13 マツが枯れる
 
           マツが枯れる
 
             資料:森と木とくらしのなんでも相談室(森林研究会)
                                       
 一面緑の森林が続くなかで,赤くなった木が点々と立っているのを見かけることがあ
りますね。マツが「松くい虫」の被害にあっているのです。
 日本の大切な松林が,この松くい虫のためにだんだん減っています。
 それは,「マツノマダラカミキリ」というカミキリ虫と「マツノザイセンチュウ」と
いう線虫センチュウがおたがいに協力してマツを食べて荒らし,枯らしているからです。
 このマツノマダラカミキリが松くい虫と呼ばれていて,旺盛オウセイな食欲でマツの若枝
の樹皮を食い荒らしていきます。でも,マツを枯らすのは,マツノマダラカミキリでは
ありません。
 本当の犯人は,マツノザイセンチュウと呼ばれる,人間の目で見えるか見えないくら
いの小さな線虫です。この線虫は,カミキリ虫が食べた傷口からマツのなかに侵入して
いきます。
 木の幹には水を根から葉っぱまで送るためにパイプがあります。マツノザイセンチュ
ウが侵入したマツは,このパイプの水がとぎれてしまい,水分が流れなくなって,やが
て枯れてしまうと考えられています。
 マツは,他の樹種では育ちにくい土地にもよく育ち,山崩れや土砂ドシャの移動を防い
でいます。また,日本の美しい浜辺や庭園は,マツなしでは考えられません。日本には
数多くのマツの名所があり,日本人にとってはマツは心の故郷フルサトといえるものです。
そのマツが次々に枯れていっているのです。そこで,マツを守るために,特別に法律を
つくって,被害にあったマツを伐ったり焼いたり,予防のための薬剤をまいたりなど,
松くい虫退治に取り組んでいます。
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