3201b 園芸植物用語解説その1(続き)
 
種子シュシ(種とも):胚珠が受精の後発育し成熟したもので,外部は種皮に包まれ,中に
 胚,胚乳がある。胚乳は種類によりないものもあり,その有無により有胚乳種子(カ
 キ,ソバ,イネ,ムギ),無胚乳種子(ダイズ,クリ,クルミ)という。
種子植物(顕花植物とも):花を開き種子を生じて繁殖する植物。植物界では最も高等
 な植物群。
樹脂道ジュシドウ:樹脂を分泌する管状の組織のことで,樹脂細胞から分泌した樹脂を満た
 している。マツ科植物では分類の目安として重要。
種小名:植物分類上の種の階級を表す名。多くは形容詞,稀に名詞で,原則として小文
 字で書き始める。単独に用いられることはなく,属名と結び付けて2語で表すので二
 名法という。
種枕シュチン(カルンクルとも):仮種子の一種で,種子の表面に付く多肉質の附属物。例
 :スミレ・ウスバサイシン。
出芽シュツガ:@無性生殖の一種で,生物体又は細胞の一部に小芽又は小突起が生じて,こ
 れが次第に生長し,その多くは後に母体から離れて新個体を生成する生殖法。A芽生
 え。
シュート(shoot):勢いよく伸出した新枝。
種髪シュハツ:ガガイモ,アカバナ,ヤナギなどの種子に着いている長い毛の束をいう。
種皮シュヒ:種子の皮のことで,普通厚い外種皮と薄い内種皮の2層からなるが,この区別
 は往々認め難いこともある。
受粉・授粉ジュフン:被子植物の花粉が雌蘂メシベの柱頭に,裸子植物の花粉が胚珠の珠孔部
 に入着する現象で,花粉を受けることが受粉,花粉を授けることを授粉という。これ
 には次の区別がある。@自家受粉 − 同一個体内で行われる受粉。これに同じ花の中
 で行われる自家受粉と,同株内の異なる花の間で行われる隣花受粉とがある。A他家
 受粉 − 異株間で行われる受粉。花粉の移動を媒介するものにより,水媒,風媒,動
 物媒(コウモリ媒,鳥媒,カタツムリ媒,虫媒)などがある。
授粉樹ジュフンジュ:果樹で自家不結実性であって,一品種のみを植えると結実不良な場合
 に,主品種に対して花粉を提供させる他の品種を混植することがある。この混植する
 ものを授精樹という。
受粉媒助ジュフンバイジョ:人工で受粉を媒助すること。受粉が不十分か受粉量が少ない場合
 には,果実の発育が悪く,果形が不整になったり,落果が多くなるので人工受粉が必
 要となる。 → 人工授粉。例:リンゴ・ミカン。
主脈シュミャク → 中央脈。
撞木挿しシュモクザシ:挿木の一方法で,一年生の枝を撞木状に少し着けて切り取って挿し穂
 にする。
種鱗シュリン:マツ,モミその他の球果類の雌花の胚珠を着けている鱗片をいう。果実にな
 ると木質化した堅い鱗ウロコとなり,その内側に種子を抱いている。
馴化ジュンカ:気候馴化の略で,その土地のものでない他の土地の植物を導入し,相当期間
 栽培して,その土地に適するものに馴らすこと。
春化処理シュンカショリ(バーナリゼーションvernalization,ヤロビゼーションjarowisation
 ):植物を高温又は低温に温度処理して,花芽の形成,開花,結実を促進させること。
 また発芽した種子に一定期間の低温を与えて開花を促進させること。
楯着ジュンチャク:底着に対する語。葉柄が葉身の基部に着かず,ハスの葉のように葉身の下
 面に着いていること。例:ハス・ジュンサイ。
春肥シュンピ・ハルゴエ:3月上旬に施す肥料。
子葉シヨウ:種子の中にある胚の幼い葉。双子葉植物では2枚あり”ふたば”といわれる。
 単子葉植物では1枚,裸子植物では2〜多数である。
小花ショウカ:@頭状花序を構成する個々の花をいう。頭状花序。Aイネ科の小穂を作って
 いる個々の花。
小穂ショウスイ:イネ科,カヤツリグサ科の花序を形成する単位で,2枚の包頴に包まれた1
 〜数個の小花からなる。
小托葉ショウタクヨウ:複葉において小葉の基部にある托葉。例:クズ。
小低木ショウテイボク:(普通)1m以下の低木をいう場合がある。
鍾乳体ショウニュウタイ:表皮細胞の外膜の一部が細胞内に向かって棒状に突出したもの。例:
 イチジク。
上弁ジョウベン:スミレの花の上部にある2枚並んだ花弁をいう。
小包ショウホウ:花柄に着いていて花に最も近い包をいう。
小葉ショウヨウ:@複葉を作っている一枚一枚の葉をいう。Aシダ類のヒカゲノカズラ科,イ
 ワヒバ科の小さな葉。
小葉柄ショウヨウヘイ:複葉の小葉に着いている葉柄をいう。
常緑樹ジョウリョクジュ:1年以上に亘り枯れない葉を有する木。例:シイ・カシ・ツバキ・
 ヤツデ。
食虫植物ショクチュウショクブツ:昆虫やミジンコのような小動物を捕らえ,消化吸収して栄養の
 一部として生活する植物。例:モウセンゴケ・ムシトリスミレ・ウツボカズラ。
 植物生長ショクブツセイチョウホルモン:植物の細胞で作られる植物ホルモンの一種。その働き
 は,植物の生長を調節,細胞の長さや幅を増加させるので,その結果,葉,芽,茎,
 根,果実などが長く又は大きくなる。オーキシン,ジベレリン,合成植物ホルモンな
 どがある。
ショーshow咲き(大形ポンポン咲き・ボール咲きとも):完全な万重咲きで殆ど球形を
 しており,外方の花片の縁は内方に曲がり筒状となり,中心の花片も同形になる咲き
 方。
処女生殖ショジョセイショク → 単為生殖タンイセイショク
白根シロネ:@根の先端にあり,白色で幼若であるが,水分や養分の吸収力が強い。A種子
 から芽生えて白色を呈している根(幼根)。Bネギの偽茎の下部の白色の部分。
人工交配ジンコウコウハイ:交雑育種を行ったり,又は一代雑種の採種を行う場合に人工交配を
 行うこと。
人工授粉ジンコウジュフン:人工で花粉を媒介すること。
心皮シンピ:種子植物の花の各要素は葉の変形と考えられ,雌蘂メシベを構成する特殊の分
 化をした葉を心皮という。ソラマメは1個の心皮が筒状になったもの。アブラナは2
 心皮,アサガオは3心皮,フヨウは5心皮,ミカンは10心皮の合成からなる。
靭皮繊維ジンピセンイ:茎の皮の部分にある丈夫な繊維。製紙,ロープ,織物などが作られ
 る。例:アサ・コウゾ・ミツマタ・ガンピ。
唇弁シンベン:@ラン科植物の花の花弁のうち,中央にある1枚の大形のもの。Aスミレの
 花の中央にある距を持った花弁(下弁)を唇弁と呼ぶことがある。
針葉樹シンヨウジュ:広葉樹に対する語。マツ,スギ,ヒノキ,イヌマキなどのような針状,
 鱗片状,狭線形の葉を持つ樹木の総称。一般にソテツ科とイチョウ科とを除いた裸子
 植物をいう。
[次へ進んで下さい]