21 野鳥の羽根と役割
 
              野鳥の羽根と役割
 
                       参考:世界文化社発行「羽根図鑑」
 
△羽の名前と役割
 羽毛には翼,尾の長羽と体羽からなる正羽セイウ(羽軸と羽弁からなる)と綿羽メンウ,半
綿羽,糸状羽などがあります。正羽は,生える位置が決まっており,皮膚の羽区(俗名
「とりはだ」)というところに生えます。
 綿羽や半綿羽は空気を保ち保温性に優れ,体温保持に役立っています。小さな羽の綿
羽には,中央にある羽軸ウジクが見えるものと見えないものとがあります。カモ類の綿羽
は,球状で中央の羽軸は殆ど見えません。質は綿状で膨らみがあり,体表を覆っていま
す。これが防水効果を上げ,寒い湖でも平気な保温効果を上げています。また,キジ類
の体羽と綿羽には羽軸から派生した後羽があり,これも保温に役立っています。これは
ほかの鳥と違った特徴です。
 鳥類の特徴は全身羽毛に覆われていること,翼のあること,空を飛翔するための強い
筋肉を持っていること,骨格も中は空洞で軽くできていることなどです。
 飛ぶために一番大切な翼は,大きく分けますと風切羽カザキリバネ,雨覆羽アマオオイバネ,小
翼羽ショウヨクウとに分けられます。この翼を羽ばたくことによって推進力を作り,湾曲した
形が揚力を生んで滑空を可能にしています。また,尾羽オバネは方向を転換したり,ブレ
ーキを掛けたり,全体のバランスを取ったりする役目をしています。しかしその形や大
きさは種類によって様々であり,鳥の生活形態によって千差万別です。
 風切羽は翼の骨格の後ろ側に直接付いています丈夫な羽毛であり,翼の後縁を形作り,
飛翔のとき重要な働きをする羽で,それぞれ番号が付いています。広げたとき,一番外
側に広がる羽を初列ショレツ風切羽,中程の羽を次列ジレツ風切羽,体に近い羽を三列サンレツ風
切羽といいます。初列風切羽は掌骨と第二指の指骨に,次列風切羽は尺骨にそれぞれ付
いており,三列風切は次列風切羽より内側にあり階段状になっています。これらの風切
羽は,換羽時などに何番目の羽から換羽が始まるなど調べるときには,大変重要な役目
を果たします。
 雨覆は初列と次列とは性格を異にし,皮膚に生えているもので,風切羽の基部を覆い
守り,かつ翼の前縁をなしています。雨覆には,翼の上面にある上雨覆と,下面にある
下雨覆があります。また,次列雨覆は,直接風切羽を覆う大雨覆羽,その上面を覆う中
覆,そのまた上を覆う小雨覆からなります。
 小翼羽は第一指骨に生えている羽毛で,元は初列風切と対等の性格のものでしたが,
現在は退化して短小な数枚の羽毛に過ぎません。滑空グライディングをするとき,安定
度に対して何らかの役割をしているといわれています。
 体の一番後ろに付いている羽が尾羽です。
 体の上面に生えている羽が肩羽カタバネです。
 上尾筒ジョウビトウは尾羽の元に生えて,尾羽の元を覆っている羽で,体の上面にありま
す。体の下面にある羽が下尾筒カビトウです。
 
 〈ツグミの例〉
 初列風切羽:9枚あります。小鳥類は殆ど9枚ですが,本来は10枚でした。一番外側
にあった羽は小さく退化してしまっています。
 次列風切羽:小鳥類では通常6枚です。
 三列風切羽:これは通常3枚,又は4枚です。
 尾羽:通常12枚ですが,種によっては14枚のものもあります。
 小翼羽:通常3枚です。

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