04 薬膳粥その3
 
              薬膳粥その3
 
               参考:JA沢田薬王園発行「カラダのための薬膳粥」
 
【烏骨鶏ウコッケイ粥】
 
 鶏は重要な蛋白供給源として,人間の歴史と共に世界各地において飼育されて来まし
た。中国四川原産の薬鶏「烏骨鶏ウコッケイ」は,起源はキジ科の鳥で,ニワトリの一種で
す。羽毛は黒又は白の2色がありますが,何れも皮・肉・骨・嘴は全て黒色のため,烏
色(黒)の骨を持つ鶏と云う意味で,烏骨鶏と名付けられたと云われています。
 烏骨鶏は千羽に一羽の鶏とも云われる珍しい鶏ですが,その骨と肉が中国においては
薬用として市販されています。虚弱体質による微熱を除去し,肝臓・腎臓の働きを助け
る効果があるとされ,「中薬大辞典」(小学館編)には,生理痛や帯下(おりもの)に
も有効と書かれています。生理不順でお悩みの方にもお薦めします。
 
 料理の素材としては,肉は老酒漬け蒸し鶏が滋味深く,歯応え抜群の絶品と云われ,
殻ガラを野菜と共に半日煮込んだスープもあっさりと良い出汁ダシが出ています。昔から
肝臓や腎臓,血液の病気や虚熱の治療に適するとされ,珍重されて来た所以ユエンです。中
国の有名に詩人杜甫トホの詩にも詠われている烏骨鶏ですが,楊貴妃が好んで食べたと云
われる鳥肉も,もしかしたら烏骨鶏のものだったのかも知れません。
 烏骨鶏はあらゆる部分が薬用とされていますが,産卵率が低いためもあって卵は「幻
の漢方卵」とも呼ばれています。ニワトリの卵より一回り小さい綺麗な楕円形で,陸上
動物においては珍しいと云われるドコサヘキサエン酸やエイコサペンタエン酸を含んで
います。
 
 烏骨鶏の殻で作ったスープをベースに,漢方の本場の味を活かした,日本人の口にも
合う薬膳粥をご紹介します。
 烏骨鶏の殻の冷凍のものは,薬王園(群馬県吾妻群中之条町)や大きな店において入
手出来ます。スープは,鶏殻スープと同じ方法によって作ります。烏骨鶏が入手出来な
いときは,鶏殻スープを用います。
 
[烏骨鶏の卵粥]
 烏骨鶏スープのお粥に卵を落とし,あっさりと生姜味で戴きます。一番シンプルで一
番贅沢な味です。烏骨鶏の卵はカロチノイド,フラボノイドが豊富で卵黄が濃く,美し
い色をしており,円やかな美味しさです。
 烏骨鶏スープに更にその卵を加えて,虚弱体質の方に召し上がって戴きたいお粥です。
疲労回復・滋養強壮は勿論,種々の婦人病にも効果的と云われています。
 味付け占地シメジなどを載せて一緒に戴きますと,箸が進みます。
 材料:4人分/烏骨鶏スープ800ml,鰹出汁600ml,白米180g,烏骨鶏卵4個,生姜ショウ
  ガ少々,薄口醤油30ml,味醂10ml,清酒45ml,塩少々
 作り方:@分量の烏骨鶏スープに鰹出汁・白米・薄口醤油・味醂・清酒・塩を入れ,
   お粥に炊き上げる。
  A烏骨鶏卵は炊き上がる直前に入れ,半熟状態で火を止め,生姜の絞り汁,又は千
   切りを添えます。
 メモ:卵は煮過ぎないよう,スープと共に風味も楽しんで下さい。
 
[舞茸マイタケ粥]
 舞茸は美味しくて,稀マレな茸と云われ,山林において舞茸を見付けますと嬉しくて思
わず舞い出してしまうので,この名が付けられたと云います。現在では人工栽培される
ようになり,年中,しかも安価で入手出来るようになりました。舞茸は炊き込みご飯な
どにもよく用いられますが,お粥に煮込んでも美味しく戴けます。
 舞茸には免疫機能を高める効果があるとされ,未だ動物実験の段階ですが,癌ガンや成
人病予防に効果的であることが発表されています。
 材料:4人分/烏骨鶏スープ800ml,鰹出汁600ml,白米180g,舞茸80g,薄口醤油30
  ml,味醂5ml,清酒45ml,塩少々
 作り方:分量の烏骨鶏スープに全ての材料を入れて,お粥に炊き上げる。
 メモ:舞茸を生のまま用いますと,出汁が黒っぽくなりますので,気になる方はフラ
  イパンで空炒りしてから加えて下さい。また,このお粥のように醤油味にしますと,
  舞茸の風味が増します。
 
[肉団子粥]
 烏骨鶏スープの酷コクと椎茸の旨味,それに烏骨鶏の肉団子の肉汁がたっぷりと滲み出
して,病み付きになりそうな美味しさです。
 元禄時代から人工栽培されていたと云う椎茸は,旨味成分が多く,日本料理の出汁を
採るには欠かせない素材です。特にビタミンDが豊富な干し椎茸は,カルシウムの吸収
を助け,骨や歯を丈夫にするなどの効用がありますが,生椎茸にも多糖体(レンチナン
)を多く含んでいますので,免疫作用を高め,体の抵抗力を強める作用があります。生
椎茸は揚げ物・汁物・焼き物と,広く利用できる優れた食品です。
 材料:4人分/烏骨鶏スープ800ml,鰹出汁600ml,白米180g,,薄口醤油30ml,味醂
  10ml,清酒45ml,塩少々,三つ葉適量
  〈肉団子〉烏骨鶏挽肉(鶏肉でも可)200g,烏骨鶏卵(鶏卵でも可)1個,玉葱半
  個,椎茸3枚,卸し生姜5g,大蒜ニンニク大1個,塩小匙1/2,味醂15ml,清酒5ml,
  片栗粉大匙2,月桂樹の葉1枚
 作り方:@肉をミンチにし,椎茸・玉葱微塵切り・卸し生姜・大蒜・塩・味醂・清酒
   ・片栗粉を入れ,混ぜ合わせて小さめの団子を作る。卵を加えてよく練る。
  A沸かした湯に月桂樹を入れ,肉団子を落とし入れ,表面が白くなったら取り出す。
  B分量の烏骨鶏スープに鰹出汁・薄口醤油・味醂・清酒・塩を入れ,白米・肉団子
   を加えてお粥に炊き上げる。
  C彩りに三つ葉を添える。
 メモ:烏骨鶏の肉は堅いので,ミンチにするときはフードプロセッサーは使わず,包
  丁でよく叩くようにして下さい。月桂樹の葉は,烏骨鶏肉の臭みを取り除くと共に,
  胃液の分泌を促し,食欲増進の効果があります。
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