58 育ててみたい植物〈ギボウシ〉
〈ギボウシ〉
ギボウシ葱法師(擬宝珠・紫萼とも)はユリ科の多年草で、一般にはギボウシ属の総称
である。東アジア、特にわが国に多くの種類を産し、屡々観賞用として栽培され、欧米
にも改良された品種がある。
葉は短い根茎から出て太く、披針形から心臓形まであり、平行脈と細い横小脈が走り、
基部には柄が付く。花茎には普通葉がなく、先端に総状花序を着ける。花期は6〜9月で、
種類によって異なる。花は白色又は紫色で、やや大きく、6個の花被片は下半部が合生
して花筒を作り、花筒の上半は膨大する。子房は上位で、先に細長い花柱があり、果実
は朔(草冠+朔)果で3片に裂開する。
最も普通に見られるオハツキギボウシは中形で、葉は卵状楕円形、花茎に2〜3個の葉
状になった包ホウが付く。よく栽培され、葉に白斑ハクハンのあるものもある。ギボウシの名
は、特にオハツキギボウシを指すことがある。
イワギボウシは中形の一種で山地に生え、葉は卵形で葉柄には下半部に暗紫色の斑点
がある。
トウギボウシは大形の一種で、羽越地方から山陰地方に自生する。葉は長さ35p、幅2
3pに達し、長さ5〜6pの花を開き、花は乳白色乃至淡紅紫色、庭園に植えられる。葉柄
は食用となる。オオバギボウシは、花は白色で痩せている。黄色覆輪葉のキフクリンオ
オバギボウシもある。
トクダマは、葉や花を観賞するために昔から庭園に栽植されているが、山陰地方に自
生があると云う。葉は地際から生じ、葉柄は直立し、葉身は円形で急尖頭となり水平に
開き、上面は帯粉緑色で、凹凸がある。花茎は高さ30〜45p、葉と同高か少し高く、先
端に密に短い総状花序を着ける。花は白色又は淡紫色で、長さ約4p、花期は6〜7月。
葉に黄色の斑の入った品種もある。斑入り葉品種にアケボノトクダマ、キフクリントク
ダマ、また近似種にイワギボウシ、ムラサキギボウシがある。
オタフクギボウシはわが国原産で、山草として栽培され、花は釣鐘状淡紫色、葉縁は
白色となる。変種に緑色葉で覆輪のないミドリオタフクギボウシがある。
タマノカンザシは中国原産のマルバタマノカンザシの長葉変種の大形の一種で、花は
乳白色で夕方開き、芳香がある。古くから栽培の黄白色中斑葉のスジギボウシがある。
オトメギボウシは済州島原産で矮性、花は淡紫色の漏斗形である。
小形の種類にはミズギボウシ、コバギボウシなどがある。
タチギボウシ
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