色の小花を綴る。
花弁が5個、萼片5個、萼筒は倒円錐形で縦溝があり、花後肥大し、副萼はその先端に
内方へ鉤の手に曲がる多数の刺を列生する。
〈薬用〉
 キンミズヒキはわが国ではあまり使われていない民間薬であるが、中国では古くから
全草を収斂止血、強壮強心の効があるとして、赤痢、胃潰瘍、子宮出血などに用い、こ
れから製した売薬「仙鶴センカク草素」は万能薬として愛好されている。ヨーロッパではセ
イヨウキンミズヒキを、慢性咽頭炎、下痢、胃腸カタル、肝臓痛、腎臓結石、胆石症の
際に用いている。
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