07c 野菜「根菜類−塊茎根」
◎ヤマイモ 山芋 ヤマノイモとも
ヤマノイモ科 原産地:熱帯亜熱帯地方(中国,日本など)
プロフィール:一般にヤマイモと呼ばれ,わが国において栽培されているものに,大
別してヤマノイモ,ジネンジョ,ダイジョの三つの種があります。更にヤマノイモは,
ナガイモ群,イチョウイモ群,ヤマトイモ群の三つの品種群に分けられます。この三品
種が市場に出回っている馴染みの品種でしょう。
ヤマノイモ,ジネンジョ,ダイジョは,何れも蔓性植物ですが,これらの原産地はそ
れぞれ異なります。ヤマノイモの原産地は中国で,朝鮮半島を経由してわが国へ渡来し
たと云われています。ダイジョは東南アジアが原産地,ジネンジョはわが国の山野に自
生します。
高温を好み,昼夜の温度差の大きい地域において優良品が生産されます。耐寒性にお
いてはジネンジョは強いが,他はあまり強くありません。特にダイジョは寒さに弱く,
12℃以下になりますと種芋が腐るので,寒冷地における繁殖は難しい。
出回り期は品種によっても多少異なりますが,大体9月から12月です。貯蔵力が強い
ので8月まで利用されていますが,7〜9月は品薄になりますので,価格も高くなりま
す。
△ヤマイモの主な品種
@ジネンジョ:わが国の山野に自生していますが,栽培品もあります。長さは60〜100
cm,天然のものは粘りも強く味も抜群です。収穫には困難を伴うため,流通は少量
です。
Aナガイモ:ナガイモは最も栽培が多く,ナガイモ群の中において更に長芋,一年芋
など数種類の品種に分かれます。西南暖地から北海道まで広く分布します。
Bイチョウイモ(銀杏芋):形は扁平で淡褐色の外皮を持ちます。粘りが強いのでト
ロロイモと呼ばれたり,関東地方においては大和芋と呼ばれることもあります。
Cヤマトイモ(ツクネイモ):ヤマトイモ群は更に伊勢芋,豊後芋,大和芋の3品種
に分かれます。近畿・中国地方において栽培されています。水分が少なく,粘りが強
いのが特徴です。
△食べ方と効能
ナガイモの旬は秋です。ナガイモはスラリと形が良く,太さが均一なものを選んで下さ
い。あまり細いものより,ずんぐりしているものの方が味は良い。不自然に白いものは,
漂白していることがあるので避けて下さい。ビニール袋で密閉されているものは,ガス
が出ると膨らみますのでチェックしましょう。ヤマトイモは見かけの割りに重く,凹凸
のないものを選びます。ジネンジョは重く,髭根ヒゲネが密集しているものが良品です。
長期保存する場合は,大鋸屑オガクズに埋めて置きます。短期間ですと新聞紙に包んで冷
暗所に置きます。切ったものは,切り口から水分が失われ,変色して行きますので,切
り口をラップでピッタリ覆います。
ナガイモは,千切りにしてシャキシャキッとした歯応えを楽しみます。醤油と山葵で戴いた
り,酢の物にします。
ヤマトイモは粘り気が強く,味も良いので,とろろ汁や山掛けなど卸して食べる方法
が適しています。そのほか擂り卸したものを小麦粉を混ぜ合わせ,海苔で挟んで天麩羅
にしたり,お好み焼きのタネに混ぜ合わせても美味しい。天然のジネンジョはとろろに
して戴くのがベストです。
イモ類の中では蛋白質が多く,しかも澱粉の分解酵素ジアスターゼや,糖質分解酵素
アミラーゼ,酸化還元酵素カタラーゼが豊富に含まれていますので,消化が良い。昔か
ら病人の薬用食,強精食として重用されています。
◎クワイ
オモダカ科 原産地:中国
プロフィール:クワイは主として直径5cm程度,わが国の主要品種のアオクワイ(新
田クワイ),中国において栽培されるシロクワイ(シナクワイ),大阪吹田において栽培される
小型で形の良い吹田スイタクワイ(姫クワイ)の3種があります。中国料理に用いられるクロ
グワイは,カヤツリグサ科のオオクログワイ(中国野菜の項参照)で別科です。
草姿は高さ1m,葉柄は長く三角形の矢尻型の大きな葉を垂直に付けます。地下茎の先
端に球形の塊茎を付け寝その頂点には先の尖った芽があります。塊茎は薄い藍色をし,
芽の伸びたものの方が良質とされます。
△食べ方と効能
クワイの旬は冬から初春にかけてです。芽が出ていることから,「目出度い」祝いの
野菜とされ,お節オセチ料理には欠かせません。艶が良く,あまり大き過ぎないもの,芽の
部分が真っ直ぐに伸びてしっかりしているものが良質です。アオクワイの方がシロクワ
イよりも肉質や食味共に優れています。含め煮やクワイ煎餅が一般的です。芽は縁起物
なので決して切り落とさず,付けたまま料理します。アクが強く直ぐに色が悪くなりま
すので,米の研ぎ汁か小麦粉少量を加えた熱湯で5〜6分下茹でをしてから調理して下
さい。
[次へ進んで下さい]