16a 土復活〈自然環境の保全〉
 
〈農薬の残留性〉
 △有機系農薬汚染
 有機リン剤の残留性が少ないことは前述しましたが,土中で長期間にわたり安定な農
薬で,特に有毒元素とされているのは水銀,ヒ素,鉛などです。土中の微生物に分解さ
れることもなく,土その他自然環境中に広く分散,希釈されますが,これらの元素の全
量には変化はありません。
 △重金属汚染
 使用ヒ素量からみて圧倒的に多いのは,ヒ酸鉛を主力とする無機ヒ素剤であって,そ
のほとんどが樹園地に集中的に散布されます。土中に大量に存在する鉄とヒ素とが結合
しますので,鉄ヒ素結合体は長期間にわたり安定な状態で土中に存在することになりま
す。10年以上の使用経過があれば,ヒ素の残留に注目する必要が出てこようと考えられ
ます。
 土中の鉛は,すべてヒ酸鉛由来のものと考えられます。有機水銀剤の残留についても
調査されてきています。
 
〈自然環境の破壊は進む〉
 △ヒトの働きは自然を変える
 ヒトは以前から自然環境を絶えず変更するよう働き続けています。森林の乱伐が洪水
を招きよせ,あるいは土地を砂漠としました。草地は過剰の放牧によって荒れ果て,土
の侵食を引き起こしました。
 土をとってみても森林や草地と同じようにその中のすべての動物,植物,微生物が一
体となって生物共同社会を形成しています。これまで,これら生物共同社会にかかわり
のある自然環境について述べてきました。こういった生態系は普通動的な平衡状態にあ
ります。この状態は集団の密度,利用できる食物栄養,季節変化,及び生物相互の間の
場所や食物の採り合いなどの相互作用によってコントロールされているのです。
 人口の急激な増加に伴う食糧増産は,@農業技術の改良,特に化学肥料と農薬の利用
増加,A遺伝学的に選抜され育種された作物や家畜の改良,Bそして食糧生産プロセス
の工業化の増大などよってもたらされ,地球上の生態環境は継続的な変化を受けるよう
になりました。
 △廃棄物の処理はどうか
 都市系廃棄物と産業系廃棄物については,焼却,その他の処理では対応できなくなっ
てきました。
 廃棄物の埋立に際しては,ハエ・カの産卵予防,ウジ・ボウフラの発生防止,ネズミ,
ゴキブリの生息防止,動物及び植物の病原菌撲滅などの対策,埋立による発酵分解によ
って生ずる温度上昇対策などが講じられてきています。
 △土の自浄作用
 自然界における物質循環に対して,土中の微生物の果たす役割は非常に大きいです。
微生物の分布は土の構造や土性などと関連していて,動的平衡の状態にありますので,
廃棄物の処理もこの動的平衡が保持される範囲での土の自浄作用を利用しなければなり
ません。
 △廃棄物の資源化について
 廃棄物の多様化,膨大化に対処するため,埋立用地の設定,その土地利用のための土
の固化が必要となってきます。
 
                         参考 「土と生態」共立出版

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