07 人と野生鳥獣との共存をもとめて
 
                       人と野生鳥獣との共存をもとめて
 
 私どもと同様,森林原野を主なフィールドとしている社団法人大日本猟友会(JHA
Japan Huters Association)をご紹介します。
 
1 設立経過等
 当会は,昭和4年に農林省の呼びかけにより,各都道府県の代表者が東京に集まり「
大日本連合猟友会」が設立されたのがはじまりである。
 その後,昭和14年に法人団体となり,名称を社団法人大日本猟友会と改められ今日に
至っている。
 猟友会の組織は,全国団体として当会があり,各都道府県に当会の会員団体であり法
人格の都道府県猟友会がある。
 各都道府県猟友会の下には,概ね各市町村単位に地区猟友会があり,狩猟者は,地区
猟友会に加入することになり,平成3年度の加入者数は214,426名である。
 
2 猟友会の基本姿勢
 狩猟は,基本的には,野生鳥獣を捕獲する行為であり,狩猟者は色々の考えで狩猟を
行っているが現代社会における狩猟は,野生鳥獣が,豊かな自然の中で,適正な数を保
って生息できるよう,その生息環境を保全しながら適切な個体数を調整するために捕獲
又は保護増殖を行うことであり,生活環境の改善及び農林水産業等に対する野生鳥獣に
よる被害の防止軽減に貢献する等,人と野生鳥獣との共存に寄与することにある。
 
3 事業等
(1)鳥獣保護増殖関係
  @調査研究事業
a 鳥獣の分布調査=目視及び聞き取り等による鳥獣の全国的な分布を調査し,植生と
の関連を分析することにより,鳥獣の適正な生息環境を把握することにある。
b 獣類の生態調査=歯・生殖器等内臓の分析により,年齢・栄養状態・妊娠回数等を
調査し,年間繁殖数等を把握することにより,適正な管理に役立てる。
c 森林性鳥獣の保護管理手法の研究=個体群の分布,生息数,動態,遺伝子汚染等を
調査し,森林性の野生鳥獣の環境収容力を推定し,適正に管理する手法を確立させ,そ
れによって生息環境と生息数と森林に与える環境度等を把握し,適正な管理に役立てる。
d エゾライチョウ繁殖支援=北海道固有のエゾライチョウが最近減少傾向にあるとし
て北海道猟友会で繁殖試験を実施しているので,同事業を支援している。
 
  A保護増殖事業
a クマ・ヒグマ捕獲自粛=クマ,ヒグマについて,平成4年度から西日本地方は捕獲
自粛,東日本地方は捕獲数を制限し保護を図っている。
b 鳥獣繁殖=平成3年3月,滋賀県甲賀郡土山町に鳥獣実験場を建設,繁殖又は飼育
の実施=わが国のキジ等の人工繁殖は,数十年前から行われ,昭和40年代になって各地
で大規模に行われるようになったが,近年,種鳥の確保が困難なこともあり,近親交配
又は同系異種間による交雑によるひ弱な鳥,雑種な鳥の生産・放鳥が懸念されるので,
健康で純粋な種鳥を生産し各養殖業者に頒布すること及び野外放鳥用キジの生産並びに
傷病鳥獣の保護飼育を行う。
c キジ等放鳥=都道府県猟友会に対して積極的に放鳥事業を推進するよう奨励し,そ
のための費用を助成する。猟友会放鳥数は,年間キジ約4万羽ヤマドリ約3千羽である。
 
  B生息環境の改善等
a 食餌木植栽=当会は,「実のなる木植えて野鳥の森づくり」を合言葉に食餌植栽運
動を実施し,都道府県猟友会に対して野鳥の好む餌になる植物の栽培又は実のなる木の
植栽を奨励し,必要な助成を行っている。
 
(2)指導教育関係
  @指導教育資料作成
a 講習用テキスト作成=初めて狩猟を行う者の講習及び3年毎の狩猟免許更新講習用
としてのテキストの作成
b 狩猟事故・違反防止用資料作成=事故,違反防止対策として映画,スライド,ビデ
オの作成
 
  A研修会・射撃会
a 研修会の開催=都道府県猟友会が開催する講習会の講師,猟野で指導する指導員養
成のための研修会の開催。
b 射撃会の開催=事故防止対策として都道府県猟友会に開催を奨励すると共に,全国
大会を開催
 
 連絡先 〒102 東京都千代田区九段北3-2-11     03-3234-8080
 
           (財)日本環境協会発行月刊誌「かんきょう」10月号抜粋

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