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あやつり人形


 雨を裂いて影が跳ねた。黒い影。ねじ曲がった背中。ぜんぶで三つ。
 回転する赤色灯が街をかけめぐり、幻のようにサイレン音が交錯する。
 都市中央にたたずむ法と正義の塔を、武装した機動隊がとりかこむ。突入は――つごう三回。いずれも惨憺たる結果だった。
 偵察ユニットが雲霞のように吐きだされて塔内にばらまかれ、暴走した悪魔をさがしつづけた。とらえられた映像は――つねに、一瞬。
 黒い影。
 ねじ曲がった背中。
 ぜんぶで三つ。
「はやくつかまえろ! あの化物どもを、はやく!」
 塔内最上階、即席だがもっとも厳重なガードに四囲を鎧われながら、唾をとばしてわめきまくる男に、ネットワークの画面をとおして演出される威厳や慈父の相などもはや、どこにも見あたらない。
 なしくずし的にその任をおわされた警備陣のうちの過半数はそのことを敏感に察知して、やる気を喪失しかけていた。大義名分のかげに自分の命を守るため、という根本理念をひそませていなければ、とうに持ち場を放棄してパニックの嵐に身をまかせていたことだろう。
 チャン・ユンカイは、パニックとも大義名分とも、そしてもちろんやる気とも、まったく無縁の男だった。
「バカバカしい」
 よれよれのコートにつつんだ小太りの短躯をせわしなく右に左にさまよわせつつ、上階に位置する署長室にむけて吐きすてるように、くりかえしつづけていた。
「こんなバカげた茶番に、なぜおれたちがつきあわされにゃならんのです。とっとと帰ってグラップルでも見ながら酒かっくらってたほうがよっぽどマシだ。そうでしょ、部長? そういうわけで、おれは帰ります。あとはよろしく」
 いって、意外なほどすばやい身のこなしで逃亡にうつるタイミングなど、マウェン部長は知りつくしている。長年の勘にうらづけられた絶妙の呼吸でえり首つかみ、龍の彫刻をあしらった柱わきにひきずり戻す動作も、すでにあきるほどくりかえしたものだった。
「いいから、ここに、立っていろ」
 かんでふくめるようにいいきかせ、ラウレン市警でも一、二をあらそう問題児が、仏頂面でコートのポケットに手をつっこんでふてくされるのを確認しつつ、ひそかにため息をついた。
 チャン・ユンカイに指摘をうけるまでもなく、一般に信じられている虚像とはあまりにもかけはなれたラウレン市長シェイ・バの、裏社会でのこわもてぶりの片鱗は警察内部でも察せられていた。
 察せられていながら手だしができないのは、いうまでもなく明暗さまざまな形で、シェイ・バの権力の鉤爪が機構そのものの喉もとにがっちりと喰いこんでいるからにほかならない。
 したがって、歪みは闇に沈潜する。
 シェイ・バへの攻撃の手はつねに、暴力と機動力を武器とするテロリズムという形で陰に陽にその周囲につきまとい、とうぜんのごとくそれに対抗すべく、ラウレン市長のまわりにもまたつねに、陰に陽に護衛の影がつきまとっていた。
 むろん、その内実もピンユンライ星系にまでレンジをひろげてさえ匹敵するものをさがすのが困難なほどの充実ぶりを誇示している。
 それだけに、今回の襲撃者の異様な手腕が目立っていた。
 市警をシェイ・バがたずねたのはスケジュールに沿ったできごとだった。それだけに、予想され得るテロリズムに対する警戒の目は、あらゆる方面に厳重にむけられているはずだった。
 あるいはこれは、市長をねらったものではなく警察機構に対する挑戦なのかもしれない。
 あるいはまた、人ならぬものの外見どおり知能をもたぬ狂獣の、まったくの偶然による暴走の結果なのか。
 それが人ではないことはわかっていた。
 するどい鉤爪にひき裂かれて絶命した死体の凄惨さは筆舌につくしがたいものがあった。
 なにより、これだけの人数が右往左往していながら、襲撃者の正体をはっきりと目撃した人物が片手にさえみたない、という事実。
 その筆頭であるシェイ・バ自身が、積極的に襲撃者に関する情報を開示することをかたくなに拒んでいた。もちろん理由はわからない。どうせろくでもないことにちがいない、とは、これもチャン・ユンカイの独断的な意見だが、おそらくまちがってはいないだろう。
「チャン、ロウァン、いま、むこうで音がしたな」
 ふと顔をあげてマウェン部長いうのへ、チャン・ユンカイはかぶせるように、
「気のせいでしょう。気のせいにちがいありません。気のせいだってば。気のせいなんだから、おれはだんじて様子を見になどいきゃしませんよ。ええ、いきませんとも。だんじて」
 ぶるると盛大に顔を左右にふりながら、憎々しげにまくしたてた。
 部長はながく息をつく。
「わかった。それでは私がみずから」みずから、という部分をいやみったらしく強調する。「偵察にいくとしよう。ああ、この歳になって殉職とはよもや思いもしなかったことだ。ああ、この歳になって」
「ご家族がよろこびますよ。二階級特進ですからねえ。心おきなくいってらっしゃい」
 とてつもないセリフを平気であびせてよこした。非常時で本音が出てしまったわけでもなんでもない。チャン・ユンカイという男はふだんからこの調子なのだ。
 ぶつぶつと文句をたれつつ非常階段にむけて歩をふみだすマウェンに、ごく最近、よその部署から転任してきたロウァン刑事が困惑に眉間にしわをよせつつ追随する。あーあー、どいつもこいつもものずきなこってす、とかなんとかぶつぶついう声だけが背後に遠ざかる。
「ああはなりたくないものですねえ」
 こっそりとマウェンの耳もとにささやくロウァンに、
「あれこそ、警察がひろってやらなければいまごろは、裏街のどぶどろの底にいるタイプだろうな」
 と上司も小声で応じた。
「もっとも、どこにいてもヤツの場合、やってることはかわらんだろうが。さて」
 と、物音の源とおぼしき非常階段わきの壁に身をよせ、ロウァンと目くばせをする。
 中年の域にたっした叩きあげの刑事だけあって、はじめてコンビを組むにもかかわらずロウァンは、機敏な身のこなしでマウェンにあわせて銃をつきだし、扉から通路へ、そして通路からすばやく上下をのぞき、下方に異物を発見するや正確に銃口をポイントしつつ、すばやい足どりでうずくまる人影に歩みよっていった。
 カヴァーして上下に気をくばりながら後を追いつつ、マウェンは、こういう部下ばかりだとやりやすいのだが、とユンカイの憎々しげな丸顔を思い出しつつ心中でため息をつく。
「襲撃者ではなさそうですね」
 冷静な声音で、ロウァンが状況を報告してよこした。
「怪我をしているようです。署内の人間では、ないな」
 最後のひとりごとめいた論評を、マウェンも自分の目で確認した。
 ロウァンに半身を抱えおこされた初老の男の顔にはたしかに見覚えがない。市警内部のすべての人員の顔を熟知しているわけではないが、顔をあわすのも初めて、という相手などまず思いうかばなかった。
 やせ枯れた、といった印象の外見に、無造作に白衣を着ているほかは、とりたてて特徴のない男だ。
 わき腹のあたりが、血まみれになっていた。
 汚れでよくわからないが、どうやら裂かれているらしい。深くはなさそうだが、ほうっておくと危険なことにはかわりがない。
 注意深く四囲の気配をさぐってから、ロウァンは上に戻りましょうと提案する。もちろん、マウェンに否やはない。
 細心の注意をはらって白衣の男を抱きあげるロウァンを先頭に、階上の執務室に居をうつす。
「よ! おかえりよ!」
 ろれつのまわらないセリフが、ふたりの帰還を出むかえた。
 マウェンもロウァンも呆然となった。
 数分とたってはいないはずだ。
 酒を満載した一升瓶をいったいどこに隠しもっていたのか、あるいはさがしだしてきたのかという問題をぬきにしても、あまりに意表をつく展開だった。
 なにしろそれを、この短時間にほぼ飲みほしてしまったのみならず、へべれけになってしまうなどあまりにも人間離れした荒技だ。
「この男は計算にいれないほうがいいんですね」
 あきれ顔でロウァンがつぶやく。だいぶわかってきたようだ。が、マウェン部長から見れば、まだまだ認識が甘かった。。
「ダメだ。つねに計算にいれておけ」
 冷徹にいいはなつ。
「でないと、いつ足をひっぱられるかわからんぞ」
 なるほどそうか、という顔をして神妙に、はい、とうなずくロウァンを尻目に、チャン・ユンカイは
「計算? あい。一たち一は一。二たす二は三」
 と、いかなる物理法則にもとづくものかまったく不明な解答をはじき出しはじめる。
 ごきげんの酔漢はとりあえず無視して二人の叩きあげは手ぎわよく白衣の男の傷の程度をしらべあげ、可能なかぎりの応急処置をほどこした。
「これは一刻もはやく病院に運ばなければならないだろうな。ただし」
 と言葉をにごしてマウェンは、ロウァンと顔を見あわせた。
「びょういん? それれは、あたしがその大任を、はらしてごらんにいれるれろ。やった、これれ帰れるろ。ほっひー」
 と脳天気にチャン・ユンカイがれろれろぬかしつつへろへろと立ちあがりかけてはへたりこむ、という動作をくりかえしはじめるのを横目にして、二人はあからさまにため息をついた。
 襲撃をうけたのはラウレン時間で正午のことだ。
 雨がふりはじめたのは夕方近く。
 三回の機動隊の突入はいずれもまったく簡単にはばまれ、バラまかれた銃弾と血だまり、そしてずたずたにひき裂かれた死体だけがその成果だった。
 おなじように、こころみられた幾度もの脱出劇もまた、玄関近くから裏口、非常階段の踊り場にいたるまであらゆる場所ではじきかえされている。
 まして、この男の惨状からして襲撃者はいよいよ近づいてきていることはまちがいない。
 足もとさえさだまらず立ちあがることさえできない酔っぱらいが、腹を裂かれて絶命寸前のけが人をかかえて脱出できるのぞみなど、どれだけ好意的に見ようとだんじてあり得ない。
 どうします、と視線で問いかけるロウァンに、マウェンもまた途方にくれて言葉をのみこんだ。
「市長を……シェイ・バを……」
 解決は、当の瀕死の白衣の男の口から、血の色の臭う弱々しいうめきとともにもたらされた。
「なに? 市長を? あなたは市長に用があるのか?」
 色めきたった口調でロウァンが問いかける。
 初老の男の顎だけが、うなずきを表すようにかすかに下方にひかれた。
「究極の……ホムン……」
 いいかけて苦しげにうめき、身をちぢめる。
「最初からこの建物の中にいたんですかね?」
 それ以上なにかをききだすのはむつかしいと見て、ロウァンはわきあがった疑問をそのまま口にした。
 わからない、とでもいいたげにマウェンは無言で首を左右にふり、つ、と視線を上階にむけた。
 しばしの躊躇をおいて二人は、どちらからともなくうなずきあい、ふたたび傷ついた男をかかえあげた。
 おおい、ろこいくんれすよう、酒もってこい、と言語道断な寝言をのたこくチャン・ユンカイは完全に無視して、黙々と階上を目ざす。
 間をおかずたどりついた署長の執務室に――人影はなくなっていた。
 瞬時、マウェンとロウァンは目をむきながらたがいに見かわし――さらに階上に視線をとばした。
 不審にみちた視線だった。
 すぐに非常階段に戻り、やや慎重さを欠いた足どりで昇る。
 吹きなぐる雨の中、屋上フライアポートに二機の小型フライアがおり立っていた。
 出はらっていたものが緊急帰還したのだろう。
 帰還を要請していたのは知っている。
 戻らず、ほかの機の調達も思いどおりにいかなかったのは、そこになにものかの作意がはたらいていたせいかもしれない。
 だが、やっとのことで戻った二機が、階下で必死の防戦につとめる部下たちを無視して、市長のとりまきと幹部連のみを搭載して飛びたとうとしている場面にいきあたるとまでは、マウェンもロウァンも予想だにしていなかった。
「マウェン! なぜ持ち場を離れた!」
 雨をついて、閉じかかったフライアのキャノピーのかげから、副署長の叱責があびせられた。
 狼狽をかくすための叱責口調だ。ロウァンは奥歯をかみしめた。
「いま報せをやろうとしていたところだ」
 フォローするように、署長の声だけが呼びかけてきた。
「後続のフライアも、間をおかず到着する。それまで持ち場を死守してくれ」
 返答はせず、マウェンは声をはりあげた。
「市長! この男が市長に会いたがっております! 見おぼえはありますか?」
「テロリストをつれてきたのか? なんてことを――」
 ののしりめいた非難をあびせかける副署長の叫びを圧するように、
「ドク・ラオ!」
 当のシェイ・バ自身が叫びつつ、雨中に身をのり出してきた。
 四囲を屈強のガードにかためられてラウレン市長が小走りにかけよってくる。警察関係者たちの反応が一拍おくれたのは、なにがおこったのかとっさには理解しがたかったからなのだろう。
「ドク・ラオ、説明したまえ! これはどういうことなんだ。え?」
 怪我をしています、乱暴にあつかわないで、というロウァンの怒りにみちた抗議の声など天から無視して、人格者で売っている市長が、乱暴なしぐさで傷ついた白衣の男の胸もとをつかんでふり動かした。
 蒼白の男は酸欠状態のように口をぱくぱくさせたあげく、弱々しくつぶやいた。
「暴走だ……シェイ・バ。究極のホムンクルスは……制御不能だ……」
「うそをつけ!」
 とたん、けが人に対して模範的人物がとるとは思えない激烈な口調で、市長が叫んだ。
「きさまがやったのだろう! あの生体兵器のサンプルを! 危険きわまりないあの怪物どもを! くそ、どうやっておれを狙わせている! くそ、さんざん助成金をまわしてやった恩も忘れて! だいたい、もとはといえばきさまが年甲斐もなく若い女を女房にしたのがまちがっていたんだ! いいか、あの女はな、むこうから色目をつかってきたんだぞ! それをきさまは……それをきさまは……!」
 ぶるぶるとふるえつつ歯をくいしばる名士を、署長以下はさすがに呆然と眺めやっていた。
 紙のように白くなったラオ博士の顔が、そんな市長の狼狽ぶりを見て力なく、かすかに笑った。
「暴走だよ……シェイ・バ……あれは、暴走したのだ……」
 笑いながら、弱々しくいいつのった。
「この前の視察のとき……あんたの臭いをおぼえたのだ。……あれらは……自分らの境遇を呪い……あんたを呪っていた……。暴走だよ……。暴走……」
 そして口もとを歪めてみせてから――がくりと首をたれた。
 シェイ・バは、言葉もなく目を見ひらき唇をふるわせていた。
 が、ふいに、癇癪をおこした子どものような声をあげてぬれた床面を蹴りつけ、くるりと背をむけた。
 追って移動した全員の視線が――絶望的な光景を目のあたりにした。
 裂かれた首を折れ茎のようにしなだらせたパイロットが、ふりしきる雨に半身をさらして倒れこんでいた。
 ガルウイングのドアはひきちぎられてころがり、ルーフの上でねじ曲がった背中ごしにふりむいた髪ふり乱した獣の顔が、光る目でシェイ・バをにらみつけた。
 残る一機のフライアは、バチバチと火花を散らしていた。
 と、思う間もなく――どん、と音をたてて燃えあがった。
「ライゴウ……狂ったライゴウ……」
 戦慄を声音ににじませつつ、市長づきの護衛のひとりが呆然とつぶやいた。
 怪物は、しゃぎ、と背筋を逆なでるように耳ざわりな声をあげて牙をむき、ごうごうと燃えさかるフライアの前におりたった。
 びちゃりと、水たまりがはねた。
 ひい、ひい、とシェイ・バは小気味いいほどのうろたえぶりで護衛たちの後ろにまわってその背をおしやる。
 いくつもの銃口が、ためらいがちに、それでも機械のような正確さで怪物の腹にむけられた。
 残像をのこして究極の人造生物は消失し、瞬時にして切りおとされたいくつもの首が、ごろごろと雨のふりしきるフライアポートにころがった。
 そして怪物はシェイ・バの眼前で牙をむきだし、炎のただよってきそうな息をしゅうと吐きかけた。
 へたりと市長は尻をついた。
 だれもがその死を確信した。
 そのとき――
「いやっほう。おれさまだあ」
 最高に間のぬけたすっとんきょうな叫び声とともに、一同の背後から救世主が、あらたに発見した一升瓶片手に、千鳥足で出現した。
 チャン、それどころじゃ――
 いいかけてふりかえったマウェンが、あんぐりと大口あけた。
 よれよれとあぶなっかしい歩調で階段をのぼるチャン・ユンカイは、肩を組んでいた。
 ――もう一匹の、人造生物と。
 一同は声もなくその姿を見まもった。
 よく見ると、階下には酔いつぶれたようにして最後の一匹がへたばっている。
 しゃう、とひき裂くような叫びをあげて、フライアを破壊してのけたホムンクルスが、呆然とする一同の頭上を一息にとびこえ、チャン・ユンカイに突進した。
 悪質な酔っぱらいをふくんだ三つのからだが、もつれあって階段をころげおちた。
 そんな状態になりながらユンカイは、手にした一升瓶を割るどころか、中身をほとんどこぼれさせもせずに保持していた。たいした反射神経、というよりはあきれた意地きたなさ、といったほうが的確かもしれない。
「おお、なんら。てめえも飲むか? よしよし大サービスら。ほうれ」
 上機嫌でユンカイは一升瓶をかざして、どぼどぼと中身をまき散らしはじめる。
 そして二体の生物兵器は争うようにして、落下する液流にむけ、牙をむきだしにした血まみれの大口をぐいぐいとさし出した。
 おもしろそうにげたげたと笑いながらユンカイは、ゆらりゆらりと一升瓶をゆらめかせつつ、翻弄されるように瓶口を追う二体の凶獣の醜態を眺めやる。
「酒に弱い生物兵器か……」
 マウェンが、惚けたような口調でつぶやいた。
「最強の生物兵器は……」
 うけてロウァンも、魂のぬけたような顔つきのままいった。
「あの男かもしれませんな」
 チャン・ユンカイを指さした。
 対してマウェン部長は、夢からさめたような表情をうかべてから、唇を真一文字にひきむすぶと、
「いいや」
 と、断固たる口調で首を左右にふってみせた。
 ちらりと、横たわるドク・ラオに視線を走らせ、つづいて狂態を演じるホムンクルスに目をやり――そして最後に、チャン・ユンカイを情けなさそうに眺めやった。
 それからため息とともに、口にした。
「兵器ってのは、いかなる形にせよ制御可能なものをさすものだ」
 そしてふりしきる雨の中、呆然とする世界の囚われ人たちを背に、ロウァンと目を見かわしながら情けなげに笑いあった。


(了)


			

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