51_3a 鳥を詠める和歌
[鷓鴣シャコ(チャボ)]
鷓鴣といふ鳥のうはげの紅に 散し紅葉の残る也けり(蔵玉和謌集 雑)
[鶉ウヅラ]
立よりてきけば鶉の音はたかし さてもよくにはふけるものかな(奥州波奈志)
もゝしきの おほみやびとは うづらとり ひれとりかけて まなばしら をゆきあへ
にはすゞめ うずすまりゐて けふもかも さかみづくらし たかひかる ひのみやび
と ことの かたりごとも こをば(古事記 下雄略)
年をへて住こし宿を出ていなば いとゞ深草野とや成なん
かへし
野とならば鶉となりて鳴をらん かりにだにやは君はこざらん(伊勢物語 下)
掛けまくも 忌ユユしきかも(中略)烏玉ヌバタマの 暮ユフベになれば 大殿を 振り放け見
つゝ 鶉なす いはひもとほり さもらへど(下略)(萬葉集 二挽歌)
鶉鳴く 故郷フリニシサトゆ 念へども 何ぞも妹に 相ふよしもなき(萬葉集 四相聞)
ゆふされば野辺の秋風身にしみて 鶉なくなりふか草のさと
(千載和歌集 四秋 皇太后宮大夫俊成)
[鷯カヤクキ・エノゴマ]
なにとかやくきのすがたはおもほえで あやしく花の名こそわするれ
(拾遺和歌集 七物名 すけみ)
をく霜にかれもはてなでかやくきの いかで尾花のすゑになくらん
(夫木和歌抄 二十七鷯 正三位経家卿)
[鳩]
あまだむかるをとめ いたなかば ひとしりぬべみ はさのやまの はとの したなき
になく(日本書紀 十三允恭)
[雀]
もゝしきの おほみやびとは うづらとり ひれとりかけて まなばしら をゆきあへ
にはすゞめ うずすまりゐて けふもかも さかみづくらし たかひかる ひのみやび
と ことの かたりごとも こをば(古事記 下雄略)
[燕ツバクラメ]
かぞいろはあはれとみらむつばめそら ふたりは人にちぎらぬものを
(今昔物語 三十)
なにはつはくらめにのみぞ舟はつく 朝の風のさだめなければ
(拾遺和歌集 七物名 すけみ)
[胡鸞アマトリ・アメツツ・アトリ]
あめつゝ ちどり ましとゝ などさけるとめ(古事記 中神武)
あまたゆひゆたひたゆたふ雲まより きこえやすらんあまどりの声(袖中抄 十九)
[雲雀ヒバリ・タトリ]
ひばりは あめにかける たかゆくや はやぶさわけ さゞきとらさね
(古事記 下仁徳)
うらうらに 照れる春日ハルビに ひばりあがり 情ココロ悲しも ひとりしおもへば
(萬葉集 十九)
我きみのみことかしこみ門を明て 雲雀の使今や待らん(暮朝年中行事歌合 中)
あさなさな あがるひばりに なりてしが みやこにゆきて はやかへりこむ
ひばりあがる はるべとさやに なりぬれば みやこもみえず かすみたなびく
(萬葉集 二十)
本
しづやのこすげ かまてからばおひんや おひんやこすげ
末
あめなるひばり よりこやひばり とみくさ とみくさもちて(神楽歌)
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