06a 竹文化〈竹庭〉
 
〈生垣としての竹〉
 生垣には地下茎がないか,又は節間の短いもの,葉が小さくて密生しても内部がむれ
ないもの,節々から萌芽し寿命の長い,病虫害に強く,見た目にも美しいことが望まし
いです。
 ・オカメザサ(ブンゴザサ):高さ1m程度の,刈り込みの少ない自然風がよいでしょ
う。また,高さ20〜30p程度に揃えて内垣にします。この場合,密生しても葉がむれる
ことはありません。
 ・カンザンチク(ダイモン,デミョウダケ):高さ3〜5mにして強風除けがいいで
しょう。稈を切らずに自然風に育てます。
 ・カンチク(モソチク):高さ1〜3m,普通は50〜80pに切ります。昔から城内に
よく植えられています。薄暗い大樹のもとや,半陰地の板塀を隠すのに適しています。
 ・ゴキダケ,ネザサ類:高さ50p〜2mで自然の生垣にします。角型に剪定して延々
と長くするのもいいです。
 ・ハチク(カラタケ,アワタケ):高さ2m前後,枝条が細やかで美しい柔らかな葉
をつけます。和室の仕切りなどに適しています。
 ・ホウライチク(ウビダキ,チンチク):バンブーの一種で高さ3〜5m,枝条には
一種独特の柔らかみがあり,沈竹壁と呼ばれます生垣の王者です。本州中南部まで作れ
ます。
 ・ホテイチク(ゴサンチク):高さ7〜8mに生長しますので,高さ3mまでの生垣に
適します。稈は密生し,枝が下からつきます。本州各地で作れます。
 ・マダケ(オトコダケ,オダケ):3m以上の高い生垣のときに用います。桂離宮の
ものは有名です。幅5〜8mを要し,支柱も必要ですので,管理が難しいです。
 ・コマチダケ(ヒメダケ):中国以西で作られます。小葉型のものは独立株としてよ
く,中葉型のものは生垣に優れています。
 
〈造園竹の寿命〉
 竹薮での寿命は,モウソウチク12〜13年,マダケ15〜16年,クロチク13〜15年が標準
です。稈が黄色くなったり,下枝が上がって見苦しくなったら植え替え更新します。
 前栽のクロチクやヒメハチク,屋上や盆栽に植えたヤダケ,オカメザサ,クマザサな
どは筍も出やすく,葉も1年生のものが美しいですので,毎年,7月中・下旬に伐採し
ましょう。関東のナリヒラダケ,関西のトウチクも1年生更新がよいでしょう。
 ただし,リュウキュウチクや盆栽など種類によっては,2〜3年のものを残しておく
場合もあります。
 
〈竹酔日 ― 五月十三日〉
 300年前に中国で著されました「花庸月令」などによれば,竹の移植は竹酔日チクスイジツ
の5月13日にすることといわれ,この日に植えれないときでも”5月13日”と書いた紙
片を植竹の枝に吊るしておきますとよく活着すると伝えられております。この日は竹が
酔ったような状態になり,移植されたことにいっこう気づかないでよく活着しますとい
うことです。
 この旧暦5月13日頃は,日本の有用竹であるマダケやハチクは筍が伸びたばかりで移
植に最悪の時期ですが,中国(南支)ではホウライチク,ダイフクチクなどのバンブー
類は出筍前ですので移植には最適期です。
 
〈竹の庭木づくり〉
 モウソウチクの庭木づくり要領をご紹介します。
 まず,肥沃地の疎林に生えた太い30pぼど伸びた頃の筍の,竹皮の下部のものを4〜
5枚剥離します。次の日にも4〜5枚剥ぎます。順次2m位になるまで剥離を繰り返し
ます。上部ほど節間が長くなりますので,上部になるにしたがって1日に7〜10枚剥い
で下さい。竹の皮を剥ぎますと枝が太くなって庭木らしくなります。
 竹の皮を剥ぎませんと,その節間が著しく伸長してよくありません。雨天のときは生
長がよいので竹の皮は多い目に剥ぎ,旱天続きのときは少な目に剥いで下さい。
 剥離は4〜5mの摘心する高さまで行います。このように剥離しますと,上部の枝張
りが短く,下部に従って長くなり,安定感がでてきます。
 9月になりましたら,彼岸前後10日間に掘り起こして鉢巻きをします。まず株の中心
に十分に潅水して掘り起こします。竹の直径1としますと,根回しの直径は4の比率に
して下さい。根切りをして整枝します。枝は各1本ずつとし,2本とするときは小枝を
2〜3節で切り除くなど車枝の感じを少なくして下さい。整枝した枝は幹として扱い,
下部のものほど長めにしますと安定感が出てきます。
 翌春3月に庭へ定植します。濡れむしろに包んで運搬し,十分潅水して,支柱で補強
します。
 その後は,潅水と施肥をして下さい。施肥は1株当たり硫安100g,過燐酸石灰100g,
硫酸加里50gを株元から30pのところに穴を掘って施して下さい。
 
                         参考 「竹」法政大学出版局

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