12 さくら盆栽の育成,仕立て方法
 
          さくら盆栽の育成,仕立て方法
                                        
                         参考 さくら vol.14 H05.12.15
 
〈さくら盆栽の育成,仕立て方法〉
 桜の楽しみ方の一つに盆栽の育成,仕立てがあります。
 盆栽に向く種類は寒桜,寒緋桜,彼岸桜や彼岸の系統の十月桜などがあります。山桜
や富士桜も盆栽に仕立てられますが,自生の株を鉢に上げるいわゆる山どり主体であっ
たため,近年は自然林保護などのため出回りが少なくなっています。このほか,花を主
として楽しむ園芸ものというジャンルには,サトザクラの類の普賢象や旭山などの品種
が使われます。
 素材となる苗の入手方法は,盆栽業者や園芸店から購入するのが簡単ですが,挿し木
や接ぎ木,種まきなどによって必要な種類や量を手に入れることができます。
 接ぎ木には同系統の台木が必要ですし,また接いだ部分がコブとなって残ることがあ
ります。十月桜の例で,挿し木は六月下旬頃当年生長した枝を密閉挿しするとよいでし
ょう。
 挿し木した枝が発根したら,植え付けとなります。畑(露地)に植えれば幹が早く太
り量産もできますが,趣味の場合は,鉢に上げた方が場所を選ばず,管理もしやすいで
しょう。最初は四号鉢位から順次大きくしていきます。
 植え付けた年は春,新芽が出たら幹に針金をかけ,曲げて模様をつけます。このとき,
幹が太るとき針金がくい込まないよう注意します。
 二年目に適当な高さで幹の頭を止め,枝を出させます。その枝に花芽がつくので,翌
年には最初の花を観ることができます。
 三年目に小枝に針金をかけ,形を整えていきます。以後は芽摘みを主体に,針金をか
けずに仕立てていきます。
 植え替えは2年に一度,春,芽の動く前に赤玉土単用か又は桐生砂を少量混ぜた用土
で植え付けます。鉢の大きさは,株の育ち具合いに合わせて決めます。一般に「桜切る
馬鹿」といわれ,桜は切るべきでないとされていますが,盆栽に限っては形作りが基本
ですので,必要な場合はためらわずに切るようにします。原則は毎年花が終わったらす
ぐ剪定することで,切らないと新梢の枝が大きくなりすぎて均整がとれなくなります。
おおよその目安は,枝作り3年の後は,2芽位残して切ります。
 肥料は,油粗と骨粉を発酵させたものなど有機肥料を春2回,秋2回,冬1回与えま
す。化成肥料を多めに与えると,根が痛むことがあります。
 病気は,かいよう病が出ますが,回復する場合が多いようです。害虫はコスカシバが
大敵ですので防除が必要です。またアブラムシやカイガラムシもつきやすいので,これ
らもまめに防除します。冬の石灰硫黄合剤の散布も効果があります。
                           埼玉県植物振興センター
                                                      埼玉県川口市安行1015
                                                      TEL 0482-95-1806
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