13b 野菜「山菜野草」
 
◎ヨメナ ノギクとも
 キク科
 プロフィール:ヨメナは西日本に広く自生する多年草で,高さ50〜120p,葉はやや厚
くて艶があります。古代からわが国の食卓に親しまれている「若菜」の代表的な存在で
す。『万葉集』においてはウハギと云う古名で謳まれています。
 少し湿気のある道端や田畑の畦道などに生え,ユウガギク,オオユウガギク,ノコン
ギクなどと共に数種類ある野菊の仲間の一つです。新芽の時期は3〜6月,10p位に伸
びた,仄かに赤紫色がかった若い芽を,根元の部分から摘み取ります。秋に咲く白色や
薄紫色の花も,蕾と共に食用にされます。
 
 △食べ方と効能
 ヨメナは春の摘み草の代表格,苦味が少なく,味も良い。若芽を摘んで塩茹でし,お
浸しや和え物にしたり,刻んでご飯と混ぜ合わせ,ヨメナ飯にします。その他天麩羅や
炒め物にしても良い。
 ビタミンA効力,ビタミンCが豊富で,カルシウムやリンも多い。
 
◎ヨモギ 蓬 モチグサ・フツ・モグサ・ヤイトグサ・ヨゴミとも
 キク科 原産地:イスラエル,北アフリカ
 プロフィール:ヨモギは本州〜九州に自生し,東北地方においては3〜4月,それ以
南の地方は3月頃が旬です。香りが良いために,和菓子の草餅に用いられていることで
有名です。春に摘み,雛の節句に用います。
 葉は先が尖り,深い切れ込みが入っています。表面は緑色で,裏面は灰白色,細い毛
が生えています。夏から秋にかけて淡褐色の小花を咲かせます。
 
 △食べ方と効能
 ヨモギは乾いた道端に生え,苦味と香りが強く,草餅や草団子にされます。風味の良
さでは,雪解けの冷たい水流の脇に群生するヤマヨモギに軍配が上がります。
 摘んだヨモギは,茎の硬い部分を折って除き,綺麗に洗って塩茹でします。アクが強
いときは,茹で湯に重曹を入れ,水に取って1時間程そのまま置きます。茹でたものは,
ヨモギ団子や和え物,お浸しにし,生のまま天麩羅にしても美味しい。
 
◎ワラビ 蕨 ワラビナ・ヤワラビ・サワラビ・シトケとも
 ワラビ科 原産地:温帯から熱帯
 プロフィール:ワラビは,各地の日当たりの良い草地や土手に生えます。九州・四国
は4月頃,中国地方や関西地方は4〜5月,中部地方から北海道は5〜6月が旬です。
春に出る若芽を食用とします。
 若芽はその後開いて葉になり,1m位の草丈になるものもあります。
 若芽は手で簡単に折って採取出来ます。露地栽培やハウス物も出回っています。
 
 △食べ方と効能
 ワラビは葉が未だ開く前か,開きかけ位のものを摘みます。アクが強いので,生のワ
ラビに重曹を振り掛け,沸騰した湯を廻し掛けてワラビが浮かないように落とし蓋をし
てそのまま冷まし,水洗いして再びさっと茹で,水に晒して置きます。このようにして
アクを抜いたワラビは,お浸しや汁の具,山菜おこわにします。また生のまま塩漬けに
したり,茹でて天日干しにしますと,保存食になります。
 ビタミンC,ビタミンA効力を多少含み,食物繊維が多く,根からは澱粉が採れます。
 
◎モミジガサ 紅葉傘 シドキ・シドケ・キノシタ・トウキチとも
 キク科 原産地:日本,中国
 プロフィール:モミジガサは,各地の林下の湿り気のある処に自生し,葉がモミジの
ような形をしていることから名付けられました。
 九州は4月,四国から関西地方までは4〜5月,関東地方から北海道は5〜6月頃が
旬です。20〜30pの若芽を食用とします。柄の柔らかい部分を折って容易に採取できま
す。
 夏に紫色を帯びた白色の小花を咲かせます。
 
 △食べ方と効能
 モミジガサの食用部分は,若芽と若茎,花蕾です。
 水洗いするときは,茎の硬い部分をポキンと折って除きます。塩湯で暗紫色の茎が緑色
に変わるまで茹でます。茹で上がりましたら水に取って冷まし,アクが強いので,水を
数回取り替えて下さい。炒め物や和え物,お浸し,汁の具など,また生のまま天麩羅に
もします。
 
◎ギョウジャニンニク アイヌネギ・ヤマビルとも
 ユリ科 原産地:ユーラシア大陸北部,北アメリカ北部,北海道〜奈良以北の深山
 プロフィール:ギョウジャニンニクはその昔,山に入った修行者が精力を付けるため
に食べた,との言い伝えがあります。
 2番芽の出ない,繁殖力のない山菜ですので,一株から葉だけをそっと摘み取って下
さい。早春に芽を吹き,初夏頃まで食べられます。
 
 △食べ方と効能
 ギョウジャニンニクの旬は4〜5月です。ネギの仲間特有の強い香りがあり,葉全体
が食べられます。地下の鱗茎は,ニンニクに似た辛味があります。春に若芽や若い葉を
摘み取り,味噌を付けて食べます。生のまま天麩羅や汁の具にします。またさっと茹で
て,お浸しや和え物にします。茹でると甘味が出るので,酢味噌和えやマヨネーズ和え
にしても美味しい。蕾も軽く茹でてお浸しや酢の物にします。鱗茎は刻んで,味噌和え
や炒め物の風味付けに利用します。
 
◎ウワバミソウ ミズ・ミズナ・ミズクサ・トロロクサとも
 イラクサ科 原産地:日本
 プロフィール:ウワバミソウは多年草で,草丈は30〜60p,山麓から標高2000m位の高
山まで,渓谷沿いや湿り気のある林下に群生します。ウワバミとは大きな蛇のことで,
この山菜も蟒蛇ウワバミのように,美味しく沢山食べられる,と云うことら名付けられたと
云われています。
 地上部全草が食べられますが,主に柔らかく赤みがかった茎を食べます。暖かい地方
においては4月下旬から,普通は5月下旬頃から,茎が倒れる秋までが旬です。春には
葉の付け根に白い花を咲かせ,秋になりますと節の部分が膨らんでムカゴができます。
 
 △食べ方と効能
 ウワバミソウは,美味しいのは茎の部分です。たっぷりの茹で湯で,細い茎はそのま
ま茹で,太いものは皮を剥いて茹で,お浸しや和え物に用います。また生のまま包丁な
どで叩きますと粘り出てとろろのようになりますので,ご飯に掛けて美味しく戴きます。
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