08 野草の鉢づくり7[作り方]
 
[植え土(市販のものの例)]
 
赤玉土:関東ローム層にある粒状の土で,通気性・排水性に優れ,保水力もあります。
 小粒のものを買い求めて篩フルイにかけて,それを植え土に用います。下へ落ちたチリの
 ような微塵ミジン粉は挿し芽のときの表土に使います。中粒のものはゴロ土として鉢底
 に敷きます。
 
富士砂:富士山の溶岩を細かく砕いたもので,通気性,保水性に優れています。求めた
 土を大中小の篩にかけ,大粒のものはゴロ土にしたり,鉢の上のコケ代わりに,中・
 小粒のものは赤玉土などと混ぜて植え土にします。
 
ケト土:池沼などで水草が腐熟してできた粘着力のある土で,保水力が強いので細かく
 して植え土に混ぜ込んだりします。石付きやケト玉作りには,このケト土を主体に赤
 玉や水苔を混ぜて練り込んで作ります。
 
荒木田土:田圃の底の方にある重い土で,これで水草を作ると水に浮かばず,また水が
 濁りません。
 
水苔:保水力が強く,篩でこすって細かくし,植え土に混ぜ込みます。また水に十分浸
 け,よく絞ってから鉢の表面に敷いたりします。
 
石付きやケト玉用の土:ケト土6,赤玉土3,細かい水苔1(必要により富士砂を加え
 る)の割合に水を加えて練り上げます。
 
 
[苗の求め方]
 
市販の苗:@葉に艶があり,葉枯れしていないもの,A鉢に平均に土が入っていること,
 B葉に害虫がついていたり,病害が発生していないもの,C温室育ちなどなよなよせ
 ず,しっかりしたもの,D開花期直前の草でしてたら蕾を持っていること,などに注
 意し,@自分の気に入った草で,A比較的育てやすく,また,Bお店の人と親しくし
 ておきましょう。
 
野山の苗:自然保護の観点から,また自然公園法や地主の承諾に配慮して下さい。@根
 ごと掘り上げて分けてもらう場合は,掘り上げた根に応じて地上部を切り取り,根が
 少ないものは地上部を1/4程度切り詰め,全体をビニル袋で覆い,直射日光を避けて持
 ち帰り,新しい土に植え替えて1〜2週間は日の当たらない,風当たりの少ないとこ
 ろに置いて下さい。A枝や葉を採ってくる場合は,梅雨時か花後,大きな葉は半分に
 切るなどしてビニル袋に入れて持ち帰り,一度水に浸けて水上げし,挿し床に挿して
 下さい。B種子を採ってくる場合は,十分熟しているもので,その草の播種期に応じ
 て蒔いて下さい。
 
 
[植え方]
 
単植:一般的な植え方のポイントは,@根がある程度乾き,土がほぐれる状態にし,A
 根についていた古い土はすべて落とし,B長過ぎる根は腐る原因になりますので切り
 落とし,C伸び過ぎた葉も切り取り,D根を四方に満遍なく張って植え,E新しい土
 を隙間なく詰め込み,F十分に水やりをして下さい。なお,古くなると花つきが悪く
 なりますので,普通2〜3年経ったら植え替えて下さい。
 
寄せ植え:@次の組み合わせは避けて下さい。▲日当たりを好む草と日陰を好む草,▲
 水を好む草とそうでない草,▲高山性の草と低山性の草,A花期が同じもの同士の組
 み合わせか,異なる組み合わせかは,作る人の好みです。B鉢の縁の方に背の高い草
 を植えますと,中が見えなくなったり,風通しも悪くなって枯れることもあります。
 
石付きを作る:@背の伸びる草は避け,草が石に密着するようなもので,3〜6月に植
 え,夏以降は根が廻らないうちに霜が降るので避けて下さい。A土は,ケト土を主体
 に,赤玉や水苔を加えます(前掲)。B石の植え面に針金を2本引いてセメントと接
 着剤で固定して,Cその上に草を植え込み,D針金を巻いて草を押さえ,E最後に,
 土の流出を防ぐために一面にコケを張って下さい。
 
 
[美しい鉢にするため]
 
日常の管理:水やり,施肥,病虫害防除など日常の管理のほか,美しい鉢にするため,
 次のことも必要です。
 
除草:雑草は除いて下さい。ただ,意外に面白い草が生えて,その鉢が引き立つようで
 したら,その見極めが難しいところです。
 
丈詰め:あまり伸び過ぎた草は切り詰め,丈を低く揃えますと,美しく育ちます。。
 
間引き:草が繁茂し過ぎましたら,間引きをして全体の姿を整えて下さい。

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