Saluton karaj gesamlingvanoj T.Fukuda
今回のテーマは「飛行機は落ちても、他の飛行機は飛び続ける」
最近の新聞で気になったニュースがある。
2002年2月 ドイツ議会は原発建設を禁止する決議をした。
稼働中の原発19基は、2020年までに全廃する。
クライナを今年訪問したいと思っている自分は、あのチェルノブイリの悲劇を想い出した。
1986年 今から15年前、4基のうちの1基が爆発した。
この原子力発電能力は、100万KWであり、日本の東海第二原子力とほぼ同一性能である。東海第二原発は、東京から約130km離れて位置する。
チェルノブイリも首都キエフから100kmはなれたところに位置している。
そして、60万人といわれる人達により事故処理作業が行われた。
爆発火災の鎮火、汚染除去、そして石棺の取り付けによる放射線防護。
発電所を中心に半径30Kmが立ち入り禁止区域になった。
13万5千人の人々が避難し、二度と住めない地域となった。
日本でいえば、東京がまるまる消失したもの。
しかし、1986年末には1、2号機が運転再開する。
そして3号機は1987年には運転再開、2001年まで運転を継続していた。
ソ連政府の公式発表によれば、この事故で死亡したのはたったの31人である。
しかし、この公式発表は信憑性がない。
相当数の人達が被害を蒙っていることは間違いないと思われるが、ソ連政府は真相を隠蔽した。
事故原因については、ソ連政府は人為的ヒューマンエラーと発表した。
しかし、これもまやかしであり、真実は構造的欠陥にあると思われる。
この原子炉の形式は、RBMK型すなわち黒鉛減速型といわれる。
ロシアでは同一炉17基が運転中である
ところで、現在のウクライナではまだ他形式炉(加圧水型)13基もの発電所が運転している。
チェルノブイリ事故後も15年間もの間、原子力発電所は運転されつづけ、また多数建設された。
地球温暖化の観点から考えると、炭酸ガス発生源としては原子力発電所は火力発電所に比較し、非常にクリーンであり、国の炭酸ガス総量規制のなかで特別有効な位置にある。
たとえば、炭酸ガス発生量を評価すると、発電量1KW当りの炭酸ガス発生量は 火力発電所が 0.172Kg-c/KWに対し、原子力発電所はほぼゼロといわれている。
故に火力も原子力も含む全電力の炭酸ガス発生量は大きく低減し、0.106Kg-c/KWになり、地球温暖化からは大きな貢献を果たしていると主張されている。
また、世界的にも原子力発電は大きな比重を占める状況にあり、特に発展途上国では、大気汚染の面からも原子力発電を選択する例がある。
ここまでエネルギー基盤に組み入れられた原子力発電は、もはや後戻りできないところまできているのか。
ドイツが脱原子力を打ち出したが、実は原子力推進派はまだ逆転を狙っているとの記事も掲載されている。
飛行機が墜落して、大量の死亡者が出ても、飛行機は廃止もされず世界を飛び回っている。
これも、飛行機が開発された時点であれば、墜落した事で危険な手段として飛行機自体が否定されただろう。
おそらく原子力発電も似たような考えではなかろうか。
あのチェルノブイリで、恐ろしさを身にしみて味わったに違いないウクライナでも、現在13基の原子炉が運転されており、5基もが建設中である。
そして、ウクライナよりさらに激しい被害を蒙ったベラルーシでも原子力発電所の建設計画があるという。
日本では、現在50基もの原子炉が運転されている。
アメリカでは既に、スリーマイルアイランドTMI事故以来、原発の新規建設はない。
しかし、そのアメリカが、アジアやその他の国には原子力発電所を売り込んで建設している.
2001年まだ生々しい記憶が残るワールドトレードセンタのテロ事件。
実は、ドイツが原子力全廃を決めたひとつには、テロ行為による原発破壊である。
しかし、「もんじゅ」「茨城東海村燃料棒臨界事故」「浜岡原発のトラブル」
など忘れてはならない。
Saluton karaj gesamlingvanoj T.Fukuda 2002.05.22
現在チェルノブイリ発電所の事故4号機は石棺で覆われている。
実は石棺とは原子炉建物を外から囲む防護壁で、地上から高さ61メートル厚さは1メートルもある巨大なコンクリートシェルタである。
だが、安全な地帯でビルを建設するのとは違い、高濃度の放射能に汚染され、しかも炉心は爆発後は鎮火したとはいえ、いつ再出火するか分からない、極めて危険な状況の中での建設作業であった。
この石棺構想はすさまじい危険と、炉心の下にトンネルを掘るというてつもない計画でもあった。、
まず原子炉の地下40メートルの深さまで坑道を掘り、さらに炉心の真下にトンネルを掘る。そこに地上からコンクリートを流し込んで基礎とする。炉心の周囲にもコンクリートを流し込み、さらに鋼鉄で補強された厚さ1メートルの壁で遮蔽するというものである。
なにしろ、地上高さ61メートル、地下40メートルという巨大な建造物である。コンクリートの量だけでも約50万立方メートルが必要とされた。
膨大な作業員が爆発事故を起こした原子炉の地下にトンネルを掘り、また高さ61メートル鉄骨を組み上げ、コンクリートを流し、遮蔽壁を作り上げる。まさに被爆をおそれない人間ロボットである。
出来上がった状態では遮蔽壁であるが、作業中は丸裸同然で強烈な放射線を浴びながらの決死的な行動である。
おそらくソ連全土から集められた作業員は、それほど被爆に対して教育もされず、知識もほとんど与えられずに作業に従事していたと思われる。
5月に計画が発表されてから、この壮絶な建設工事が終了したのは12月であった。
事故後の除洗作業も含め、これらの一連の事故対策でソ連全土からかり出された人々はおよそ80万人とされている。
実はこの人々の体に何がおこったのかは、はっきりと分かっていない。
ソ連の専門家委員会が発表した数値は死亡者805人でしかない。
しかし、チェルノブイリ同盟の第一回大会で発表された数字によるとその10倍にあたる8千人が死亡、7万5千人が身体障害者になったとある。
国際展示場のビジネスショウに行った。
そこはジェトロの展示もあり、世界各国の産業紹介がされている。
ウクライナの展示場でカタログを見ていると、ウクライナの電力状況ネットワークが示されていた。
その中には、基幹原子力発電所が5箇所示されている。
事故があってもへこたれない、あれは単に人為的ミスであり特殊な例、として他の原発はまったく問題ないというメッセージともとれる。
(ウクライナでは東京都と同面積がそっくり消滅(非居住地化)し、ベラルーシでは国土の1/4が消滅したにもかかわらず)
われわれが心配しているほどに、ウクライナは心配していないかのようだ。
そう、飛行機が落ちてもそれはたまたま運が悪かったためであり、他の飛行機は問題ないとして飛びつづけているようなものだ。
地球環境の観点からは、炭酸ガスの削減が大きな命題になっている。
化石燃料による火力発電所からは、膨大な二酸化炭素が放出されている。
しかし、原子力発電所からの二酸化炭素はほぼゼロと評価されている。
それゆえ電力会社は、原子力発電所はクリーン発電である、原子力を火力に置き換えると地球環境を破壊すると声高にとなえている。
浜岡原発の想定されなかった配管破断事故からそれほどたっていない現在、稼動中の原発の定期点検の周期を延長する提案が、電力会社からあると新聞が報じている。
そんなに安全ならば、いっそ不便な地方に原発を建設せず、都心に建設したら効率は良いし便利この上もない。新宿当りに建設すれば最高ではないか。(以前逆テーゼで「新宿に原発を」という活動があった。)
一方、本稿で一番初めに報告したドイツの脱原発はいよいよ本格的に決定したとある。アメリカではいまだにスリーマイルアイランド原発事故以来、新設の原発はないとのことだ。