02 野菜「葉菜類−葉」
 
             野菜「葉菜類−葉」
 
                     参考:草土出版発行「花図鑑[野菜]」
 
〈葉菜類−葉〉
 
◎キャベツ
 和名:甘藍カンラン アブラナ科 原産地:ヨーロッパ
 プロフィール:キャベツは,古代ギリシャ・ローマ人も食用とした最古の野菜の一つ
であり,世界において最もポピュラーな野菜と云えるでしょう。ブロッコリーやカリフ
ラワーもこの仲間に含まれます。キャベツと云う名はラテン語のcuput(頭)に由来しま
す。ヨーロッパには,キャベツの葉の間から子供が生まれると云う俗説もあります。
 元々の野生種はケールのような不結球型のものです。それをケルト人がヨーロッパに
広め,その過程で現在のような丸い形の結球型が生まれました。16世紀にはカナダへ,
17世紀にはアメリカへ,中国へは陸路を通じて17世紀頃に伝わりました。日本へは18世
紀初頭の江戸時代,オランダ人が長崎へ持ち込み,オランダ菜と呼ばれ,観賞用として
栽培されて葉ボタンとなり,食用にはされませんでした。
 幕末になって食用として栽培され始め,最初は外国人居留地向けでした。明治時代末
期になって一般にも拡がり,第二次世界大戦後は急速に消費量が伸びました。日本にお
ける主な産地は千葉,神奈川,愛知,群馬などです。
 ビタミンCやアミノ酸,カルシウムを多く含み,胃腸に良いとされるビタミンUはキ
ャベツ特有の栄養素です。甘味の基となる糖質は,葉菜類の中で最も多い。
 
 △キャベツの主な品種
 @春蒔き型:春から初夏に種子を蒔き,夏から秋に収穫するもので,長野県などで多
  く栽培され,高原キャベツとも呼ばれます。
 A夏蒔き型:夏に種子を蒔き,冬に収穫されるもので,寒玉と呼ばれ,寒さに強く葉
  の巻きが堅く,煮崩れしにくいので煮込み料理向きです。
 B秋蒔き型:秋から冬に種子を蒔き,初春から初夏に収穫,春玉と呼ばれ,巻きはや
  やゆるいが内側まで緑色をしており,葉の柔らかさから生食用として人気が高い。
 C丸玉:一般にはグリーンボールと呼ばれて親しまれ,やや小型で丸く,緑色が濃く,
  味わいが軟らかで生食に適しています。
 Dポインテッドタイプ:長円錐型の小型キャベツで,種子蒔き後3ケ月程で収穫出来
  る極早生種,葉が柔らかく生食に向いています。
 E紫キャベツ:赤キャベツとも呼ばれ,葉に含まれる色素は酸に触れると鮮やかに発
  色するため,ピクルスやサラダの敷ものに利用されます。
 Fサボイキャベツ:葉が縮れた縮緬キャベツの結球種,この縮れが衝撃を和らげるた
  めに輸送中の傷みが少なく,日持ちもします。これの不結球種がカーボロネーロで
  す。
 Gケール:キャベツの原型とされる種で,縮緬皺シワのあるカールドや皺のないプレー
  ンなど多品種があります。ビタミンA・Cが豊富で,別名葉キャベツとも云います。
 H芽キャベツ:普通のキャベツの芽ではなく,分化した別種です。子持ちキャベツと
  も呼ばれ,葉腋にピンポン玉程の球を付けます。
 Iプチベール:丸く結球しない型の芽キャベツで,緑色の薔薇の花のような形が特徴,
  近年にできたばかりの新種なので流通はまだ少量です。
 
 △食べ方と効能
 キャベツは年中大量に出回っていますが,季節毎に品種が違い,それぞれに特徴があ
り利用法も異なります。
 春に出回る新キャベツ(春玉)は,緑色が浅く葉肉も薄いが,水分が多く葉が柔らか
いので,生食が一番です。千切りにしてトンカツの付け合わせにはもってこいのキャベ
ツです。またベーコンとサッと炒めて朝の卵料理に添えて下さい。
 冬から春にかけて出回るキャベツ(寒玉)は,肉厚でしっかりしていて甘味も強い。
煮込んでも崩れず,煮ることによって甘味が十分に出るので,長く煮込む料理に合いま
す。茹でた葉で挽肉を包んで煮込むロールキャベツや,豚肉,フランクフルト,ベーコ
ン,ニンジンなどと一緒に煮込むポトフにすると美味しい。葉の巻きがしっかりしてい
て,持ったときにずしりと重いものを選んで下さい。ただし新キャベツは結球がゆるく
ふわりとしているので,見た目程重くはありません。半分に切って売られているときは,
芯が上まで伸びていないものを買って下さい。これは薹トウ立ちと云って,苦味が出てい
ます。またキャベツは外側の葉から鮮度の低下が始まるので,外葉に艶があり,黄ばみ
や褐変がないことも大切です。
 栄養的には,胃腸障害に効果のあるビタミンUを含んでいるのが特徴で,そのほかビ
タミンCも豊富,特に芯の周りに多く含まれています。外葉の緑の部分は,ビタミンA
効力も期待できます。
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