[詳細散歩] 参考:北隆館発行「野草大百科」など 〈タンポポの仲間〉 タンポポ類は便宜上、在来種と外来種に分けられる。外来種は、総苞外片ソウホウガイヘンが 反転して反り返っているもので、セイヨウタンポポと、実の色の赤いアカミタンポポと がある。 在来種は総苞が反転せず、頭花を抱いているように立っているもので、関東地方には カントウタンポポ、関西地方にはカンサイタンポポ、本州中部以北の山地にはエゾタン ポポが自生している。これらは何れも平地性で、他に高山性のミヤマタンポポ、それに 花弁の白いシロバナタンポポなどがある。 平地性のタンポポは二倍体であり、有性生殖によって結実するが、セイヨウタンポポ とアカミタンポポは三倍体で、無配生殖によって結実する。 タンポポ類は全て多年草で、茎は短く葉はロゼット(根生葉)状になっている。葉は 寒くて乾燥している程、切れ込みが深くなる。根は牛蒡ゴボウ根で長く、根の切片からで も再生する。 花は頭状花で、全て舌状の小花よりなる。 頭花は日中開いて夕方閉じる。これを2〜3回繰り返す。これは生長運動で、光と温 度が影響している。花が終わると花茎は横に倒れ、果実が熟する時期に再び伸びて立ち 上がり、冠毛を開き種子を飛ばす。 タンポポの語源は「ほほけ説」「たんぽ説」「つづみ説」「婆婆丁ポーポーチン説」など いろいろとある。漢名蒲公英、英名dandelion(ライオンの歯)、セイヨウタンポポの学 名の属名Taraxacumはアラビア語の「苦い草の意」に由来し、種名officinaleは「薬用の 」と云う意味である(学名はラテン語で綴られる)。 薬用としては、根を乾燥したものを煎じて健胃、胃痛薬として飲用する。 タンポポの仲間は、どの種類もロゼット状の根葉と、直根、花茎、頭花など殆ど全草 食べることが出来る。タンポポは日本全国に分布し、野草としてはその知名度は一位で ある。タンポポ(特にセイヨウタンポポ)は、花を摘んでも、多少は根を掘り上げてタ ンポポコーヒーを作って飲んでも、絶滅する心配はまずない。その意味でも、自然と触 れ合うためのこの植物の果たす役割は大きい。