08 黒森山の植物
 
                         参考:鹿角市発行「鹿角市史」
 
 黒森山は鹿角市の北部に位置する、標高545.9mの山で、その優しく美しい山容は、昔
から地域の人々に親しまれると共に、採草地としても利用されてきた。その後はスキー
場として引き続き利用されてきたことによって、比較的よく自然の姿が保たれた草地特
有の植物が多く見られる。
 
 黒森山の草地で見られる主なものとしては、スズランを始め、オキナグサ・アズマギク
フデリンドウ・ホタルカズラ・ヤマトキソウ・センボンヤリ・ヒメハギ・ムシャリンドウ・シ
ョウジョウバカマ・ミツバツチグリ・キジムシロ・ツリガネニンジン・オミナエシ・エゾリン
ドウ・センブリ・オケラ・ヤマユリ・ネジバナ・スズメノヤリ・シバスゲ・ミチノクホンモンジ
スゲ・エゾフユノハナワラビなどの草本、また低木類として、タニウツギ・レンゲツツジ・
ヤマツツジ・エゾヤマハギ・コマユミ・ガマズミなどが見られる。最近はこうした人々に親
しまれる植物の生育地が非常に少なくなってきているので、黒森山の草地は真に貴重な
自然と云える。
 
 また特にこの地で見付けられたユリ科の小型草本ソクシンランは、本来関東地方以西
に見られる暖地性の多年生草本で、東北地方ではこれまでにその生育が報告されておら
ず、極めて特異な隔離的分布として注目されている。
 この他近くの林中では秋田県では極めて珍しいフシグロセンノウやタカサゴソウが見
付かるなど、黒森山は植物の分布上からも大変興味深い山である。
 一方、ヘラオオバコ・ブタナ・ムラサキツメクサ・ハルザキヤマガラシなどの外来植物の
侵入も見られる。
 
[関連リンク(11・12黒森山遺跡(縄文時代・弥生時代・古墳時代の遺跡)]
[地図上の位置(黒森山)→]
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