12月

オレは車で 凄く危ないスピンをするのが大好きなんだ

おまえを乗せて 何度も 
おまえを乗せて 朝まで

オレはおまえの 動物的な 悲鳴を聞くのが大好きなんだ
おまえを乗せて 何度も 
おまえを乗せて たぶんそれだけの事さ


パパママ 聞いてくれ
こんな遊び方しか知らない オレの事を誇りに思って欲しい

オレは鉄のかたまりを 爆発させながら走る車が
心から 好きなんだ
心から 好きなんだ

おまえの心臓が破れるくらい スピードを上げて走る車が
心から 好きなんだ 
心から たぷんそれだけの事さ

パパ ママ 聞いてくれ
こんな遊び方しか知らない オレの事を誇りにに思って欲しい


オレの手肌色 ただの手でもオレのもの 
ハンドルを握ってる おまえは何を思う
始めから ずっと一緒に過ごしてきたよな
おまえを乗せて
心から好きなんだ

結構楽しいだろう オレと一緒にいると
もうだめだと思うから 手伝ってくれるかい
生まれたばかりの 自分がいる部屋のドアを開けて
白くて細いハンドルを握ってる おまえよ

もうだめだと思うから 手伝ってくれるかい
おまえの好きな12月が終わる前に



















多分もうなにもない
好きなだけ
とりあえずもうコレだけ

車に、スピードに、取り憑かれて
いや、なににも興味がもてない

こんな人間になってしまった
もうタイヤを擦らせることしか道路に跡をつけることしか
心が惹かれない
心が動かない


父さん母さんゴメンね
ありがとう

鉄がガソリンを食う
うなりをあげる
加速でシートに圧がかかる
その間だけ
血が流れるんだ
脳に酸素が行くんだ


彼女に会えて幸せ
ありがとう

寡黙なおまえの口から
搾り出された大きな悲鳴
それが嬉しくて
スピードの中 狭まる視界の中で 笑った
おまえも笑ったっけ

恐怖と喜びの匂いが混じりあう涙
多分 ココロカラ スキナンダ


車から降りると
明るくなると
濁った世界が待っている

毎日考えてたんだ・・・。
いまのことをこんな気持ちになることを


もうなにもない
なにも望まない
色々ツケがまわってきたしね

好き勝手やってきたから
好きな車で終わるんだ

ちょっと肌寒くて
澄み切った空気

12月が好きな彼女
今日も無邪気な笑顔の彼女
座席で待ってる



ねぇ一緒に来てくれる?







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