07a 竹文化〈竹未来〉
 
〈竹細工の工夫〉
 △薮梯とバンブー・ランタン
 薮梯ヤブバシゴは最上段の横桟を藤蔓,シュロ縄,又は布紐で緩くくくりますと,使用
するときに,滑る心配がありませんので,いたって便利なものです。
 バンブー・ランタンは,1本の竹を長さ50〜100pに切り揃え,両端を縛って中央を
5〜6本に割ったものです。この割ったところに懐中電灯を差し込んで固定して照らし
ます。吊るしたり,地中に刺したりして使います。キャンプや,人手のない場合の照明
に便利です。
 
 △竹細工
 ・竹人形:わが国の郷土人形は,土から木へ,木から竹へと変遷してきました。竹人
形が木製よりも後に発達したということは,鋸による直線の面が出しにくいためであり
ました。
 竹人形は鹿児島が最も優れ,続いて大分,新潟などです。竹人形の美しさは,天然の
曲面と人工のとが交錯する二つの面,これらを大小自在に組み合わせるところに人生と
似た味があります。竹の自然の多様性にいまさらのように一驚します。1本の竹からは,
数百個の人形が作られます。
 ・阿波踊り人形:この人形は「竹の直線と曲線と,種類の特徴との三つの組み合わせ
によって,一層竹らしい面白さを増している」といわれています。肉厚のモウソウチク
は台に,ホテイチクは光沢を必要とする部分に,マダケは渋味のある幅広のところ,手
ぬぐいにはマダケの皮というように使いこなしています。
 
 △笊ザルの味
 竹笊は目の大きさが揃っていて水切りがよく,その上耐熱性,弾力性,通気性に富ん
でいます。
 また稈の皮部を細いひごにして編んだものや,皮を剥ぎとり中身で編んだもの,笊の
骨に竹の皮を用いたものや身を用いたものなどさまざまです。皮の部分で編んだものは
多少高価ですが,ずっと長持ちし,その上カビが生えることが少なく,水切りも一層良
いです。
 笊を長持ちさせる方法は,購入早々,@口縁から底にかけて2〜3ケ所,針金で補強
して下さい。A5〜10分,湯の中で煮て(湯抜き)下さい。そうしますと,2〜3倍長
持ちします。なお,丸竹を使用しているものは,日陰でゆっくり乾燥しませんと亀裂が
できます。また,接着剤を使用しているものは,湯抜しない方がよいでしょう。
 
〈竹の生(活)かし方・枯らし方〉
 △生(活)かし方
 ・くまで材:くまで,又はがんじきなどといい,地面を掻いて塵集めする道具です。
竹稈を幅1p位に割り,先端を直角に曲げて作ります。よく曲げれるものとして,マダ
ケ,モウソウチクの生材を用います。
 ・飾り竹:ホテルのロビーや窓辺に竹稈を組み合わせて飾ります。青竹の色と艶を保
つためには,風通しを悪くし,直射日光をあてないことがコツです。
 ・酒樽の飾巻き:これには1年生の新竹を用います。色が悪くなりましたら取り替え
るしかありません。なお,2〜3年生のものでは色が冴えないので使えません。
 ・オカメザサの篭:オカメザサ(メゴザサ)の稈を丸のままで茶碗篭を編みます。乾
燥すると硬くなりますので,青味のあるうちに使います。一度乾燥(枯れる)しますと
金属のように弾力がなくなりますので,端の部分は割竹の中に突っ込んだままにしても
いいです。
 
 △枯らし方
 ・粽の葉:チマキザサの葉は,生葉を早朝に採って霧をかけ,しばらくおいてから使
用します。
 秋から冬,早春に使用するときは,北向きの樹下に生育しているチマキザサの葉を,
夏の快晴の早朝に採り,1日でからっと干し上げ,すぐに新聞紙に包んで日陰に保存し
ておきます。使用する4〜5時間前に水に漬けますと生き生きとした葉に戻ります。急
ぐときは微温湯に漬けて下さい。青色を出したいときや乾燥したものは塩水に漬けて下
さい。
 ・煤竹づくり:煤スス竹の代表的作品に”竹鳴子”があります。
 煤竹とは,その竹製品が年代物に見えるように煤で黒くなったものです。これを人工
的に作るには,竹を早く枯らし,木炭製造中の煙を箱内に誘導して稈をあぶって色を出
させます。早く枯らすには,日の当たるところで干し,割裂する直前に80℃の湯に入れ
て湯抜きをします。
 割竹など小さい細工品は,干した竹材を種油タネアブラでテンプラにしますと色がすばら
しく上がります。
 また,模造媒竹といって薬品(硫酸,塩酸など)によって着色したものもあります。
  ・筆軸づくり:筆軸は芸術品ですので,穂先はさておいて,軸が命です。筆軸は大き
さに応じてヤダケ,メダケ,ネザサなどが用いられます。主として稈の節間を利用し,
天日で干し上げますと,黒斑もつかず,真白く上がります。晴天が続きませんと黒ずん
でカビが生え,害虫などに悩まされます。
 
                     参考 「竹」法政大学出版局 THE END

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