19 そのまた小さなコドモ達〈食キノコと毒キノコ〉
そのまた小さなコドモ達〈食キノコと毒キノコ〉
〈食キノコと毒キノコ〉
食用キノコの多くは菌蕈綱キンジンコウハラタケ目に属します。そのほか,菌蕈綱ヒダナ
シタケ目にもマイタケ,マスタケ,カンゾウタケ,ホウキタケ類,アンズタケ類,さら
に腹菌綱にもショウロやキヌガサタケ(このキノコは中華料理の高級材料です)などが
あります。菌蕈綱キクラゲ目のキクラゲやアラゲキクラゲも食用になります。子のう菌
にもアミガサタケやターファス(このキノコは西洋料理の高級材料です)などがありま
す。
一方,毒キノコの方は,やはりハラタケ目に多く,そのほかではホウキタケの一部に
軽い下痢程度の中毒を起こす種類があるといわれています。また,子のう菌のシャグマ
アミガサタケは猛毒です。
食用キノコと毒キノコは,大体属のレベルでまとまっています。ある属のすへてのキ
ノコが食用になるか,又は有毒であれば判定も簡単ですが,テングタケ属などには大変
美味しいといわれる食用キノコと,猛毒で命にかかわるキノコとが含まれています。美
味しいキノコによく似た猛毒キノコを誤って食べて中毒する例は,テングタケ類に最も
多く,そのほかにはクロハツ(食用)とニセクロハツ(毒),クリタケ(食用)とニガ
クリタケ(毒),ウラベニホテイシメジ(食用)とクサウラベニタケ(毒),アミガサ
タケ(食用)とシャグマアミガサタケ(毒)などの見分け間違いによる中毒の例があり
ます。そのほかに,分類の上でかなりかけ離れたグループのキノコですが,シイタケ(
食用)とツキヨタケ(毒)が一見よく似ているために,ツキヨタケを誤って食べて中毒
を起こす例が多いです。わが国のキノコ中毒の大半はツキヨタケによる中毒です。キノ
コ中毒を防ぐには,以上のように食べられるキノコに似た毒キノコ,特にツキヨタケを
覚えておくのが,最も役に立ちます。ヒダが縦に裂けるキノコはすべて食べられるなど
という俗説を信用してはいけません。なお,テングタケ属の有毒種による中毒に対して
は,チオクチン酸がよく効くことが最近明らかになりました。
参考 「キノコ・カビの生態と観察」築地書館発行
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