104 血液・血管の健康を保つ栄養素
 
              参考:成美堂出版発行「脳梗塞・心筋梗塞を防ぐ食事」
 
〈血中のコレステロールを減らす食物繊維〉
 食物繊維は体内で消化出来ないため、かつては不要な成分と考えられていましたが、
現在では、健康に役立つ栄養素として重要視されるようになっています。食物繊維には、
水溶性と不溶性の2種類があり、特にコンニャクや海藻類などに多く含まれる水溶性食
物繊維は、コレステロールの吸収を抑制し、血中のコレステロール値を下げる働きがあ
ります。水溶性食物繊維を摂取すると、便への胆汁酸の排泄量が増えます。胆汁酸はコ
レステロールを原料として作られるので、結果的にコレステロールが減少し、動脈硬化
を予防することになるのです。
 
△食物繊維の多い食品
 干し柿 1個70g − 14.0g
 ラズベリー 0.5カップ100g − 4.7g
 おから 40g − 4.6g
 干しひじき 10g − 4.3g
 栗 5粒100g − 4.2g
 切り干し大根 20g − 4.1g
 
〈動脈硬化を予防するポリフェノール〉
 肉中心の脂っこい食事をしているのに、フランス人だけは動脈硬化からくる心臓病の
死亡率が低い。「フレンチパラドックス」と呼ばれるこの謎を解いたのが、赤ワインに
特に多く含まれるポリフェノールです。
 動脈硬化の基になると云われている悪玉コレステロール(LDL)は、活性酸素によって
酸化されて酸化LDLになることで本当の悪玉になり、動脈硬化を引き起こします。ポリフ
ェノールのように抗酸化作用のあるものは、悪玉コレステロールが酸化するのを防ぎ、
酸化LDLを出来にくくする抗酸化作用が非常に高いことが分かっています。
 赤ワインをよく飲むフランス人は、知らず知らずのうちにポリフェノールを多く摂取
しているために、動脈硬化やその先にある心筋梗塞・脳梗塞を、未然に防ぐことが出来て
いたのです。
 
△ポリフェノールの多い食品
 赤ワイン 1杯100ml − 300mg
 バナナ 1本100g − 292mg
 マンゴー 0.5個100g − 260mg
 春菊 0.3把70g − 148mg
 納豆 1パック50g − 105mg
 日本茶・コーヒー 1杯100ml − 100mg
 
〈抗酸化作用のあるビタミンA − β-カロチン〉
 β-カロチンはビタミンAの一種です。ビタミンAには、初めからビタミンAの形で食
品に含まれる動物性の「レチノール」と、緑黄色野菜に多く含まれ、体内でビタミンA
に変わる「β-カロチン」があります。ビタミンAは、ビタミンC・Eと共に老化防止の
ビタミンとして知られていますが、特にβ-カロチンには、ポリフェノールと同様に抗酸
化作用があり、悪玉コレステロールの酸化を防いでくれます。
 β-カロチンは体内に入ると必要な分だけビタミンAに変わるので、β-カロチン独自
の効果を期待するなら、多めに摂っておくことが必要です。β-カロチンは脂溶性ビタミ
ンなので、油と一緒に摂ると、吸収しやすく効果的です。緑黄色野菜と油の組合せがお
薦めです。
 
△β-カロチンの多い食品
 モロヘイヤ 0.5袋50g − 5000μg
 にんじん 1本50g − 4500μg
 かぼちゃ 80g − 3200μg
 春菊 0.3把70g − 3150μg
 小松菜 0.3把100g − 3100μg
 ほうれん草 0.3把70g − 2940μg
 
〈コラーゲンの生成に関わるビタミンC〉
 ビタミンCは、コラーゲンの生成に欠かせない栄養素です。コラーゲンとは、細胞や
組織を結合させる接着剤のような働きをする蛋白質で、体の組織を形成したり、若々し
く保つために必要不可欠な物質です。当然、血管の形成や維持にも関係します。動脈硬
化を起こした、固くてボロボロの血管とは反対に、しなやかでピカピカの血管は血液の
流れるスムーズになります。血管が詰まりにくいのは勿論、傷付きにくいので、血栓も
出来なくい理想的な状態の血管のことです。
 このような理想の血管を維持するためにも、ビタミンCはたっぷりと摂りたいもので
す。過剰症の心配はなく、逆に摂取後2〜3時間で直ぐに排泄されてしまうので、食事毎
に補給するのが望ましいでしょう。
 
△ビタミンCの多い食品
 柿 0.5個80g − 56mg
 ピーマン 中2個70g − 53mg
 パパイヤ 0.5個100g − 50mg
 いちご 10粒150g − 97.5mg
 ブロッコリー 小房4〜5個80g − 96mg
 キウイ 1個100g − 69mg
 
〈老化を防ぎ若々しさを保つビタミンE〉
 ビタミンEの効果として挙げられるのが、強力な抗酸化作用です。ポリフェノールや
β-カロチン同様、血液中の悪玉コレステロールの酸化を食い止め、動脈硬化を防ぐ効果
があります。
 しかもビタミンEなど抗酸化作用のある栄養素(抗酸化物質)は、活性酸素によって、
血管や粘膜など体内のあらゆる細胞が酸化し、老化するのを防いでもくれます。血管の
老化を防止し、若々しさを保つことは、動脈硬化や血栓の予防に繋がります。抗酸化物
質は、悪玉コレステロールの酸化防止と血管の老化防止と云う二つの側面から、心筋梗
塞・脳梗塞を防いでくれるのです。
 ビタミンEの抗酸化作用はビタミンCによって強められるので、二つを合わせて摂る
と、より効果的です。
 
△ビタミンEの多い食品
 ひまわり油 大匙1杯13g − 5.1mg
 うなぎ蒲焼き 1串100g − 4.9mg
 アーモンド 10粒14g − 4.4mg
 かぼちゃ 80g − 4.1mg
 あんきも 0.3切25g − 3.5mg
 アボガド 0.5個100g − 3.4mg
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