10-1 ばら目(べんけいそう科・ふくろゆきのした科・ゆきのした科・まんさく科・すず
   かけのき科・ばら科・まめ科)植物
 
                    参考:北隆館発行「原色園芸植物大圖鑑」
 
〈ばら目(べんけいそう科)〉
 
シンソウキョク(アドロミスクス)(神想曲,アドロミスクス属)
 アフリカ南西部の大カール原産の小形多肉植物で,昭和5年に渡来。観葉植物として
 鉢植え栽培。葉の長さ3〜4p,無斑微毛。同属に葉の先端が扁平なクーペリー,こ
 の小形の天錦章テンキンショウ,また先の尖った円筒形の銀灰色の葉を持ち斑点のある霜月
 シモツキもあります。
 
タマツバキ(クラックス)(玉椿,クラックス属)
 南西アフリカ原産の冷涼期生育型多肉植物で,昭和8年に渡来。観賞用として鉢植え。
 淡緑色椀形の葉を4列に重ねた円柱状になり,冬に白色花を頂部に群生します。近似
 種にレイジン,リョクトウなどがあります。
 
カゲツニシキ(フチベニベンケイ)(花月錦,クラックス属)
 南アフリカ原産多肉葉低木でフチベニベンケイの一園芸品種,鉢植えのほか,暖地で
 は庭園樹。高さ1〜3m,葉は肉厚で緑色地に白い斑が入り,花は淡紅色ですが,わが
 国では殆ど咲きません。
 
エケベリア・デレンベルギー(静夜セイヤとも,エケベリア属)
 メキシコ・オハカ州原産の多肉植物で,昭和35年に渡来。鉢物用。ロゼットの径4〜5
 pの小形種。葉は肉厚の円形で,青緑色で白粉を帯び,早春に鐘状で赤色,花弁の先
 端が黄色の花を開きます。近似種に葉の白粉を帯びるチワワエンシスがあります。
 
キンコウセイ(エケベリア)(金晃星,エケベリア属)
 メキシコ原産の半低木状の植物で,鉢物として観賞。ロゼットの径8〜9p,葉面に
 ビロード様白毛を密生し,先端と葉縁に褐色を帯びます。花梗は10p位,花色は濃紅
 色。
 
グランディス(エケベリア)(エケベリア属)
 メキシコ原産の多肉植物で,鉢物用。ロゼットを形成。葉はあまり多肉質になりませ
 ん。早春に黄色の花を開きます。同属に東雲の変種でロゼットの径25p位の大形種鯱
 があります。
 
ベニベンケイ(紅弁慶,カランコエとも,カランコエ属)
 マダガスカル島原産の多肉植物で,昭和6年に渡来。矮性種は温室やフレームで鉢作
 り,高性種は切花用。高さ30〜80p,全株無毛,冬から春にかけて4弁の小花を花梗
 の先に多数傘形に付けます。花色は緋赤,橙,黄色など多くの品種が作り出されてい
 ます。
 
ツキトジ(月兎耳,カランコエ属)
 マダガスカル島中央高原原産の多肉植物で,第二次大戦後に渡来。温室内で鉢植え栽
 培。高さ50p以下の多枝低木状で,葉は無柄,厚く多肉,葉茎は白色軟毛に密に覆わ
 れます。花は小さく目立たず,赤ないし橙色,橙黄色など個体差が大きい。同属には
 ほかに天人の舞,江戸紫など,切花用の高性種にブリリアント・スターもあります。
 
ハナガサ(花笠,オリベランサス属)
 メキシコ原産の多肉植物で,昭和47年に渡来。鉢物用。草丈は25p位,茎はロゼット
 状,花期は5〜6月,蕾の先端が僅かに開くだけの橙赤色の花を開きます。
 
チヨダノマツ(パキフィツム)(千代田の松,パキフィツム属)
 パキフィツム属はメキシコに10種が自生する多年生の多肉植物。本種は紡錘形の長さ
 2〜4pの葉を持ち,茎の長さ10p位,花序は40p,花径8o,赤味を帯びた緑色。
 同属に薄い肉色の星美人ホシビジンがあります。
 
クレナイロケア(ロケア,クラックスとも,ロケア属)
 南アフリカ原産の多年生多肉植物で,明治末期に渡来。観賞用に温室などで鉢物栽培。
 茎は多肉,高さ30〜60p,花期は4〜5月,茎頂に緋紅色花を集散花序に多数付けま
 す。花弁は5枚,星形,肉厚で花持ちがよい。品種に赤白色,白色種があります。
 
タマツヅリ(玉綴,玉簾タマスダレとも,マンネングサ(セダム)属)
 メキシコ原産の多肉植物で,昭和30年に渡来。淡緑色で多肉の葉が茎の回りに密生し
 て鎖のようになり,全体に1m位垂れるので吊鉢にします。近似種に葉が白化するオウ
 ギアツベンケイがあります。
 
メイゲツ(名月,銘月,明月,マンネングサ(セダム)属)
 メキシコ原産の多肉植物で多年草。明治中期に渡来。鉢植えで栽培,形態と花を観賞。
 葉は舟形で長さ約45p,茎は次第に下垂します。花期は3〜4月,花は舟形で白色五
 弁,花序は球状。
 
ニジノタマ(虹玉,マンネングサ(セダム)属)
 メキシコ原産の多肉植物,昭和38年頃に渡来。鉢物,花壇用。小豆状に肉厚した葉は
 冬期や強光線に合うと赤く色付きます。近似種に高さ1mになるキダイベンケイがあり
 ます。
 
マキギヌ(巻絹,蜘蛛巣万代草クモノスバンダイソウとも,センペルビブム属)
 ピレネー山脈,アルプス山脈,アペニン山脈,カルパチア山脈原産の多年生多肉植物
 で,明治末期に渡来。葉は長楕円状披針形で長さ8o,幅4o位。屡々ロゼット全体
 が白く覆われ,直径1p位。花径3〜5p,花数10個位,花弁は8〜10枚で赤桃色。
 
〈ふくろゆきのした科〉
 
フクロユキノシタ(袋雪下,フクロユキノシタ(セファロタス)属)
 西オーストラリア原産の多年草,1科1属1種の食虫植物。短い匍匐枝より春にウツ
 ボカズラに似た昆虫を捕らえる袋状の葉を出します。花はユキノシタ属に似て長さ30
 〜60pの花梗を抽出し,円錐花序に花を付けます。
[次へ進んで下さい]