10 さくら湯をどうぞ
 
            さくら湯をどうぞ
                                       
 結婚式などおめでたい席には,「さくら湯」が出されます。
 白湯に浮かぶ薄紅色をしたさくらの花の優雅さは,その香りとともに日本人の文化意
識に合致します。
 素人にでもできるさくら湯のつくり方について掲載しました。
                                       
1 さくらの花の採取
  5〜6分咲きの花を花柄(つる)ごと採取します。満開の花ですと色があせたり,
 花弁が取れたりしますので,満開になる前に取りましょう。
  品種は,濃紅紫色の八重桜が最も適しています。
  仕上がりの色や姿などから八重咲きの桜「関山カンザン」が一番ふさわしいようです。
  紅色の濃さが決め手です。
  一重咲きの花でも差し支えありませんが,八重咲きより少し物足りない感じがしま
 す。
  一方,黄色の桜「鬱金ウコン」,緑色の桜「御衣黄ギョイコウ」などはまた別の趣がありま
 す。
  採取した桜花は,薄い塩水でていねいに洗った後,ざるに入れてよく水を切ります。
                                       
2 漬け汁
  塩と水を同量にして煮立てます。
  色の出を良くするためにヤキミョウバンを入れます。塩漬けしますと多少色があせ
 ますがやむを得ません。
  また赤梅酢を用いるのも良いでしょう。
                                       
3 塩漬け
  ひたひたになる位に漬け汁を注加し,4,5日間漬けます。
  重石は軽めにします。
  一夜漬けですと香りはいいですが,青臭みが少し残っています。
  取り出したら絞って水を切り,冷蔵して置きます。
  また水を切ってから,ざる又は新聞紙に広げ,半日ほど干しておくのも良いでしょ
 う。
  なお,長期間保存したいときは,桜花と塩を交互に敷き詰めて漬けます。
                                       
4 さくら湯
  漬けました桜花を清水で洗います。これは,桜花に付着している塩分をとるためで
 す。漬けたままの桜花ですと,お湯を注いでも塩辛いです。
  ひと洗いした桜花は絞って水を切り,白色無地の茶碗に2〜3ケ入れて熱めのお湯
 を注ぎます。
  又はお湯を茶碗に注いでから,桜花を浮かばせるのも良いでしょう。
                                       
5 食べ方のいろいろ
  吸物にも用いられます。
  おにぎりやまぜご飯,あるいはサラダなどにも合います。
  お酒好きの方は,熱燗に浮かべたり,お湯わり焼酎に入れたりすると,酒席が和や
 かになります。
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