02b 種の保存法〈希少野生動植物種の保存〉
△シマフクロウ(北見営林支局)
対象区域:知床森林生態系保護地域及びその周辺区域
@アジアの極東部だけに生息するフクロウで,本邦では主に北海道東部に生息
A個体数は,90〜100羽程度
B河川の周辺区域にあるミズナラ等の大径木の樹胴に営巣し,河川や湖沼の周辺で繁
殖活動を行う。
C魚類が主食であるが,カエル等の両性類やネズミ等も餌としており,そのハンティ
ングは,樹木等に待機し,直接又は,水中及び地上に降りて行う。
D冬季にペアとなり,3月上旬に通常2個産卵し,4月上〜下旬にふ化,5月末に巣
立ちし,通常1羽しか成鳥にならない。
△タンチョウ(帯広営林支局)
対象区域:別寒辺牛タンチョウ特定動物生息地保護林及びその周辺区域
@北海道東部に生息
A個体数は,約500羽程度
B営巣地は,ヨシやスゲの広い湿原の中にあり,巣は枯れたヨシを折りとって積み上
げる。
C餌は小魚,水生動物,昆虫及びヨシの芽等で,冬季には餌の確保が難しいため人為
的な給餌場に集まる。
D3月下旬から4月にかけて産卵し,5月にふ化し,100日目ごろから飛べるように
なる。
△レブンアツモリソウ(旭川営林支局)
対象区域:レブンアツモリソウ群生地植物群落保護林及びその周辺区域
@礼文島の固有種で高さ25〜40pのラン科の多年草
A個体数は,約3千個体程度
B花は,3.5〜5.0pの大きな遍球形をした袋状の袋弁をもち,色は淡黄緑色で茎頭に
1個つける。
C開花期は,5〜6月で,他の草木より早く開花する。
D発芽後,開花するまで約10年を要するといわれている。
△クマタカ(前橋営林局)
対象区域:燧ケ岳周辺森林生態系保護地域及びその周辺区域
@日本の個体群は固有の亜種で日本国内だけに分布し,全国の山岳地帯に生息
A個体数は,900〜1000羽程度
B低山から亜高山の森林に生息し,留鳥性が強く,一年中同一地域で生息する。
Cアカマツ,ヒメコマツ,モミ等の針葉樹の大径木の地上高10〜30mに営巣し,また,
一つの縄張りの中に常に数個の営巣箇所を保有する。
D主な餌取り方法は待ち伏せ型で,木の枝などから地上を見張り,餌はノウサギを最
も好み,ヤマドリ等の鳥類,ヘビなども捕食する。
E12月から1月ごろ求愛行動や巣材運びが始まり,産卵は3〜4月で1〜2個を産み,
45日程度抱卵してふ化し,75日程度の育雛期間を経て8月上旬ごろまでに巣立ちす
る。
F巣立ち雛は,1羽のことが多い。
△ハハジマメグロ(東京営林局)
対象区域:母島植物群落保護林,桑の木植物群落保護林,向島植物群落保護林及び
これら保護林周辺区域
@母島,向島等に生息する小笠原固有種
Aスズメと同じ全長14p程度の大きさで,目の周りには逆三角形の黒い部分がある。
B個体数は,3〜4千羽程度
Cタコノキ,モクマオウ等の樹木に営巣する。
D二次植生によって回復した森林など比較的明るい森林内では,生息密度が高い。
E餌はシマグワ,ガジュマル,オレンジ等の植物質の果実,果肉及びアリ,クモ等の
動物質
F2〜7月の間に複数回繁殖するといわれている。
△ライチョウ(長野営林局)
対象区域:白馬岳高山植物群落保護林,焼岳特定地理等保護林,上高地特定地理等
の保護林とこれらの保護林周辺区域
@森林限界ハイマツ帯とその下方に広がる高山植物群落地帯の限られた地域に生息す
る地上性の留鳥
A個体数は,300羽程度
B繁殖期はハイマツ帯と高山草原に生息し,主に地上生活を営むが,厳冬期には森林
限界のダケカンバ・オオシラビソの混交林内で採食し,ねぐらは急斜面の雪庇を利
用
C営巣場所は,30p前後の高さで連続的に広がるハイマツ群落が好まれる
D雑食性で季節によって異なるが,繁殖期には高山植物の芽,葉,実及び昆虫類を主
に採食する。
E天敵は空中性の猛禽類と地上性のオコジョ,テン,キツネなどであるが,近年登山
者の増加にともないカラスやキツネが増え,抱卵中の親ライチョウが襲われる場合
もある。
△ツシマヤマネコ(熊本営林局)
対象区域:御岳特定動物生息地保護林及びその周辺区域
@インド西部から沿海州,中国東北部,済州島,朝鮮半島まで広く分布しているベン
ガルヤマネコの亜種と考えられ,わが国では対島のみに生息している。
A個体数は,100匹程度
B標高の低い山麓のコナラ林,ススキ草地,耕作地,谷地形等を良く利用する。
C雄の成体体重は3〜5s,頭胴長50〜60p,尾長25〜35pくらい,雌は雄より少し
小さい。
D餌はネズミ,モグラのほか,ヘビ,カエル,昆虫類等
E繁殖期は春で,5月下旬ごろに出産が多く,1〜3頭を出産する。
△イリオモテヤマモコ(熊本営林局)
対象区域:西表森林生態系保護地域及びその周辺区域
@ネコ科ネコ亜科ネコ属に属する1属1種のヤマネコで,分布域は西表島に限られる。
A個体数は,100匹程度
B雄の成体体重は4〜5s,頭胴長が55〜60p,尾長23〜25pくらい,雌は雄より一
回り小さい。
C住宅地とその近くの耕作地を除き,海岸から山奥までいたるところに生息の痕跡が
みられるが,内陸山岳地ではなく,沿岸地帯,河川の中下流域の低地林に生息密度
が高い。
D餌は鳥類,ネズミ,トカゲ,カエルなどのほか,イネ科の植物も食べられている。
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