0201植物の科名いろいろ [ア]〜[オ]
 
                      参考:小学館発行「万有百科大事典」
 
[ア]
アオイ科 双子葉植物離弁花類
 世界に約80属1500種が、温帯から熱帯に亘って広く分布している。草本又は木本で、
 葉は単葉で互生し、花は両性、花弁5個、雄蘂オシベは多数あって、花糸が合着してい
 る。葯ヤクは1室。観賞用、工業用として栽培される。美しい花を着けるフヨウ、モミ
 ジアオイ、タチアオイなどがあり、トロロアオイは花も美しく、根からは和紙の製造
 に用いる糊料コリョウを採る。ワタは繊維を採る重要なものである。
 
アカザ科 双子葉植物離弁花類
 乾燥地や塩地性の植物で、一年生又は多年草の草や低木である。多肉性の節や関節の
 ある無葉の茎を有するものもある。葉は単葉で互生するが、ときには肉質の円筒形に
 なり、又は鱗片リンペンに退化するものもある。花は単性又は両性で、同株、異株、又は
 雑株である。花は放射相称で、花被は一列で5個、果実に宿存する。雄蘂は花被片と
 同数。雌蘂は1個、子房上位で1室、1胚珠ハイシュがある。世界に約100属1400種あり、
 わが国には5属14種が自生している。
 
アカネ科 双子葉植物合弁花類
 木本又は草本である。葉は対生、稀に輪生し、複葉になるものはない。托葉タクヨウがあ
 って、ときに葉と同形同大になる。花は普通両性花で放射相称、花冠は多少筒状にな
 り、4〜10裂する。雄蘂は花冠裂片と同数で、これと互生する。雌蘂は1個、子房下
 位で2室からなる。果実は朔(草冠+朔)果サクカ、液果エキカ、石果セキカで種子に胚乳
 ハイニュウがある。この科は大きな科で、世界には約350属4500種、わが国には約19属55種
 がある。
 
アカバナ科 双子葉植物離弁花類
 普通草で、陸生ときに水生。葉は単葉で互生又は対生する。花は両性で放射相称であ
 る。萼ガク、花弁は4〜5個、雄蘂はそれと同数又は倍数ある。雌蘂は1個、子房は下
 位又は中位で萼と癒合ユゴウし、2〜6室からなる。果実は朔(草冠+朔)果又は堅果
 で、種子に胚乳がない。世界に約37属600種、わが国には4属29種が自生している。水
 生で果実が堅果になるヒシ属をヒシ科として独立させることもある。
 
アケビ科 双子葉植物離弁花類
 常緑又は落葉の蔓性木本植物。葉は互生し、掌状ショウジョウの複葉である。花は単性で、
 3数性。8属20種程がアジア及び南アメリカに分布する。わが国には落葉性で、果実
 は縦に裂けるアケビ、ミツバアケビ、また常緑性で果実は熟しても裂けないムベなど
 がある。
 
アブラナ科(元十字花科) 双子葉植物離弁花類
 多くは草本で、葉は単葉又は複葉になり、托葉はない。花は両性で、萼片4個、花弁
 は4個で十字形に並び、雄蘂は6個で内輪の4個は長く、いわゆる4強雄蘂ユウズイ(4
 長雄蘂)になる。雌蘂は1個、2心皮2室からなり、側膜ソクマク胎座タイザに胚珠が着く。
 果実は角果、種子に胚乳がない。世界に約350属2500種あり、北半球の温帯に多い。わ
 が国には17属約50種が自生する。ヨーロッパや北アメリカから帰化したものにマメグ
 ンバイナズナ属、オランダガラシ属、タマガラシ属、ミヤガラシ属、カラクサナズナ
 属などがあり、観賞用に栽培されるものにニワナズナ(アリッサム)属、ニオイアラ
 セイトウ属、マガリバナ属、アラセイトウ属などがある。アブラナ属には有用植物と
 して昔から栽培されているものが極めて多い。
 
アマ科 双子葉植物離弁花類
 草本又は低木。葉は互生又は対生し単葉で全縁。托葉はときに腺質。花は両性で放射
 相称をなし、萼片は4〜5個で覆瓦フクガ状。花弁は4〜5個で回旋する。雄蘂は4〜
 5個、花弁と互生し、ときに仮雄蘂ユウズイがある。花糸は基部が癒合する。子房は上位
 で3〜5質からなり、卵子は各室に2個、花柱は離生し、糸状をなす。朔(草冠+朔
 )果は胞間裂開する。温帯に分布し、世界に約6属150種、わが国に1属1種を産す
 る。
 
アヤメ科 単子葉植物の多年草
 葉は剣状、2列に互生し、袴ハカマ状に並ぶ。花は両性で放射相称又は左右相称、花被片
 は6個で花弁状をなし、下部はときに癒合して筒になり、子房と合生する。雄蘂は3
 個、外花被片と対生。葯は外に向く。子房下位で3室、各室に多数の倒生胚珠がある。
 果実は朔(草冠+朔)サクで胞背裂開する。種子の胚は小さい。
 世界に約58属1500種がある。わが国に自生するのはアヤメ属8種、ヒオウギ属1種が
 あるに過ぎない。帰化植物にニワゼキショウ属1〜2種、観賞用に栽培されものにト
 ウショウブ(グラジオラス)属、アサギズイセン(フリージア)属、サフラン属、ザ
 イフリアヤメ属、ヤリズイセン(イキシア)属、スイセンアヤメ属、ヒメトウショウ
 ブ(トリトニア)属などがある。
 
アリノトウグサ科 双子葉植物離弁花類
 草本又は低木、屡々水生する。葉は互生又は対生、輪生し、水中葉は分裂する。托葉
 はない。花は両性又は単性で、単生又は穂状、円錐花序、散房花序をなし、屡々非常
 に小形である。萼筒は子房に合着、萼被片はないか、又は2〜4個。花弁はないか、
 又は2〜4個、敷石状又はやや覆瓦フクガ状。雄蘂2〜8個、葯は底着、縦裂。子房下
 位、1〜4室、花柱2〜4個、卵子は各室に1個、室の頂端から下垂する。果実は小
 形、堅果又は核果、裂開せず、稀に分果をなす。種子は多量の胚乳を持つ。両半球の
 熱帯、温帯に広く分布し、わが国ではアリノトウグサ属とフサモ属の2属を産し、後
 者は水生である。
 
アワブキ科(アオカズラ科とも) 双子葉植物離弁花類
 わが国にはアオカズラ属のアオカズラ1種と、アワブキ属のアワブキ、ヤマビワ、ミ
 ヤマホウソなど5種が自生し、熱帯アジア及びアメリカに4属約70種が知られている。
 高木、低木、蔓性木本などがあり、葉は互生し、単一又は羽状複葉。花は両性又は多
 性、萼片、花弁共4〜5個、雄蘂は花弁と対生し、5個共完全であるか、又は2個だ
 け完全、子房は上位で2〜3室、果実は裂開しない。
 
[イ]
イグサ科 単子葉植物
 草本であるが、稀に低木。茎は直立し、普通分枝しない。葉は扁平、剣状、円筒状又
 は鱗片状をなす。花序は単一、散房、集散又は頭状である。花は小形でときに基部の
 小包ショウホウを伴い、放射相称、両性で風媒花、花被片は6個、2列に排列し、宿存性、
 穎包エイホウ状。雄蘂は3又は6個、葯は底着し、花粉は4個集合する。子房は上位、1
 室、3隔壁があるか、又は3室。柱頭チュウトウは3個、糸状、右旋する。倒生卵子は斜上
 している。朔(草冠+朔)果は3心皮からなり、胞背裂開である。種子は3〜多数あ
 り、胚は直立、胚乳は粉質。温帯、寒帯に多く、世界に8属30余種あり、わが国には
 スズメノヤリ属とイグサ属の2属がある。
 
イチヤクソウ科 双子葉植物合弁花類
 小低木又は草で、ギンリョウソウなどのように腐生生活をするものもある。葉は単一
 で、ときには葉緑がなく、鱗片状になるものがある。花は両性で、放射相称をなす。
 萼は5裂し、稀に欠如し、花弁は5個、雄蘂10個、ときには8個、葯は孔開コウカイする。
 子房は上位で4〜5室、果実は朔(草冠+朔)果、稀に液果になる。世界に11属50種
 があり、わが国には5属13種が知られている。
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