06 森の中の可愛いコビト軍団〈キノコ調理と保存〉
 
         森の中の可愛いコビト軍団〈キノコ調理と保存〉
 
〈キノコの調理と保存〉
 △調理
 うまいキノコ料理。それはとりもなおさず素材となるキノコに見合った料理で,最大
限に持ち味を活かした料理,これが食通やキノコ通が求めるうまい料理でしょう。これ
はキノコただ一つの単独で出せるものと,野菜や肉の組み合わせ,協力によってはじめ
てうま味に昇華するものと,味の世界も複雑です。キノコのなかにも料理の指向性が万
能でどんな料理にも合うものと,ある特定の料理にしか通用しないものがあり,この点
はまず当事者がキノコやキノコ料理に無上の喜びと愛情を注ぐことが第一条件でしょう。
食えればよしとするビジネス型の料理では期待する方が無理というものです。シメジ,
マイタケ,シイタケ,ヒラタケが前者の万能型です。コウタケ,ニンギョウタケ,クロ
カワは後者の狭い方に属し,一般に香りを尊ぶ種類では,淡泊な料理によって味が活か
され,シメジ,マツタケ,シモコシがこのよい例で,油や肉と合わせるにしても,豚や
牛よりも軽い鶏肉の方がうつりが良いです。反対にマスタケ,アオロウジ,ニンギョウ
タケ,ヌメリマイタケといった種類のよように,持ち味に力がないか,逆に強い癖クセの
あるものでは調理にたっぷりと脂肪質を使った方が口あたり,味ともこくが出てうまく
なります。なお,一口に食タケといっても,食べごろにタイミングがあり,これを過ぎ
ると使えないものがあります。ササクレヒトヨタケ,ヒトヨタケではせいぜい一晩限り,
ハラタケ類では傘身のヒダがセピア色で限界,黒くなったら失格,キツネノチャブクロ,
タヌキノチャブクロ,オニフスベはなかの肉が白く弾力のあるうちです,これをさっと
熱湯に通し皮を剥いてから調理します。サルノコシカケ科のマスタケ,トンビマイタケ,
ヤニタケもそれぞれ独特のうま味があって,珍重されますが,いずれも若いときだけが
旬シュンと心得て下さい。最も例外もあり,エゾハリタケ(方言「ヌケオチ」)は,若い
ときはそのまま調理できますが,成長すると硬くなってしまうため,一度半腐れにして
からゆでて塩蔵したものを料理します。また苦みのある食タケがありますが,クロカワ
は適当に薄く切り,たれで仕上げるつけ焼きにすれば酒の肴に最高です。多収性で人気
のキシメジの苦みは,裂いたものを流水で30分ほど晒すと水浴性の苦みが消失します。
このほかウラベニホテイシメジでは,調理前にさっとゆがくのがコツです。
 塩蔵法は長期保存と苦み抜きの一石二鳥の長所があり,多収性のすべてのキノコに応
用したいものです。
                                                                             
 △保存法
 キノコの保存には乾燥,塩蔵,密封の三つがあります。乾燥は適当に裂き,下干しを
天日,仕上げは火力で行い,からからと堅い金属音のような音が出たら完全ですので,
ポリエチレン袋に入れ脱気して保存します。塩蔵で注意したい点は,野菜漬けとは本質
的に違うことで,過飽和塩でまぶしながら漬け込み,押し蓋と,軽い重石を載せます。
調理に先立ち流水で塩出しをします。なお塩の量はキノコに見合った飽和量でいいです
が,この適量が捉え難いため,常に多めとするのが安全です。密封は市販の専用ビンを
買い求め,説明文をよく読み,熱による組織の固定〜殺菌〜脱気の基本に従って行いま
す。
                                                                             
           参考 「きのこ 見分け方 食べ方」家の光協会発行 THE END
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