オストメイト(ostomate)〜人工肛門 膀胱を付けた人
「S字状結腸」に出来た癌を取り除き、そこに傷んだ大腸を縫合しましたので完治に時間を要します。しばらく食べ物は通さない方が良いだろうとの事で、三ヶ月間に限って小腸から大腸に行く手前にストーマ(便を体外に出すために腹部にもうけた人工の排泄口。回腸ストーマ)を設けました。
 腹部の位置としては、イレオストミーといわれる人工肛門の設置です。
日本オストミー協会
 退院も間近になってきた頃人工肛門を取り付けるパウチの付け方の講習を、看護師さんから、家内と共に受けました。
ストーマ(百円硬貨ほどの大きさ)も個人個人で型が違うようで、私の場合、丁度腹のシワの所に当たりましたので、
パウチの貼り付けに要領がいりました。退院後は家内と一緒に取り替えますが4日間隔位です。
 小腸に付けていますので、腸液が腹の皮膚に触りますと、炎症を起こしてピリピリ痛みます。
退院二週間ほどでやっと上手に貼り付けられるようになりました。
 今年1月中に再入院「人工肛門閉鎖手術」をおこないました。「オストメイト」のつき合いは三ヶ月間ですが、一生付けていらっしゃる方は、外見は健常者と変わらないものの、人に云えぬ悩みや不安を抱えていらっしゃいます。

今までは全くと言っていいほど「オストメイト」の事は頭にありませんでした。

そんな話を家族でしていましたら、嘉島町の「ダイアモンドシティ・クレア」
アルバイトをしている娘が、
「店内のトイレに“オストメイト”用の便器があるよ」との話が出ました。

11 月 27日 視察に行ってきました。

「ダイアモンドシティ・クレア」のユニバーサルデザイン「UD」の一部です。
化粧室への案内です。右端のマークがオストメイト用便器設置のマークです。
本格的なオストメイト用便器が設置してありました。

汚物流し容器に、パウチ(排出物を溜める袋)を洗うお湯の出る「シャワー付水栓金具」も付いています。           


私の久木野のお店にも簡単な折りたたみの椅子を設置しました。これだけでも随分助かります。

平成19年1月23日 再入院のため病院へ

今回の入院は、腹部右側のストーマを腹に納める「人工肛門閉鎖手術」です。
前回手術から3ヶ月目、完治に向けての最後の手術ですので楽しみに待っていました。

「ベンケーシー」 平成19年1月23日 午前9時に熊本中央病院
 二階の入院窓口で手続きを済ませ七階の外科病棟へ。お帰りなさい、お久しぶりです、とナースセンターの看護師さんに迎えられ病室に入りました。明日が手術ですので食事は今日の昼食までです。前回退院後は食欲充分でしたので、久々の病院食も美味しくペロッと食べ、足らずに売店からサンドイッチとバニラアイスを買って食べました。観護師さんに見つかって優しく叱られました。
 24 日 午後から手術でしたが、今回は意識がハッキリしていますので緊張しました。ナースセンターの処置室で手術着に着替え、肩に麻酔が効きやすい注射を一本しましたが、筋肉注射でも特に痛い注射です。薬が入る時の痛いこと。針を刺されただけでも痛いのに、それ以上の痛さです。担当看護師さんは前回と同じN子さんもさすがはプロです。平気な顔で注射しました。 トホホホ........。
 予定時間5分前に前回執刀されたN先生が迎えに来られました。ストレッチャーに乗せられ、三階の手術室へ移動しながら仰向けに眺める天井は、まるで昔の人気テレビドラマ「ベンケーシー」ファーストシーンそっくりです。ガチャーンとドアーが閉まって手術室へ。ストレッチャーを押してくれていたN子さんにそんな話をすると、「そんな番組は知りません」と云いました。それもそう白黒テレビ時代です。しかし当時、このドラマで医学を志した若者が急増しました。私にとってN先生は「ベンケーシー」です。

 今回の手術は、前回右腹部に造ったストーマに出していた小腸を縫い合わせて
体内にもどします。
2時間程度の簡単な手術だそうですが、下半身麻酔でもいいけど、
カチャカチャ音が聞こえて気持ち悪いよ、
との事で全身麻酔にしました。再び手術台の上で顔に酸素マスクをはめられました。
今から麻酔を吸入しま〜す.....だんだん眠くなりますよ〜″....と看護師さんの声でやがて....


 目が覚めると手術は終わっていました。術後は前回よりも痛みはひどくありません。ストーマの跡は「皮下縫合」で3cm程縫われ、傷口の皮膚は特殊なテープでふさがれています。出来るだけ動きなさいと云うことで、3日目にはシャワーを浴びて身体と傷口を洗いました。

 27 日 まる三日の絶食でしたが、栄養補給は点滴のみ。今回は腹が減ることしきり。それだけ身体が好調だということですよ、と先生に慰められました。

(前回は、一週間ぶりの流動食も残すほどで、常食になってもしばらくは残していました)

前回と同じ担当看護師のN子さんと
今回は、毎日健康で美味しく食べられることに有り難く感謝しました。
1月31日 主治医のN先生から退院許可が出ました。
N先生を囲んでのミーティングです。
 今回も快適な入院生活を過ごさせていただき有り難うございました。
9日間の短い期間でしたが、
日夜交代で休みなく診察看護していただきました。

日常生活に復帰した今でも、
仕事に誇りを持ち、元気に働いていらっしゃる皆さんの姿を懐かしく思い浮かべます。

 先日熊本市内の街角で、すれ違いにカッコイイ若い女性に声をかけられました。
「川尻さんでしょう? お元気そうでビックリしました」何と、お世話になった看護師さんでした。一時の立ち話でしたが、涙が出るほど懐かしく、久しぶりに我が娘に会ったような嬉しい気持ちでした。

 帰りに立ち寄ったお店のママさんと出来事を話しながら、久しぶりの日本酒を美味しく味わいました。


定期検診
 術後半年後の4月18日。今日はCT、レントゲン、血液検査の日です。

 予約していた午前11時に久しぶりに「熊本中央病院」に行きました。

 血液検査で4本採血、胸部レントゲン撮影、血液造影注射(同意書に記入した後)を打って画像診断によるCT検査を受けました。検査を終えて外科外来の待合室で結果報告を待っていました。
「川尻さんどうぞ」と看護師さんの呼びかけでドキドキしながら診察室へ。

 久しぶりにお会いしたN先生は無言で、私のパソコン画面の胸部レントゲン写真とCT造影画面を見つめられていました。一瞬ドキッ!としましたが、私を見るなり、「異常ないよ」との一声。 画面をスクロールしながら「肺もきれいです」(7年前にタバコも止めていました。)

「飲み過ぎていますが肝臓は?」との質問で、スクロールしながら
「ほら、どうもないでしょう」で、ホット一息つきました。
 大腸癌は
肝臓、肺、腹膜に転移しやすいそうです。
今日の検診では遠隔臓器を特に検診していただきました。
お陰で
「リンパ節転移も認められず」でした。

 初めての検診でしたが、次は三ヶ月後の血液検査です。
予約なしでいつでも外科外来に来てくださいとの事でした。

お役立ちサイト http://www.ncc.go.jp/jp/  国立がんセンターのホームページです。