34a 日本名庭100選〈別選京都〉
 
60  南禅寺本坊庭園
 @京都市左京区 A国名勝 B江戸初期 C― D南禅寺
 南禅寺庭園は,方丈の南側に矩形に築かれた枯山水で,俗に「虎ノ子渡の庭」といい
ます。白砂敷には,直線をもって砂紋「さざなみ」と,曲線うねり状の「うねり」を交
互につけます。神仙境の周囲の大海を表すものです。
 竜安寺の石庭は,同じ白砂敷でも本庭より小さいが,大きく見えます。これは15個の
据石が主石と添石の5集団で,しかも白砂敷に大きく点在するからです。一方,本庭は
据石が白砂敷の東南に集中し,さらに杉苔とカエデなどの庭樹をつなぎに植え込んでい
ます。すなわち竜安寺石庭が須弥山を中心とした九山八海を具現化しているのに対して,
本庭は神仙の山境と神山島を具現します。竜安寺が石庭に徹した朴訥で巌乎たる気魄で
あるのに対し,本庭は清涼殿という優雅な建築物の前に構えられた清麗にして,華やか
な枯山水ということができます。
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61  金地院庭園
 @京都市左京区 A国特別名勝 B寛永9年 C小堀遠州指図,賢庭作
 D南禅寺金地院
 金地院庭園の枯山水は,方丈前に大きく白砂敷をとり,東側東照宮のもとに,石組,
景石及び大刈込み,植樹を配したもので,左右に位置する二つの神仙島になぞらえて「
鶴亀の庭」とも呼ばれています。この庭園の枯山水は東照宮に慶祝してか,禅寺に見ら
れる侘や幽玄さはなく,豪奢で統一されています。
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62 平安神宮神苑
 @京都市左京区 A― B明治28年〜大正3年 C小川治平衛 D平安神宮
 平安神宮の神苑は,本殿,拝殿を囲むように西,北,東の3面に作庭されたわが国の
近代における最も代表的な廻遊式泉水庭園です。庭は大きく三つに分かれます。西方は
白虎池を中心とし,中央西側に出島があり,東側に桜,南に茶亭を持ちます。中央部(
本殿の背後)は,中神苑として蒼龍池があり,中島に架かる「沢渡石」は有名な五条大
橋の橋柱を利用しています。東側の栖風の池泉には,泰平閣という橋殿が架かり,北方
の東山の山々を借景としています。
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63 地蔵院庭園
 @京都市右京区 A― B江戸初期〜中期 C― D地蔵院
 臨済宗の禅寺地蔵院の枯山水は,平庭一面に敷き詰められた杉苔の上に,自然石その
ままの,十六羅漢を具現した庭石を配し,松,椿,竹などの植物を周囲に植え込んだも
のです。山門前及び境内の翠に竹林がありますので,西芳寺の苔寺に対し,地蔵院を「
竹の寺」とも呼ばれています。
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64  無鄰菴庭園
 @京都市左京区 A国名勝 B明治28年 C小川治平衛 D京都市
 京における明治の作庭のうち,最もまとまりのある自然主義に徹した山水庭がこの無
鄰菴庭園です。庭は疎水を利用し,三段落ちの滝を東部につくって渓流となし,二流の
急流と一つの緩やかな流れを持ち池泉で合流します。樹林を左右に高くし,正面を低く
して東山の連峰を借景しています。
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65  曼殊院庭園
 @京都市左京区 A国名勝 B明暦2年 C良尚親王 D曼殊院
 曼殊院の庭園及び諸建物の手法は桂離宮に似ています。平庭,書院庭のほか,坪庭の
意匠の面白さ,丸炉の間の茶席,八窓席などは見逃すことができません。この平庭の枯
山水庭は清麗で,ゆっくり心ゆくまで味わうことができます。
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66  妙心寺本坊庭園
 @京都市右京区 A国史跡・名勝 B江戸初期 C― D妙心寺本坊
 妙心寺は臨済宗諸禅派中最大で,大徳寺と並んで,古い名庭が多く伝わっています。
本坊の大方丈前庭は廊下と堀及び内勅使門に囲まれた広い面積で,一面に白川砂を敷い
ています。小方丈庭は平庭枯山水で,三尊石と立石を中心にしています。
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67  桂春院庭園
 @京都市右京区 A国史跡・名勝 B江戸初期 C― D妙心寺桂春院
 桂春院庭園は露地として,また廻遊式でもあり,方丈前庭でもあります。そして方丈
南庭「真如の庭」,方丈東庭「思惟の庭」,書院前庭,既白軒露地,坪庭に分けられま
すが,これらはすべて一連のつながりを持っています。
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68  天龍寺庭園
 @京都市右京区 A国地・特別名勝 B興国元年 C夢窓国師 D天龍寺
 天竜寺は臨済宗天竜寺派の大本山で,その伽藍は嵐山の山紫水明のところに位置し,
室町時代の中国(元)などへの対外貿易船「天竜寺船」としても知られています。庭の
中心は曹源池という広大な池泉をめぐらし,立石,石組の島々を浮かべ,出島状に二つ
の鶴島亀島を浮かべています。「竜門瀑」の瀑石組,水分石としての鯉魚石などが見ど
ころです。
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69  法金剛院庭園
 @京都市右京区 A国名勝 B大治5年 C林賢 D法金剛院
 洛西双ケ丘ナラビガオカに「清女の滝」が伝わっています。平安時代の遺構ながら大石を
がっしりと組み合わせ,力量感あふれる石組が今日もそのままの姿で残っています。双
ケ丘は法金剛院の境内にあります。律宗の古刹法金剛院の庭は,浄土庭園の滝石組で構
成されています。
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70  仁和寺庭園
 @京都市右京区 A国史跡 B江戸初期 C― D仁和寺
 仁和寺庭園はわが国の庭園史を語る上で,大変重要な位置を占めています。仁和寺庭
園には多くの石立僧がいて,中世初期の代表的な名庭を作庭し,有名な作庭に関する古
伝書「作庭記」「山水並野形図」は,仁和寺に見る清麗な山水庭は,江戸初期の遺構で
すが,多くの歴史的背景を持った庭なのです。庭は東西に折れて池泉は細長く,縁先は
直線砂紋を施した美しい白砂敷で埋めています。見どころは護岸石と石組の立派さ,樹
林の間より美しい五塔頭の借景などです。
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71  大覚寺大沢池
 @京都市右京区 A国名勝 B平安初期 C嵯峨天皇 D京都市・大覚寺
 「滝の音は絶えて久しく成りぬれど名こそ(名古曽)流れて猶聞こえけむ」と,藤原
公任が詠んで小倉百人一首にあります名古曽滝の枯滝は,大覚寺大沢池の北,50mのと
ころにあります。大沢池は平安の初頭,嵯峨天皇により,仙洞離宮として築かれた山荘
です。御所である嵯峨院の前庭として,中国の洞庭湖になぞらえてつくられ,中島には
菊島と天神島があります。
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