[詳細散歩] 参考:北隆館発行「野草大百科」など 〈キクの仲間〉 野生のキクは一般に野菊と呼ばれるが、その主なものはキク属のリュウノギク、ノジ ギク、アワコガネギク、シオン属のノコンギク、ヨメナ属のユウガギク、ヨメナなどで ある。 キクの英名はChrysanthemumであるが、これはchrysos(金の)とanthemon(花)から 来ている。 普通に菊と云えば栽培菊を指し、これはわが国固有の花でないにも拘わらず、サクラ と共にわが国の代表的な花となっている。また、皇室の紋章となっているが、これは明 治(大正15年とも)になって決められたものと云う。 キクは「万葉集」には見られず、「古今和歌集」から現れる。 うゑしうゑば秋なき時やさかざらん 花こそ散らめ根さへ枯れめや 在原業平 露ながらをりてかざさむ菊の花 おいせぬ秋のひさしかるべく 紀友則 これらの歌は、栽培種のイエギクを詠んだものである。 栽培種のイエギクは中国から来たもので、雑種性のもので6倍体のものが多い。野生 種にはリュウノウギクのような2倍体のものから、ノジギクのような6倍体のもの、サ ツマノギクのように8倍体のもの、コハマギクのような10倍体のものまでいろいろな倍 数性のものが見られる。 野菊には、栽培種とはまた一味違った趣がある。