04 鹿角の蝶
 
                         参考:鹿角市発行「鹿角市史」
 
 秋田県の蝶や峨類については、近年県内の研究者によって研究が進められ、その実態
が次第に明らかにされてきている。報告の中には鹿角地方に関するものも多く、ここで
はそれの中から主要なものについ概要を述べる。
 
〈鹿角地方の蝶類〉
 『秋田県の蝶』高橋雅弥(1972)、この中には県内産の蝶、7科111種(土種105種・迷
蝶6種)が報告され、鹿角地方の地名が挙げられているのもかなり含まれている。
 
チャマダラセセリ セセリチョウ科 八幡平(古くから八幡平が産地として知られてい
 る)
キバネセセリ セセリチョウ科 八幡平
 
ミヤマカラスアゲハ アゲハチョウ科 八幡平・十和田
 
ウラキンシジミ シジミチョウ科 八幡平
 
ウラクロシジミ シジミチョウ科 八幡平
 
メスアカミドリシジミ シジミチョウ科 八幡平
 
フジミドリシジミ シジミチョウ科 八幡平
 
ハヤシミドリシジミ シジミチョウ科 確実な記録はないが火山灰地のカシワ林に多く、
 今後鹿角地方の内陸性カシワ林で発見される可能性がある。
ジョウザンミドリシジミ シジミチョウ科 八幡平
 
アサギマダラ マダラチョウ科 八幡平
 
ヒョウモンチョウ タテハチョウ科 本県では現在八幡平だけで知られている(最初の
 発見はトロコ・玉川間。個体数は少なく、いずれも七月に採集されている)。
フタスジチョウ タテハチョウ科 本県では湯瀬で記録されるだけ。出現は七〜八月頃
 と思われる。
サカハチチョウ タテハチョウ科 八幡平
 
エルタテハ タテハチョウ科 八幡平
 
キベリタテハ タテハチョウ科 八幡平
 
ツマジロウラジャノメ ジャノメチョウ科 八幡平
 
 なお鹿角地方は未調査の地域が多いところから今後の調査によって、更にこれが大き
く変わる可能性のあることを指摘し、研究者による多くの情報を期待している。
 
 
 『秋田県の蝶・補遺(1)』高橋雅弥(『秋田自然史研究』8号1977)、この補遺の中で鹿
角地方のもの三種について報告している。
 
フタスジチョウ 湯瀬の地域一帯に広く分布するものと思われる。この地域における食
 樹はアイズシモツケで、同年十月佐々木明夫氏との調査で越冬巣を確認することが出
 来た。また本種の食樹としては最初の記録である
テングチョウ 湯瀬地方に広く分布し、個体数も多いと考えられる。
 
ヒメギフチョゥ 湯瀬の沢筋、山麓部で早春に羽化して美しい姿を見せる貴重な種類で
 ある。幼虫の食草の関係で生息場所が少なく、かつ狭い範囲で見られる。
 
 以上三種は何れもその産地は極めて限られており、湯瀬地方は貴重な分布地域と考え
られる。
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