6301育ててみたい植物〈オウレン〉
 
〈オウレン〉
 オウレン黄連はキンポウゲ科の常緑多年草、わが国特産で山地の樹林中の湿った処に
生ずる。3〜4月に約10pの花茎を出し、その先に2〜3個の花を着ける。5〜7個の白色花
弁のように見えるものは萼片で、花弁は小さい線形のものである。雌雄異株と同株のも
のがあり、雄蘂は多数、雌蘂は9〜11本で、花後子房柄が伸びて袋果タイカは輪状に並ぶ。
葉は茎の根元から生じ、長さ10〜27pの複葉で、小葉には鋭い鋸歯がある。
 葉形に変異があり、1回3出複葉のものをキクバオウレン、2回3出複葉のものをセ
リバオウレン、3回3出複葉のものをコセリバオウレンと云う。地下茎はやや太く横に
伸び、多くの細根を出す。地下茎の断面はアルカロイドのベルベリンによる鮮黄色を呈
する。この部分を薬用とし、主に福井・兵庫・鳥取の各県で栽培され、苦味健胃剤、消炎
剤として用いる。
 
 類似種としては、中国にコ・キネンシスやテートイデスが、アッサムにテータがあり、
同様に用いられる。
 また、ミツバオウレンは北海道、本州に産し、北半球の寒地に広く分布して、本種に
似る。矢張りベルベリンを含むので、アメリカでは苦味健胃剤として用いられる。
 
〈染色〉
 オウレンの根茎は媒染剤無しで黄色を染め、明礬ミョウバンを掛けると青味を帯びる。
[次へ進む] [バック]