「春 早春の夜明け」秋の刈り入れが終わると田に水を入れます。土を肥やす為と聞きました。冬の夜、カモが盛んに鳴いていました。水も温む春の田圃の水に朝焼けが反射していました。

阿蘇は熊本市内と比べると約4〜5度の気温差があります。夏は涼しく、反面冬は厳しく、と言っても慣れればそう変わりません。しかし春の訪れはハッキリしたけじめがあります。

そうです。3月中旬頃から行われる野焼きです。今では阿蘇を代表する風物詩ですが、この野焼きも後継者不足で困難になった地区もありますが、阿蘇の原野を守ろうとボランティアの方々が、輪地切り(防火帯作り)などの作業を手伝っています。

黒焦げの原野で一番乗りを上げるのが「黄すみれ」で、少し遅れて咲くのが「春りんどう」です。
千年以上も昔から続いてきた「野焼き」という農業の営みが、
阿蘇の原野を支え、大陸系依存植物を育ててきました。

ちょっとコラム

大陸系依存植物と野焼き

 阿蘇の希少植物のほとんどが大陸系といわれ、15万年前の氷河期、まだ九州と朝鮮半島が地続きだった時代に南下したとされています。

 しかし阿蘇は、自然条件からいえば、かって日本では何処かしこも森林が本来の姿です。太古の昔は活発な火山活動に伴うガスの影響で樹木は育だちませんでした。活動が落ち着いて人が定住してくる頃の千年位前より、野焼きなどの人の営みに引き継がれ、人為的に草原が維持され、この中で大陸系の草原の植物が維持されてきました。

 写真は立野の原生林です。昔から人の手が入らなかったため、昔の森林の姿を保っています。
もし阿蘇に野焼きがなかったら、この姿が阿蘇の姿と言われます。

路肩には老人会の皆さんが育てた水仙が満開です。秋は真っ赤な彼岸花が皆さんをお迎えします。

 春が終わると梅雨入りです。5月に田植えが済んだ田園では、稲の苗もすくすくと育ち、今年は例年になく蛍が多く舞っていました。近くの徳永さんの家では紫陽花が満開です。 水辺に映える紫陽花 は格別に綺麗です。