6801育ててみたい植物〈リンドウ〉
 
〈リンドウ〉
 リンドウ竜胆はリンドウ科の多年草で、本州から九州の山野に生える。根茎は短く、
茎は高さ20〜60pとなる。葉は対生し、披針形で長さ4〜8p、普通は柄がなく、はっき
りした3脈がある。9〜11月に茎頂や上部の葉腋に紫色の花が咲く。萼は筒状で先が5裂
し、裂片は細くやや反曲する。花冠は鐘状で先が5裂し、裂片の間に副片があり、日を
受けて平開する。雄蘂5個、雌蘂1個がある。果実は朔(草冠+朔)サクカで熟すと2片に
割れ、花冠は萎れたまま残る。
 
 野生変異種に花が帯紫桃色のモモイロイシヅチリンドウがある。
 葉の細いものをホソバリンドウと云う。
 アサマリンドウは、葉が数対で、基部が細くなり、縁に波状の皺シワがあり、花弁の内
面に緑色の斑点があるもので、近畿地方南部、四国、九州に分布する。三重県朝熊山アサマ
ヤマに多いのでこの名が付いた。
 オヤマリンドウは本州の亜高山帯に生え、花は上部の葉の腋に着き、花弁はあまり開
かない性質がある。近似種に花が濃青色のキリシマリンドウがある。
 トウヤクリンドウは高山帯に生え、花が淡黄緑色のもので、中部地方以北、北海道に
分布する。
 ヤクシマリンドウは九州屋久島の山頂に生え、葉が線状披針形で4個輪生し、花は茎
頂に1個開き、花冠は6〜8裂する珍しい種類である。
 
〈薬用〉
 リンドウの根を竜胆リュウタンと称し、苦味配糖体の一つゲンチオピクリンやアルカロイド
のゲンチアニンなどを含み、味が非常に苦く、唾液と胃液の分泌を多くし、腸の蠕動ゼン
ドウを高め、食欲を盛んにする作用があるので、苦味健胃剤として用いる。欧米では、南
ヨーロッパや小アジアの山地に生ずるゲンチアナ・ルテアの大きな根をゲンチアナと称し
て同様に用いる。
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